ADHDとか。〜その14 カムアウトする〜

先日、取引先にADHDであることをカムアウトした

去年から新しく取引を始めた会社なのだが、ここに来て仕事が一気に来てしまい、優先順位が付けられなくなってきてしまったのだ。

去年一年、仕事が切れてしまった会社がいくつかあり、その原因の一つに「慣れたと思った(思われた)頃に沢山の仕事が一気に来たり、外注パタンナーの範囲以上の仕事が増えたりして、キャパオーバーした」ことだと私は思っている(相手側から聞いたら違う答えが返ってくるかもしれないが…)。

実は一昨年、亡くなられた作家の雨宮まみさんにうちのブランド「白いシャツの店レタル」のシャツをプレゼントしたことがあった。

私は雨宮さんが大好きだったので、ファンとして送ったのだった。

雨宮さんは完璧な着こなしでそのプレゼントしたシャツを着た姿をInstagramに上げて下さり、喜んでいたのも束の間、なんと雨宮さんはその数日後に亡くなってしまったのだ。

奇しくもその投稿が雨宮さんの最後の投稿となってしまい、レタルを認知してもらうきっかけになってしまった。

そこから、問い合わせもあったので再販を行ったところ、過去最高の売上になり、うちは受注生産なので、もともと苦手だった生産管理が枚数の多さで追い付かなくなったり、生産が増えたら今度、資金繰りが大変になってしまったり、と自分でもよくわからない状態だった。

その頃は外注仕事も忙しく、一気に型数が増え、自分としてもここがチャンス!正念場だ!やらなければ!と追い込んで仕事をしていたと思う。

しかし、その頃を思い出すと仕事は荒く、自分がコントロール出来てなかったし、資金繰りを楽にするために融資を借りたことのストレスもあり、落ち着いた頃にはドッと疲れが出て、私は動けなくなるくらい体調を大きく崩してしまった。

まずそこで一社、結構大きくやっていた取引先を失ってしまった。

その後も最初は良かったけど、だんだんとこちらの負担が増えてしまい、私自体がストレスのコントロール出来なくなってきてしまい、続けられなくなってしまった取引先もあった。

取引先と切れてしまう、というのは、なかなか経済的にもしんどいがメンタルもやられることが多い(実際はそちらの方が引きづって仕事が出来なくなるのでダメージが大きい)。

もともと自責が原因で情緒不安定になるタイプだったので、去年一年は色々と辛いことが多い一年だったなと、今になって思う。

特に今の春時期は気圧や気温の変化で自律神経がやられやすい。

最近は改善されてきていると思うけど、その昔は血圧が低く、あるとき測ったら血圧計が65/40くらいの数字を叩き出したこともあったので、気圧の変化はかなり身体に負担がかかると思われる。

その反省を踏まえ、今年は仕事を調整していくようにしている。

自分では疲労や仕事量のキャパオーバーが自覚出来ないことが多々あるために、まわり(特にチームレタル)に相談する習慣も付けるようになってきた。

また、自分が管理が苦手な分、一緒に仕事をする相手は管理が得意なタイプや、仕事量を増やすことに慎重なタイプの人を選ぶようになった。

何度か挑戦したフリーランスも、もう三度目、そして三年が経った。

ギリギリなところも沢山あるけど、今もとりあえずはなんとかなっている。

前置きが長くなってしまったが、冒頭のカムアウトの話に戻ると、今メインで仕事をしているところは「仕事を増やすことに慎重なタイプ」であることと、外注をたくさん抱えているので進捗を細かく確認やリマインドしてくれる先であった。

そして、ギリギリであっても、納期は落とさないでやってきた。

外注パタンナーは実は私くらいの年齢の人間が少ないようで、その取引先としては、私に対して「育てていきたい」という意志も持って頂いているようで、自分としてはやっと長く続く先が出来たという気持ちだった。

しかし、このままいくとどっかで納期を落としてしまう…という不安が出てきたため、これはカムアウトした方が安全なのではないか…という気持ちが出てきた。

ただ、やはり仕事を頂いている先に「私はADHDという発達障害です。」というのは、今こんなに文章を書いている自分としても勇気がいる行為である。

「伝えたことで仕事を切られてしまったらどうしよう…」という気持ちは無くならないし、「配慮して下さい」というお願いをすることになるので、心が痛むこともある。

とりあえず今回の取引先からは「発達障害なので仕事を出さないということはありませんのでご心配なく、こちらも管理するのが仕事ですので、やりやすい方法をご提示ください」という言葉が返ってきて、非常に安堵した。

今の取引先には、「一気に仕事が来ると優先順位が付けられなく、何からやればいいかわからなくなって、仕事が散漫になる恐れがあるので、納期を1型ずつ設定してもらうと、一つ一つ集中して出来るので、納期を落とさないように出来ます」ということを伝え、取引先も理解して頂いた。

私は他にカムアウトしている先として、週5日ほど早朝の2時間ちょっと、スーパーでバイトをしているのだけど、そのときに鍵開け係が回って来そうなことがあった。

最近は減ったけど、それでなくても寝坊して遅刻することもあったし、ギリギリに出社してしまうし、ましてや自分が鍵を持つのは非常に危険だと思った(家の鍵すら失くしそうなのに)。

その鍵開け係のことで、他のバイトの人と揉めたりもして「いよいよこれは言わないと無理だ…」となり、バイト先に障害者手帳のコピーと「ADHDという障害のため、鍵の管理は難しいです…。」と手紙を書いて店長に渡したことがある。

バイトなので、「まぁクビでも仕方ないか…」と思っていたけど、時々遅刻はしていたものの、一応毎日出勤はしていたし、他の方のスケジュールの穴埋めをしていたのも幸いし、特にADHDでクビにはならず、鍵の管理も「ヒグチさんには厳しいね」ということになった。

揉めていたバイトの方にもカムアウトしたところ、その方は本業が整体師さんだったので「ぼんやりそうかなと思っていたんですが、やはりそうだったんですね」と言われて、理解して頂いた。

カードのバイト先にもADHDはカムアウトしている。

毎月出勤表を月末にFaxしなければない会社で、私はその出勤表の提出を毎月忘れてしまい、会社から電話がくる状態だった。

カードの仕事は嫌じゃないけど、その出勤表のストレスで「このままでは仕事が続けられない…」と思い悩み、カードの仕事は実績もあるのは自覚もしていたので「私にはADHDという障害があり、この出勤表の提出は負担です。どうにか簡略化出来ないでしょうか。」と相談した。

幸い、当時の私の担当さんにはお子様がいらっしゃり、ADHDという発達障害があることを認知していた。

それどころか「うちの子もその気があるかもしれないんですが…」という相談まで頂いた(笑)。

なので、その会社が家のわりと近くなので、社員さんと約束し出勤表を毎度書きに行くことでなんとか難をしのいでいる(早くペーパーレスになって欲しいものだ…)。

まだ、教員関係の方にはカムアウトしていないが、やはり事務手続きが煩雑になるとうまく出来なくなってしまうので、仕事も契約更新が決まったし、今年は言おうかと考えている。

とりあえず今のところカムアウトして蔑ろにされることもなければ、仕事に支障も来していないし、むしろ配慮してもらえるし、相手も「なんで出来ないんだろう?」ということもなくなっていいのかもしれないと思っている。

ADHDをカムアウトしていくには段階が重要だと感じている。

まずは、その会社で一応実績を出すこと。これが一番難しいかもしれないけど、とりあえず「曲りなりにもきちんと出勤する」とか「人がいないときに穴埋めする」など出来ることは精一杯やることが大事だと思う。

次にその業務の中で「出来ない業務、不得手な業務を見つける」こと。

これは具体的であれば具体的である方がいいだろう。

その次に「解決策を提案する」こと。

解決策は見つかっていなくても、二番目の「出来ない業務、不得手な業務」がわかっていれば、相手から提案してもらえることも多い。

フォローしてもらう、というのは相手のコストになることが多い。

「発達障害は障害なんだから、出来なくても仕方ないし、いちいち謝って卑屈になる必要もない」みたいなことを考える人の気持ちもわかるけど、それでもやっぱり助けてもらえたらお礼していくべきではないかと私は思う。

勿論、発達障害者だけが他人に迷惑をかけているわけじゃない。

多かれ少なかれ、ADHDの起こすようなミスは誰だって経験している。

採用されるということは何かを見込んで採用されているのだから、そこも持ちつ持たれつで、自分が得意なところをみんなのフォローに回していけばいいと思う。

四月は新しく仕事を始める人も多いだろう。

最初から発達障害をカムアウトしていくのはなかなかハードルが高いと思う。

しかし、仕事をしていけば、いずれはどこかで壁にぶつかるだろう。

そのぶつかっている様を見て、他人も「おや?」と思う瞬間は出てくると思う。

業務が慣れて、その中でどうしても「これは出来ない」というものが出てきたら、そのときゆっくりしっかり落ち着いてまわりに伝えていくことが大事かもしれない。

今はADHDがだいぶ周知され、少しずつ理解者も増えているので、うまくやれれば働きやすい環境づくりが出来ると思う。

私はひどく遠回りをしてしまった。

自分と同じ苦労を、他の方がしないで済めばいいなぁと思いながらこの文章を書いている。

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