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寂しい夜の上手な過ごし方を未だ知らない。

時々とてつもなく空虚で、いつも同じ灯の蛍光灯がその日だけは薄暗く感じ、自分が手持ち無沙汰で退屈で、寂しくて死んでしまいそうだと思う日がある。

今日はちょっとそんな日だった。

未だそういう夜の上手な過ごし方がわからない。

仕方ないからカロリーと酒をぶち込んだ。

起きていてもどうしようもないからそろそろ寝る。

私には三年くらい惰性的に過ごした、所謂セフレがいた。

27歳から30歳になるまでの、一番女性としては焦る時期に。

望んでその関係だった訳ではなくて、向こうが頑なに「好きじゃない」と言っていた。

今思うと、好きだったのかあれは承認欲求なのかはわからない。

彼との関係は夏の終わりに起こり、春になる前に別れてしまうという仲だった。

なので私は、彼の知らないところで「秋鮭さん」というあだ名を彼に付けた。

なんてひどいあだ名なんだろうか(笑)。

私はあだ名をつけるのが上手いのだ。

彼といる間に私は過呼吸を起こしたりするようになった。

秋鮭さんはどうしようもない人だった。

秋鮭さんは2年目の冬あたりに鬱傾向が出ていた。

最後の方は、会うと真っ青な顔だった。

言葉も上手く話せないような時もあった。

私は自分の所為だと思った。

病院の先生が察して「鬱病は移らないわよ、大丈夫」と言った。

彼との日々は、本当に惰性の日々だった。

彼女として認めてはくれないけど、拒否もしない秋鮭さん。

男性に拒否されまくっていた私は、拒否しないことに安心した。

同時に認めてくれないことに悔しさを感じて、尽くしまくっていた。

尽くせば尽くすほど、穴を掘るような気分だった。

一緒にいて楽しい瞬間もあった、だけど、それ以上に消耗が激し過ぎた。

何度も離れようとしては、また戻る。

当時のカウンセラーの先生が「またヨリが戻ったんですね」と言っては「いえ、付き合ってませんから…」と否定した。

厚かましく「付き合ってます」と思い込めたら良かったのにと今なら思う。

一度、話し合いをしていて、激昂し過ぎて秋鮭さんを殴ったことがあった。

それをカウンセラーの先生に言ったら「グーですか?パーですか?」と聞いた。

私は思わず笑いそうになった(笑)。

当時、秋鮭さんのことを話せるのは病院くらいだった気がする。

私は見た目から、地味で派手ではないし、一見大人しいタイプに勘違いされることがある。

セフレがいるなんて言ったら、びっくりされると思って、当時は他人に話せなかった。

私はそこそこ貞操観念が強いので、ふしだらな人間だと思われるのを嫌がった。

私はこんななのに、なんだか保守的なところがある。

そんな訳で私と秋鮭さんの関係はどんどん密室化した。

本当に良くない関係だった。

付き合ってもないから、明確な別れもなかった。

勝手にこっちが「さようなら」と言うしかない虚しさ。

本当に彼と離れるのは依存症患者の気分になるくらいしんどかった。

彼と私の家は15分くらいの距離なのだけど、離れてから3年くらいは彼の家の方向には歩けなくなった。

私は酔うと彼の家によく行っていた。

シラフでは行けなかったのだ。

だから、いつでもまた魔がさすと行きそうだった。

行ったら元通りになると思って怖くて近づけなかった。

しかし、もう大丈夫だろう、と思って今年の夏に彼に連絡を取った。

彼は…なんにも変わらなかった。

私も引越してなかったけど、彼も引越してなかったし、何度となく鬱病を再発してるようなのに、転職もしていなかった。

「この時期まではレタルのサイトをチェックしていたよ」と言った。

あぁ、そう、と思った。

この人はこういう人なのだ。

私が離れそうになると、自分の元に戻そうとした。

ちょっと自分に興味があることを言って来たり、嫉妬のようなことを言ってくる。

それで私は「口には出さないけどやっぱり私のこと好きなんだ」と思い込む。

違うのだ。

この人は寂しくて仕方ないのだ。

与えもしないのに、離れられるのは嫌な、すごくケチな人なのだ。

もうこの人とは違う場所にいるな、と思った。

しかし、今日ふと寂しくて、魔が差して彼にうっかり会いに行こうかなと思った。

でも、ちゃんと帰って来た。お菓子とお酒を買って。

寂しさというのは人間をも他人をも狂わせる怪物のようだ。

彼には散々ぞんざいに扱われたけど、私も大概だなと思った。

寂しい夜を上手に過ごすために、何かルーティンワークでも作ろうかと思う。

はたまた電話をかける人のリストとか。

そして、どんなに寂しくても、秋鮭さんのところには戻らない。

戻りそうで怖いからここに記した。

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