FutureFrontwomen 2018LA研修 企画裏話
こんばんは。Her Pivotディレクターの梶川です。先週と今週、NBAオールスターに向けて、2018年LAで開催されたFutureFrontwomen 2018 LA研修参加者ゆうこさんの振り返りレポートを前編・後編に分けて公開しましたが、今日は私からプログラム企画裏話を書きたいと思います。
ぜひレポートもご覧ください。
LA研修が実現するまで
実は、FutureFrontwomen 2018に関しては、もともと予定していたものではありませんでした。前年6月に西海岸で実施されたあるイベントに私が参加した際、偶然出会った LA ギャラクシー(プロサッカーMLSのクラブ)の女性に、スポーツビジネス界の女性活躍支援活動をしていることを話して、「素晴らしい!LAに来ることがあったら協力するよ」と言ってくれたことがきっかけです。
Next Big Pivot の活動はバスケ界がメインなので、どうにか絡められないかと考えていたところ、ちょうど翌年2月にLAでNBAオールスターが開催されることが分かりました。そこで「オールスター研修」の訪問先のひとつにギャラクシーを組み込めば実施できる、と思いました。ただ助成金を申請している時間的余裕はなく、今回は自費参加になるかなあ、とイメージだけ膨らませていました。
そこまで考えた時、ひとりの女子大学生のことを思い出しました。
それが、振り返りレポートを書いてくれたゆうこさんです。ゆうこさんは FutureFrontwomen 2016の最終選考リストに残った応募者で、「私は絶対MLSで働きたい」という志の高さと意志の強さがとても印象的な方でした。2016年のプログラムはNBA本部がメインでしたので、最終的には選ばれなかったのですが、「この子にはもっとふさわしい機会がきっとある」という確信もありました。
その機会が、こんなに早くやってくるとは、私も面接当時には想定できていなかったのですが、神様はやさしいですね(笑)。
ゆうこさんからの折り返しの電話を受けたのが経団連ホールだったことだけ、なぜかぼんやりと覚えているのですが(笑)、「こういうプログラムをつくることができる状況だが、すべて自費になる。それでも行きたい?」と聞いた時、瞬時に「はい!絶対行きたいです!」という意気揚々とした決意の声が返ってきたので、企画調整を始めた、という経緯です。
LA研修の特徴
ゆうこさんは当時米国留学出発前で、実施期間中は米国滞在中の予定だったので、現地集合現地解散としました。もうひとり、私の非営利活動のボランティア等もしてくれていた女子大学生で、当時渡邊雄太選手がプレイしていたジョージ・ワシントン大に留学中だったバスケ好きのみやさんを誘いました。つまり2016研修のような選考はなしで少数精鋭の機動性の高い参加者チームにしました。ふたりとも英語研修も通訳も不要でした。
たったの二人、と思われるかもしれませんが、少人数にした理由は、企画調整は全てボランティアワークだったので、そもそも公募や面接などを実施している余裕が全くなかったことと、現実的に2~3名以内くらいの少人数でないと、NBAオールスターは渡り歩けないと考えたからです。
もうひとつ、FutureFrontwomen 2016 NY研修との大きな違いは、出発時に決まっていた訪問先の数です。FF2016NY研修では、予定の8割くらいは埋まっていましたが、FF2018LA研修では、NBA Caresとレイカーズユース財団クリニックへの参加と、LAギャラクシー、UCLA訪問、そしてNBAライターの宮地さんとのアポくらいで、日程全体の半分も埋まっていませんでした。
FF2016NY研修は、NBA本部やNBA選手会オフィスなど、普段は行けないような場所に行けて、感激して本当に泣いてしまった子もいたので、最上の感動と学びの場は提供できた感はあったのですが、実際ビジネスの現場で求められるのは、敷かれたレールの上を走ることではなく、自ら課題と目標を見つけ、自力で取り組み、やりきる力です。その意味において、私が作りこみすぎたかな、という反省がありました。初めての企画で、当初は助成金もついていたので、しっかりと内容を埋めていく必要があったというのも本音です。
だからNBAオールスターでの研修は、実践的で自力で一歩を踏み出す力を養うような内容にしたい、と考えていました。私は実はNBAオールスターの現場に行ったことは一度もなかったのですが、サイドイベントまで含めて実際に行われているイベントすべてを把握している人などいないことは容易に想像できたのと、行きあたりばったりでもなんとかなる可能性がかなり高い雰囲気であることは経験上確信があったため、日程を意図的に埋めずに出発しても問題はないと考えていました。それに、その交渉の現場を実際に見せることも、参加者にとって有益だと思っていました。
NBA Cares のボランティア活動への参加だけ最初に押さえ(力仕事チームを希望したのですがパッキングチームに配属になりました(笑))、ロス在住の知人からレイカーズユース財団のEDにご紹介頂き、クリニックにも参加できることになってからは、最悪これだけであとは通りがかりの知人に話しかければ十分学びの機会になると思っていました。NBA本部を訪問したFF2016研修で、ナイキやアディダスのストアに飛び込みで依頼してOKして頂けた経験も助けになっていました。
現地でのアポ取り
前置きが少し長くなりましたが、では実際に現地でどうアポをとっていったのか、についてお話しましょう。日程詳細はゆうこさんのレポートをご参照いただければと思いますが、現地調整分について、私から以下に5つのパターンでご紹介します。
1)あらゆる情報をリサーチし、無料でよい体験ができそうなところを探す
NBAオールスターの関連イベントについては、前述の通りおそらくすべてを把握している人はいないと思いますが、NBA主催の公式サイドイベントの情報は公開されています。NBA Crossoverは公開情報から時間の空いた時に行ってみようと訪問候補に入れていました。実際、アトラクションに参加したり、ピストンズ時代に仕事で運んだ優勝トロフィー(実物!!)と写真撮影もでき、とてもよい体験になりました。
他にもいろいろ企画があったのですが、条件や締切があり、他は参加できませんでした。
本当は土曜か日曜どちらかだけでもゲーム観戦できたら良かったのですが、こちらは予算の関係で叶わず、近くのカフェでのパブリックビューイングとなりました。でもアリーナ以外の場所でファンや地域の人たちの熱狂の渦に巻き込まれることは十分にでき、快感でした。
2)ご招待が来たら必ず行く
最初に訪問した、NBAオールスター開催記念として実施されたバロン・デイビス氏主催の女性活躍支援イベントへの招待は、私がフライト中にレイカーズユース財団から届いていたもので、当日午前中に発見して急遽夕刻に駆けつけることになったものです。とりあえずホテルについてから参加者に伝え、速攻で準備してタクシーを拾い、車中で詳細を確認するというような状態でした。
先方も急なことは承知のうえでお忙しいところお送りくださったものですので、とにかく参加することを最優先し、できる限りの準備で臨みました。この日はゆうこさんだけでしたが、パーティ会場でアドバイスを頂くためのお願い交渉をするところからひとりで挑戦して頂き、学び多き貴重な体験となったことは、彼女のレポートにある通りです。
3)アドバイスをくれそうな人が集まる場所に行ってみる
NBAオールスターのような大規模イベントが催される際には、必ず関係者が宿泊しているホテルがあり、そのロビー等に長時間いると、ふらっと出てきたVIPに会えることがよくあります。あまり狡猾にこの手を乱用するのは個人的には好きではないですが、今回は若者支援ということで、こういう方法もあるよと伝授するために、また実際にどうなるかを体験してもらうために、NBA Cares の受付があったホテルのロビーにあるカフェで数時間滞在してみました。
すると効果覿面で、私が大学院時代にお世話になった方々が数名次々に出ていらして、ご挨拶だけで盛り上がりました(笑)。
そして、会う人すべてに、「こういう目的で来ている、15分ください。」というお願いをしました。BWB(Basketball WIthout Borders)を統括している国際運営部門のトップの女性は、もう15年くらい経つのに私のことを覚えていてくださって感動でした。私が人生で初めて頂いたNBA名刺は彼女のものだったので、久しぶりに再会できて感慨深かったです。
また、(実は数週間前に東京でも一瞬お会いしていた)ディケンベ・ムトンボ氏もちょうど出ていらして、参加者に応援の言葉をくださり、一緒に写真撮影もして頂きました!
4)紹介してもらう
NBAライターの宮地陽子さんのインタビューを終えた時、ちょうど通りかかったフェニックスサンズの広報部長の方を宮地さんからご紹介いただき、突然ですが、的に(笑)インタビューさせて頂くことができました。日本人初のNBAプレイヤー田臥勇太選手がプレイしていたチームですので、最後に「勇太に宜しく!」と言われました。ゆうこさんのレポートにあった通り、米国は women empowerment (女性活躍支援)が重視されているので、みな積極的にご協力くださいます。本当にラッキー☆でしたが、お忙しいところお時間頂きありがとうございました!
あと、その場ではないですが、レイカーズユース財団のEDもロス在住の知人からご紹介頂いたので、やはりネットワーク大事です。他のビジネスも同じだと思いますが、スポーツビジネスは、とくに。大学院時代も米国スポーツ界のトップリーダーとしてご活躍の先輩方は例外なくネットワークの重要性について強調されていました。そして、ご紹介頂くということは、その方のクレジット(信用)を預けてくださっているということですから、失礼のないよう、礼儀を尽くし最大限の誠意をもって接することが大切です。
5)知人に連絡をとり依頼する
これは少し稀なケースかもしれませんが、以前BWBに関わっていた知人を急に思い出し、メッセージしてみたらつながった、というパターンもありました。もしかして来てるかな、くらいの感覚でメッセージしたのですが、運よく、まだBWBのディレクターをしていて、インタビューにも対応して頂けただけでなく、レイカーズのプラクティスファシリティで実施されていたBWBの会場にもご招待くださいました。
会場には、世界中のユーストップが集まりキャンプを実施していましたが、普段レイカーズの選手たちがここで練習しているのかと思うと鳥肌がたちました。また、その運営に携わっていた女性リーダーにもお話を伺うことができ、参加者たちは真剣な眼差しで聞いていました。ご招待頂いた知人のことを思い出すのが1日2日遅れていたらと思うと冷や汗ですが(苦笑)、思い付きのメッセージ1本から大変充実した機会につながりよかったです。
というような感じで、とくにハイプロファイルイベントでは、「チャンスは突然やってくる」から「備えよ、常に」をモットーに動いているとよいと思います。
出発時は参加者も不安があったようですが、この研修では、チャンスは自分でつくるもの、「自ら動く」ことの大切さを十分学んで頂けたかな、と思います。うまくいくかわからなくても挑戦してみる精神は、VUCAの時代に必要不可欠ですので、この経験が参加者の未来に有意義な形でつながれば、と思います。
次回は、「チャンスをつかむ」若者になるために、というトピックで私から FutureFrontwomen 参加者選考基準について書きたいと思います。
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