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NBA Japan Games 観戦レポート~「企業の協賛」の切り口から

ご無沙汰しております。
Her Pivotプロジェクト事務局の黒田です。

6月の投稿を最後に日が空いてしまいましたが、9月30日から10月2日までさいたまスーパーアリーナで開催されました「NBA Japan Games 2022 Presented by Rakuten&NISSAN」のGame2を観戦しましたので、当日の様子をレポートいたします。

試合前練習時のビジョン

NBA Japan Gamesとは?

これまで7度開催。第1回から1990年、92年、94年、96年、99年、03年と2~3年のスパンで開催された後は16年間の間、日本でNBAの試合を生で観ることはできませんでした。

8回目の開催となる2022年は、昨シーズンの王者ゴールデンステイト・ウォリアーズと日本が誇るNBAプレーヤー、八村塁選手の所属するワシントン・ウィザーズの来日が決定し、9月30日から10月2日までの3日間、日本のNBAファンを熱狂させました。

最多の13企業が協賛

 NBA Japan Games 2022 Presented by Rakuten & NISSANの協賛に名乗りを上げたのは楽天、日産自動車、2K、アメリカン・エキスプレス、ヘネシー、北陸製菓、インスタイルグループ、NEC、ナイキ、SAP、サービスナウ、サン・クロレラ、ティソの13社。

 各企業の協賛内容は下記バスケットボールキングの記事を参照頂ければと思いますが、それぞれの特徴を活かした内容で興味深いことが分かると思います。

 私が現職でスポーツの協賛施策に関わっていることもありますので、今回のレポートは企業の協賛という切り口からNBAの試合をレポートさせていただきます。

ユニークな協賛施策で選手もファンもスタッフも一体に

 まずは、実際に現地で発見できた協賛施策をいくつかご紹介。

  1. グッズ販売
    観戦のお供に欠かせないグッズ。もちろん、開場内外にグッズの販売エリアが設置されていました。会場外のグッズエリアは試合開始2時間前の到着で周囲を2周する長蛇の列でしたが、回転は速く40分程度でお買い物を済ませることができました。

    ここではアメリカン・エキスプレスの「AMEXのカードで買い物をした15%オフ(AMEX以外のカードでも5%オフ)」という分かりやすく、アメリカン・エキスプレスが行うことの納得感のある施策もさることながら、NECの顔認証技術を使った決済方法も近未来的で素晴らしいと思いました。
    顔認証も済ませたうえで、実際にこの決済方法を体験する気満々だったのですが、対応レジが一つしかないということで、後に並ぶ人のことも考えて普通に決済(多少時間がかかってもやっておけば良かった・・・と帰りの電車で後悔。)しました。

    ただ、NECが顔認証技術に力を入れていることは充分に伝わってきましたので、これも施策としての効果は高かったのではないでしょうか。

  2. シートアップグレード(どの企業の協賛施策かメモし忘れてしまいました・・・)

    NBAといえばファンで埋め尽くされたコートと、大型ビジョン。さいたまスーパーアリーナにも中央に大きなビジョンが吊され、そこに様々なシーンが映されました。

    印象的だったのは、試合途中で実施された「シートアップグレード」。これはビジョンに抜かれたペアがよりコートに近い席に移動できる、というイベント。

    見事選ばれたご夫婦と赤ちゃんが、ウォリアーズのベンチ近くに移動されました。選ばれた人は協賛企業に好印象を持ちますし、選ばれなかったとしても一体となって盛り上げることが出来る良い施策と感じました。

  3. 「らしさ」溢れるビジョン施策

    もう一つ、協賛施策と企業特性が完璧にマッチしていたビジョン施策をご紹介します。
    NIKEは試合途中で「皆さんのお気に入りの一足を高く掲げてください」というコーナーを実施。

    スニーカーに拘りのあるお客さんがどんどんと靴を頭上に掲げ、ビジョンに抜かれようと奮闘している姿が印象的だったのは当然のことながら、NIKEが何も宣伝することなく、NIKEファンに楽しめる時間を提供したのが協賛社の姿勢として素晴らしいと思いました。

NBA Japan Gamesに協賛する意義を考察

会場外のグッズ売り場

2017年にゴールデンステイト・ウォリアーズと3年間で約68億円のスポンサー契約を結び、さらに日本における放映権も獲得した楽天は、2019年に16年ぶりのNBA Japan Gamesを開催させたことに加えて、新型コロナウイルスの影響で世界中のスポーツに制約が課されたなか、3年後にまた日本でNBAの試合開催を実現させました。

この事実が日本のNBAファン、そしてバスケットボールファンに与えたインパクトは計り知れないものがあります。

 NBAが日本を有力なマーケットと位置づけているというメッセージを受け取ることも出来ますし、近年盛り上がりを見せているバスケットボールをより成長させて行くための起爆剤になりえます。

当然、楽天のグローバル戦略におけるビジネス上のメリットを考えたスポンサーシップであることが前提ですが、それが全面に押し出されるのではなく、ファンファーストに見える設計をとっている点が企業の協賛という意味で注目に値すると思います。

そして楽天以外の12社が、NBA Japan Gamesに協賛する意義として下記3点を挙げることが出来るのではないでしょうか。

NBAを、バスケットボールを、そしてスポーツを応援する企業であるという印象を与えること。
→自分が応援しているバスケットボールを応援する企業に対して、仲間意識が目覚め、仮にその企業の事業内容を詳しく知らないとしても好感度を上げる効果が期待できます。

スポーツという身近で、ワクワクする存在を通じて、自社の事業内容を伝えることが出来ること。
→NECの顔認証技術や、北陸製菓が来場者へ自社製品を配るなど、唐突感なく受け手に事業内容をアピールすることが可能。

リスクがあっても協賛の決断ができる企業であると印象づけることができる→特に日本はまだまだ新型コロナウイルスがスポーツ界に与える影響が大きいです。最悪の場合、試合が開催できない可能性もあるなかで、ビックイベントに協賛する、という決断ができる企業であると捉えてもらえます。

「スポーツへの協賛」の今後に向けて

 今回は企業の協賛という視点からNBA Japan Gamesの観戦レポートを書かせていただきました。

 投資した金額に対して効果を測りづらいのが協賛を決断するうえでの大きな障壁になりえますが、スポーツ市場をより成長させていくためにも、協賛の効果に関する報告にアクセス可能になると良いなと思っています。

 当然のことながら、協賛に対する効果は協賛した企業が保有するものであって、細かく公表することは一般的ではありませんし、それを求める必要もありません。
 例えばセミナーや勉強会で事例紹介としてエッセンスを共有、報告いただいたり、それを元に業界を越えてディスカッションが出来たりする機会が増えたりすると、より知見を深めることが可能なのではないかと思います。
(広報・宣伝系のセミナーや勉強会では、事例紹介としてPR施策や協賛事例などを他社から共有、報告いただく機会があるのですが、自身がその仕事に携わっているか否かにかかわらず非常に勉強になることが多いです。そういった場でのネットワーキングも貴重な機会になっています)

 もちろん、協賛企業でなかったとしても、様々なデータから推論することも可能です。SNSやメディアによる報道は、投稿や記事をデータとして捉え収集し、傾向や分析を行うことは個人のレベルでも出来ます。その分析結果を元にオープンに議論する、といったやり方も面白いのではないかと思います。

 オリンピックのような世界レベルの大会とは性格が異なりますので、今回のNBA Japan Gamesに関して、経済効果に関するレポートが出されるかは分かりませんが、また日本でNBAの試合を開催するためにも、そういった情報にアクセスしやすくなることを期待しています。


最後にお知らせです。
ジャパンゲームスの感動さめやらぬなか、今年3月に開催しましたHer Pivot Project Forum 2022 の延長戦、「Her Pivot Forum 2022 Overtime ~in collaboration with the NBA~」を10月21日(金)に開催いたします!

今回も豪華ゲストにご登壇いただくほか、日本のバスケットボール界で働く女性プロフェッショナルのパネルも実施予定です。

夜遅い時間のスタートですが、ここでしか聴けないイベントになること間違いなしです!ご参加お待ちしております。

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