輪廻転生

俺の名前はヒーロー、髪は金髪だが決して外人じゃない、
低身長で足は短い、小太りの40代のおじさんです、
職業はテニスのコーチを20年間やってます、
29歳の時、6歳下の妹の友達と結婚しました

沖縄では、レッスン生もある程度いて
大人やジュニアの大会を主催したり、
サマースクールやリゾート合宿したり、頑張っています
テニスの教え子から、誕生日プレゼントに
ロックコンサートのチケットを貰った、
ロックは全然興味がないけど、今回は何か心引かれる気がして、
バスで沖縄市の会場へ向かった 。

近くまで行くと、外国の人や、沖縄の人が入り混ざり、
手をつないだりしながら、歌を唄いながら歩いている、

自分の直ぐ横を歩いてる女性の手の甲が触れたのでビックリした、
すると、笑顔を返したので、なんとなく手を差し伸べた、
すると、ごく当たり前な感じで手を握ってきた、よくみると可愛い~

まぶしそうな顔で、見つめる彼女の目は、大きく輝き
髪は、黒く素直に長く伸び風になびく、うっすら、頬と耳を赤くしている、
その視線を直視できず、目をそらしてしまった。

心臓がドキドキして、手から彼女に伝わらないか心配するほどだった
冷静をよそうように、歩きながら、話をした

彼女の名前は、遥花(はるか)
彼女もまた、友達からチケットを貰い、来たらしい、

コンサート会場につくと、けたましいボリュームで
耳が張り裂けそうなのだが
自分の心臓の方が高鳴り、舞い上がり、軽い貧血のようなクラクラ感と
喉の渇きを覚える、

この時間が、どれだけ過ぎたか解らないけど、
気がついたら、フィナーレをかざっていた、

ハッと気がつくと最初に手をとり、
今コンサートが終わるまで、ず~と握り締めていた

何だか、恥ずかしくなり、手を離し、
「ちょっとトイレに行って来る」って言うと、「私も」って2人で行った

男子用トイレに入り、手洗いで顔を洗い、頭を冷やして冷静になろうとした
どうしたんだろう?自分??今の感覚ってなんなんだろう?

鏡に写る自分は40歳のオジサンだ、いくら髪が金髪で若作りだと言っても
10歳ぐらい引いても吊り合わない、
遥花は、何歳ぐらいなんだろう?見た感じは17歳くらいに見える
顔に、何度も、水をバシバシッてぶっつけながら考えた

顔を、ハンカチで拭いて、トイレを出ると、
遥花は、向かいのベンチで、足を組んで待っている、
自分が出てくるのに合わせ立ち上がり手を差し出す、

手を握ると、やっぱり、心臓が高鳴り、心がソワソワして来る 。
もっと、知りたいって気持ちになり、
バス停へ向かう道の途中にあるカフェに入る

やっぱり、コンサート帰りの人々がコーヒーを飲みながら、熱く語っている
奥の白い小さなテーブルに案内され、
座って初めて、喉がカラカラなのに気がつく、
「アイスコーヒー2つ」って注文して、ようやく
自己紹介、彼女は、語り始めた

「私、座波 遥花、27歳、那覇市織名に家族と住んでます、
今日は、友達からチケット貰ったんだけど、ロックって解らないから
いく気無かったけど、何故か不思議な感覚がして、今日最初に手を
触れ合った人により、運命が開くって思ったの、変でしょう?」

それはそれで良いんだけど「こんなオジサンでガッカリしたんじゃない?」
って尋ねた、
「その前から、色んな人に声かけられたけど、この人じゃないと
思ったの、だけど、ヒーローを見た瞬間、この人だって、
笑顔になったんだよ、逆に変な人って思われないか心配だったよ」って

言われて、自分の顔が火照って行くのが解った、
嬉しいような、こそばゆいような

アイスコーヒーの味が、魔法のくすりのように感じた
飲み終わって、店を後にした、

バス停までは、歩いて5分、
そこから、那覇行きの市外線バスに乗りこむ、
後ろから2列めの奥、町並みが見える側に座る
景色がバスの窓を流れていく、

ガラスの窓には、隣に座っている遥花がうっすらと写っている
今にも消えて無くなりそうな、
だけど、肩と肩が触れ合い、
確実に体温が伝わって来る現実と
何とも言えない、夢と現実の狭間をさまよう感じがする
ほんとに、彼女は、会って数時間しか過ぎてない自分を、
愛しているのか?はたして、自分は、彼女が好きなのか?
暖かい体温が、自分たちの結びつきを語ってる気はする
それに、之は、恋なのだと、実感できる 、

言葉は、少ないけど、なぜか、こんなに深い絆を感じられる
座りながら、手を差し出すと、手を握り、遥花は膝の上に乗せた
それが、自然だった、

1時間後に、与儀公園前で降りて、
市民会館の前を通り過ぎ、寄宮の昔、ガラス工場があった所をとおり
寄宮十字路から、真和志小学校に向かい、
それから、織名向けに坂道を上がって行く
500mぐらい行った所に信号があり、その左側に、
薄黄色の2階建ての家がある、 そこが、遥花の家だ、

だいぶ歩いて来たけど、疲れも無く、時間が過ぎるのが早い

彼女が、「家族を紹介するから、寄っていって」って、
だけど、きっと歓迎されないんじゃないかと不安が走る
彼女に押し切られる形で、中に案内された、

玄関から上がり、居間を通り抜け、キッチンに、お母さんが居た、
「始めまして、玉城と言います、」
彼女と同じ黒く長い髪で、スラリとした美しい、お母さんだった
「いらっしゃい、ゆっくりしていって下さいね」って、笑顔で歓迎してくれて、ホッとした、

ほんとは、遥花よりも、お母さんの方が、ヒーローに、
年齢的には、合う気がした
そして2階に上がると、高校生の妹と、大学生の妹がいて、
2人とも、なんだ?この金髪の小父さんは??って顔をしてる 。

遥花の部屋へ案内され、入ったら、まるで、女子高校生の部屋みたいだ、
キャラクターの縫ぐるみ、ポスター、MDプレィヤー、勉強机
シングルのベットにピンクのベットカバー、
しばらくして、お母さんがコーヒーを煎れて持って来た、

遥花は、今日の出来事を、お母さんに話し始めた
それを、楽しそうに聞いてる、

1階の方で、ドアが開いて、閉まる音がした
お母さんは「ああ~お父さんだ」って下りて行った、
そして又、階段を上がる音が
トントントンと


そこで、目が覚めた、
なんてリアルな夢だったんだろう~
遥花は、ほんとに、居るのだろうか???

あまりにもリアルな夢で気になって気になって、仕方が無かった
夢で見た場所に、何度も足を運んだ、

だけど、道路拡張の為に立ち退きで、その家は無くなってた
近くの人に、尋ねたけど、『解らないねぇ~』って言った

それでも、気になって、何度も行って、帰りはその近くの
大衆食堂で、食事を取るのが、日課になってた

3ヶ月ぐらいして、食堂のオバさんが、
『ほら、この人よ!あんたが探してた薄黄色の家の人は、』
って、紹介された、
その人は夢で見た人より20歳ぐらい上に見えた
ヒーローが、不思議な夢の話をしたら、
確かに共通点が多いとのことで、食後に、その人の家に案内して貰った
お茶が出され、世間話をしながら、部屋に目をやって
ああぁ~って、毛がたってしまった

TVの後ろの飾り棚に、自分が撮った子供の写真が
小さな額に入れられ飾られて居た
『この子は、今から、20年以上前に、光明寺の遊び場で 自分が撮ったんですよ~、あの頃は、カメラマンになりたくて良く、
写真を撮ってあげてました、甥っ子達とも気が合って、
5~6回、一緒に遊んだな~、確か、翌週も来るって
約束してたけど、来ませんでしたね 』

『憶えています、実は、その話を聞いて、変な人だったら
大変だと思い、逢いに行こうと泣き弱る娘を
柱に括り付けて、行かせませんでした』って涙を流しながら話した
急に不安になって、
『それで、彼女は、もう結婚してるんですか?』
『実は、17歳の時、交通事故で、亡くなったです』
って、毛が逆立ち鳥肌またまた立って来た
お母さんが、落ち着くのを待って、アルバムを見せて貰った、
確かに、夢で見た、妹や、お母さんそして遥花が居る、
笑顔が可愛く
まぶしそうな顔で、見つめる彼女の目は、大きく輝き
髪は、黒く素直に長く伸び風になびく、
うっすら、頬と耳を赤くしている、
そんな、遥花が、ほんとに居た
嬉しい気持ちと、悲しい気持ちが入り交ざり、動けないでいた
その時、お母さんが、7歳の頃の写真を持って
『この時が、遥花の初恋だったかもしれませんね~』
って静かに、呟いた、
7歳の遥花
17歳の遥花
ようやく、心が落ち着いてきた
2人に出会って、良かった
お母さんが「実は、お父さんも亡くなって、寂しい思い出しかないので
糸満に自宅を建てていて引っ越すんですよ」って話した
最後に逢えて良かったと思った、夢に出てきたのは、きっと、
私が生まれ変わる時が来たんだって、
知らせる為だったのかな?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く

時は過ぎ、ヒーローは54歳になっていた


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