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文化財施設・観光施設で使える!アンケートの取り方のコツ。【後編】-対面でとるメリット-

前回は、施設運営で使えて続けられるアンケートの取り方のコツ、書きました。
今回は、アンケートの中でも、金太郎アメ的に同じ太さでとることが難しい対面アンケートの取り方のコツと、メリット書いてみます。

対面アンケートの取り方のコツ

突然ですが、あなたはこんな対面アンケートの取り方していませんか?

=はい、イベントはじまりました~ すごーい30名様も来てくれた
=ご来場者様の座席にはアンケート用紙1枚ずつちゃんと置いた
=書いてほしいからクリップペンシルつけた。他チラシもあるけど一番上にアンケート用紙置いた
=で、イベント終わりました~
=めっちゃ反応良かった!アンケート結果もいいはず♪
=会場撤収終わりました~ 結構いい時間、アンケートでも見ようかな
=(回収箱を見る)あ、2枚ある~ 
=回答その1「とても勉強になりました!また来ます!21歳 女性 大学生」
=回答その2「期待外れ。時間のムダだった。76歳 男性 無職」
=で?で?で?どうやって、これらを分析するの!? 単なる感想と何がちがうの?次にどう活かせる?? 一体何が分かるんだ!
=アンケートって、やっぱ意味ない

意味はあります。とても。
では、上記の問題点を見ていきましょう。

この場合、3つの問題点があります。

①「対面」アンケートとは何かを考えていない
②タッチポイントを設計していない
③何のために取りたいかを伝えていない

①「対面」アンケートとは何かを考えていない

さっきからしつこいほどアンケートの前に「対面」と書いています。それは、施設でとるアンケートは、対面とそうではないものに分けると有効なデータがとりやすいからです。
逆をいうと、対面アンケートは、これから書く②と③の工夫をしないと、ちゃんと取れないです。絶対に。私(たち)は同じことを約5年間やり続けてきたので、経験上まちがいないです。

ちなみに対面ではないものとは、オンライン回答とか、書面送付とか施設の人間が回答者の前にリアルに現れないで、書いていただくものです。

②タッチポイントを設計していない

上の例の人は、有効な対面アンケートを手にすることを、あまりにもカンタンに考えてしまったために、意味をなさない回答用紙たち2枚をこの世に生み出してしまいました。今どきありえない時間と資源のムダをやらかしてしまいました。

端的に言います。対面アンケートは、基本、書くのがめんどくさい

ここ、重要。めんどくさいのです。あなたもそうではありませんか?
信じられない感動をした後に、アンケート用紙に向かうのって苦痛ですよね。あるいは、言いたくないことをあえて書いた紙を施設の人に渡すのって、おっくうですよね。(その施設のファンでもない限り)

だから、施設側がアンケートをとりたいと思っている、それがとても重要だと思っている、書いたものをこの人たちは必ずちゃんと見る、という印象をま・ず・は・確実に持っていただく必要がある。そうしなければ誰も書きません。めんどくさいから。

そこで、回答者に対して必ず複数回のタッチポイントを設定します。タッチポイントとはアンケート用紙を手渡したり、それについて呼びかけたりする空間上の接点のことです。

上の例では少なくとも回答タイミング前に3回は設定可能です。
1回目、イベント開始前の待ち時間にスタッフが「アンケートご協力おねがいします」という。
2回目、イベント開始の挨拶時に司会者もしくは登壇者が、アンケートの存在について触れる。
3回目、イベント終了後に施設側の人が「アンケートご協力おねがいします」という。

これだけです。まずは言うだけでいいのです。
例えばイベントではこんな感じ。

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一般サービスの満足度では、こんな感じでカフェなどでお声がけしても効果的です。

2018.11.18-無鄰庵-79

余裕があれば、アンケート用紙をあえて入場時に手渡しして個別に呼び掛けもできます。
〈また今度書きますが、施設への入場・入室のタイミングは利用者様にスタッフが個々にタッチできるまたとない機会なので、利用しつくす〉

一つのイベントに最低3回のタッチポイントを目安にしてください。
これでめんどくさいを乗り越えて、有効回答率が格段にあがります。

③何のために取りたいかを伝えていない

めんどくさい、を乗り越えるもう一つの強力な方法。
それはこちらの目的を伝えること。

同じ部屋の目の前の人間から、「私(たち)は~~のために~~したい」と言われたら人は簡単には無視できません。ましてや、自分が興味を持って足を運んだ施設の人からそういわれたら、「~~のために」の部分には、耳を傾けていただける可能性が高い。そして、新鮮に聞こえます。

「へー、そんなこと考えてるんだね」と思ってもらえます。必ず。

前回も書きましたが、「~~のために」はその施設をどうしていきたいのか、とイコールですので、そのまま伝えます。
地域の方の来場を増やしたいからどこから来た方が多いのかアンケートとっています、とか
毎年このイベントやっていますがマンネリ化してきたので来年への改善点を知りたくてアンケートとっています、とか

なるべく具体的な方が意味があります。芸術文化振興のためにアンケートとってます、とかいうと「あたりまえだろ」となりますので。

ここまでくると、ご想像がおつきの方もあると思います。
対面アンケートのタッチポイントはアンケート収集と同時に、施設のファンを作ることができるチャンスです。ファンとは、施設の運営理念に共感する人たちです。
では2つ目のトピックいきましょう。

対面アンケートのメリット

対面アンケートに回答してもらうためには、その目的を伝える、目的を伝えるイコール施設が「こうありたい」を伝える、こうありたいは理念、だから、それを知って共感してくれる人が今日のイベント参加者の中にはいる。

ちょっと飛躍しているように感じるかもしれませんが、実は、対面アンケート収集と、ファン創造はとても近しいことです。

対面アンケート収集は、施設のメッセージを直接伝えるタイミングだとおもいましょう!一石二鳥!

これは施設対、利用者様の関係においてのメリットですが、施設内の組織づくりにおいてもメリットになります。

対面アンケート収集は、施設スタッフがメッセージを共有するタイミングだとおもいましょう!一石三鳥!

ちょっと恥ずかしいけど、がんばって目的を伝えてとれたアンケートは読みますよね。集計して分析しますよね。その結果見るの楽しいですよね。次はどうしたいって思いますよね。
このプロセスに加わった人は、もはや高ロイヤリティスタッフ以外の何者でもない。

最後に、無鄰菴で最近コロナ状況下で実施しているアンケートの例↓
今回書いたことがぎゅっとつまった10枚程度を、毎日集めています。

図1

これらの対面アンケートのコツとメリットが、明日からの貴施設のお役にたちますことを願います。

文責:ヘリテージデザイン 山田咲



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