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文化財施設・観光施設で使える!アンケートの取り方のコツ。【前編】-取る前に決める-

文化財(文化)施設で、通常ご利用いただくサービスや、特別にイベントやったりするときに「で、満足度ってどうなの?」とか「これってどういう効果があるの?」という疑念をいただくことが多々あります。

そんな疑念をふき飛ばすのは客観的なデータ。そして、施設運営においては入場者数と同じぐらいアンケートデータがとても重要。そして運営に活かすためには一回限り、きまぐれに取るのではなく、取り続けることがとても重要。
そこで、施設運営の忙しい毎日の中でも、今回は使えるアンケートを、取り続けるコツ、書いてみます。

続けるコツは、アンケート取る前に決めるポイントを押さえておくこと。ポイントは以下の2点。

①そのアンケートで何が知りたいのかを決める
②無理なくアンケート取れる頻度と方法を決める


①そのアンケートで何が知りたいのかを決める

ですが、意外と根深いです。つまりとったアンケートを未来の運営にどう生かしたいのか、もっと言うとどういう施設にしたいのかに、この決定は紐づきます。

立ち上げたばかりの施設だからとにかくたくさんの人にきて欲しい、とか、地域の人にもっときて欲しい、とか、施設の特性を深く理解してくれるコアファンを増やしたい、とか、大まかでも方向性があると思いますので、ここで思い切り夢を描いておきます。

難しいと決めつけずに、ありえないぐらいの夢のような目標で良いです。そして可能であれば、その目標を数字に置き換えておきます。前年度比20%増とか、3割が同じ自治体からきた人、とかです。
とはいえ、実は目標ってとりあえずそこに向かって進んで、後から修正するものなので、はじめはあればいいぐらいに軽く考えてください。

そうすると、毎日ご利用いただく方の属性やニーズを捉えたいのか、特別イベントで初めてきてくれた方々が、企画段階でねらった層の方々なのか、など、どこでアンケート取るべきなのかが明確になります。

例えば、京都の名勝無鄰菴では、リピーターを全体数の25%ぐらい保っておきたい、という目標があります。なので、これは窓口でこれから入場する方々に無作為で聞いています。

これで「使える」アンケートを作る準備ができました!

②無理なくアンケート取れる頻度と方法を決める

①で目的が決まったら、必然的に誰に対してどんな内容のアンケートを取ればいいのかは決まります。では、必要な情報が信頼できるデータになるまでに、何件のアンケートをとったら良いのでしょうか。

答えは、とり続けることができる件数、です。
施設においてのアンケートは、同じ内容を比較的長期(数年)間とり続けて、違う時期どうしの結果を比較して、目標の達成度を測るために使うことが多いです。

一回限りのイベントの場合でも、他のイベントとの比較などが意味をなす場合が多いですので、次回同じタイプのイベント実施の際も、無理なくその件数(あるいは利用者に対する割合)が取れるのかを想定します。

あるいは、窓口で無作為に取る場合でも、全てのご来場者に聞き取るのは現実的ではありませんので、1時間に2名ずつ、1日で10名、などと決めておきます。

この日は10件とったけど、この日は100件とれた、はNGです。毎日毎回コツコツ同じことを続ける、が基本です。

繰り返しますが、気まぐれで思いついたときだけアンケートとっても、運営においてはあまり意味がありません。ちゃんと比較できるように、細くてもいいから金太郎アメ的に同じ太さでとることが大事です。

では、方法は?こちらも答えは、同じ。とり続けることができる方法、です。これと関係してもう一つ重要なポイントが、後から分析しやすい方法です。

紙に書いてもらった回答を一件ずつエクセルに打ち込んで…いざ分析となると「あー、いま見る気しないな。グラフ化めんどい。明日にしよう」となったり。

でも、アンケートとって読み込むヒマがない、は純粋に時間のムダ。回答してくれた方にとっても。(そう、収集と集計の大変さを実感したあなたが、それを一番わかっているはず〜)

ツールとしてオススメはgoogleフォームです。紙なし、打ち込みはその場で回答者が自分でできる、そしてグラフ化してくれます。こんな感じ。

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超便利。無料のサービスでバックアップも簡単です。他にも配布されているサービスがあるので、続けられるものを探してみましょう!

ちなみに、先ほど書いた無鄰菴のリピーターを25%ぐらいにしたいの目標に対しては、こんな結果です。

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やっぱ超便利。これで続けられる!

いくつもの業務をひとりのご担当がされている施設がほとんどだと思います。

効果が測りにくく、暗中模索(あるいは後回し)になりがちな活用方面の業務ですが、コツコツと使える中身のあるアンケートをとり続けていれば必ず光が見えてきます。活用の必要性が明確になります。
そして、いろんな人といろんな話が進めやすくなり、ムダが減る。

次回は、対面でのアンケートの取り方について、書きます。


文責:ヘリテージデザイン 山田咲




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