小池百合子を嫌いになれなかった

※政治的主張を振り回す記事ではないです

噂の「女帝 小池百合子」を読みました。

結論から言うと、この本の真偽はともかく(ここ結構大事)、自分の生き方といくつか重なるところがあって、ここ最近で一番の読書体験でした。

(浅川芳裕さんの「カイロ大学」(ベスト新書)を読めばわかるのですが、小池さんがカイロ大学を本当に卒業しただとかどうだとか検証しようとすること自体たいして意味がないので、この本に書かれていることの真偽もあんまり気にしない方向でいきます)

人間の解釈

そもそもこの本の作風自体も大変衝撃的というか、めちゃくちゃ主観的な書き方で驚きました。実在する人間に対してここまで言えてしまうのがすごい。悪い言い方をするとこれは偏見ではないのか?言い過ぎでは?みたいなものがたくさんありました。

でも結局わたしは小池さんと会ったことも話したこともないですから、わたしの方がよっぽどの偏見をぶっ放す危険性があるわけです。それを棚に上げてこの人は偏見を言っている!って決めつけてしまうのって、結構自分勝手なことなんだなあと反省しました。

エネルギーのでかすぎる悪口ほど相当の理由があってのことだというのも往々にしてありますから、その理由を無条件に否定するのってちょっとひどいですよね(本当に理由もなく悪く言ってるのは意味が分からなすぎるので無理です)。

結局人間の性格って解釈する他人の数だけあるといっても過言ではなく、この本では小池さんという人間のうちの「石井さんからみた」小池さんが中心であるのにすぎないので、この本の内容って100%事実とは言えないにしても半分くらいは本当なんだと思います。自我って他人とのかかわりで生まれると言われますが、性格についても同じですよね。

希少価値の最大化と逆張り

「石井さんからみた」小池さんにわたしが共感できるポイントは、自分の希少価値が最大化する場所を追い求めている、というところです。

前者はいわゆる私の「逆張りオタク」的な思想と似ているなあと思います。本によると、小池さんの高校生の時の夢は英語通訳者だったらしいのですが、実際の通訳の仕事や競争率を目にし、一度夢をあきらめてしまいました。しかし、自分の希少価値を高めるために日本の大学を中退し、当時(今でも?)日本ではマイナーだったカイロでアラビア語を学ぶことを決意し、単身でカイロに飛び込んでいったのです。小池さんのすごいのはどちらかというのここまでの行動力にあるんですが、こんなにカッコイイ逆張りある?と思わされました。面白いのはここからで、カイロに行ってから熱心に勉強したというわけではなく、逆に「芦屋出身のお嬢様」を武器に、巧みに人脈を形成していきました。(これ以外にも色々ぶっとんだ話があるんですが、これ以上書くと都政批判につながりかねないのでやめておきます)こう、常に自分が希少価値を最大化させるためならなんだってする姿勢に悔しくも共感してしまいました。

もちろんコツコツと努力して何かを身に着けるのも大事だと思いますし、そうして得たものはどこへ行っても評価されるものになるとは思います。ただ、思春期を引きずって自意識がたまらなく肥大し、さらに努力を放棄しているわたしは、自分が評価されるには評価されるような環境に行けばいいじゃないというある種の甘えみたいなスタンスが心の根底にあるので、あえてこれを貫きまくっている小池さんに憧れさえ感じてしまいました。再度言いますが、小池さんがこれで成功(?)しているのはこの行動力故なんですよね。そこはぜひ見習いたいと思います。私ビビりなので。

おわりに

私はあまり政治や政治家の話はしないので、突然何言ってんだコイツと思ってもらって構わないのですが、そう思われてもいいくらいにこの本の読書体験が深かったので本当におすすめしますし、一度でも自分の現状に不満を持って何かをしたことがある人は、たぶん小池さんのことはキライになれないと断言します。

では。






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