烏に夜更かしが止まらない 〜日記『眠るのが下手すぎて。』vol.19〜

一昨日の深夜。もう1時になろうかという頃に、カラスが2羽延々と鳴きながら同じところをぐるぐる回っていた。

そんな時間にカラスが飛んでいることは滅多にないうえに、いつまでも同じところを回り続けているので異様な空気すら感じた。

一体何があったのだろうか?

仲間に何かあったのだろうか。それとも親とはぐれてしまったのだろうか。2羽はどんな関係なんだろうか。

正直に言うと、子供の頃から何のトラウマがあるのか飛べる生き物が全般に苦手で、特に鳥は苦手。まして黒々として大きくて不気味なカラスなんてもっての他で、恥ずかしながら見かけるだけで足がすくんでしまう。

それが、たまたま見かけたカラスの事情まで心配してしまうようになっているのは、最近ハマっている小説のせいだ。

阿部智里さん著の「八咫烏シリーズ」。

もう第一部は完結していて既にコミカライズもされているこの人気シリーズに今更ながら気づいたのは、第二部のスタートで色々な所で盛り上がっていたから。

編集者としては今頃気づいたのは恥ずかしい限りなのだけど、「世の全ての作品に目配せがきくわけではないので仕方がない。むしろ気づいた時にどれくらい早く手に取れるかの方が大事だし。。。」と言い訳しながら手に取ってから1か月弱くらい。久々に夢中で読み続けてしまっている。

神話にも登場する三本足の烏・八咫烏。人間の姿にもなれる八咫烏の一族と彼らが暮らす世界を描く和風異世界ファンタジーである、このシリーズ。

幕開けは、八咫烏一族宗家の後継のお妃候補たちがその座をめぐって静かに火花を散らしていく話から始まるのですが、、、。

読み進めるうちに、次第に4人のお妃候補である姫たちが感じる違和感と同じ感情を持つようになり、その頃合いから物語は大きく転換していくことに。

初めは「後宮ものか。何か少女まんがの参考になるかな」くらいに思ってたのだけど、とんでもない。とんでもない凄いシリーズだった。

「は?」「え!?」という驚きの連続で、毎巻思いも寄らない所へ連れて行かれる感覚を味わうことばかり。

そのような物語の醍醐味を味わえるだけではなく、八咫烏たちの暮らす『山内』という世界の美しい描写に心惹かれたり、神話や民話、はたまた落語にも通ずるような人間の情と業の描き方に心揺さぶられたり、登場人物たちの活躍に血湧き肉躍るような思いを掻き立てられたり。

ちょっとでもネタバレしてしまうと、これから読む人に非常に申し訳ないことになるのでこれ以上詳しくは書けないのだけど、とにかく面白い。

もし興味を惹かれる方がいたらぜひ読んでみてください。

累計150万部と帯に書かれているけど、もっともっと沢山読まれるべきシリーズだと思う。


しかし。

著者の阿部智里さん、若干20歳でこのシリーズの1作目を書きデビューされたとか(シリーズの5巻目『玉依姫』の原型はそのもっと前に書かれたらしい)。

どうやったらこんな才能を育めるのだろうか。

編集者としてはそんな思いで悶々としながら、読者としてはこの若き才能がこれから沢山生み出してくれるであろう作品の数々を心待ちにしたい。


さて。続きを読まなきゃ。

サポート機能を使うことにしました。いただいたサポートは、また他の誰かをサポートするのに使わせていただきます🙇‍♂️