4月の記憶とエール。
先週うちの会社にも新入社員が入り、毎年恒例になっているのですが、各編集部をぞろぞろと挨拶に回って来ました。
回ってくる新入社員たちは不安と緊張でいっぱいだと思うのですが、こちらはいつも「もうそんな時期か」と思ってフレッシュな気持ちを思い出したり、「今年はどんな子がいるんだろう」と興味津々だったり、この季節ならではの行事として楽しんでます。
この行事は自分が新入社員の時もあったのですが、正直自分がどんな感じだったかは全然覚えていません。
編集部配属後は強烈な思い出ばかりなので、結構色々と覚えているんですけどね。
まだ編集部配属前のことで僕が覚えているのは、会社内の出来事よりもむしろ書店研修に行ってた時のことです。
書店さんのご厚意ご協力で、実際に店頭で書店員の皆さんに混ざってお仕事を学ばせてもらうのですが、僕は実家近くの埼玉県と千葉県の県境の書店さんにお邪魔してました。
たまたまお世話になった書店さんが当時は深夜0時まで営業しているお店だったので、地元ということもあって最初から遅番に入り、深夜2時頃まで働いてました。
学生時代ド貧乏だったので、いきなり残業代がもらえるのが美味しいと思っただけなんですけどね(笑)。研修なのに深夜まで勤務OKな珍しいやつということで、結構可愛がってもらえました。
研修でどんなことをやるかというと、書店研修の際の恒例行事なんでしょうけど、まず大体みんな返本作業から体験させられます。
「毎日、毎週、これだけの本が売れないまま返されるんだよ。よく覚えといてね。自分が好きかどうかじゃなくて、ちゃんと読者の人にとっていい本を作ってね。」と店長に言われたことを未だに忘れてません。
まだ雑誌も本も沢山売れてた時代なのに、結束の仕方が一生忘れないくらい体に染み付くほど、何箱も何箱も返本の箱を作ったのも鮮明に覚えてます。
今は一体どのくらいあの箱を作るのか想像すると、ちょっと申し訳ない気持ちになりますね。。。
もう一つよくやった作業が漫画の単行本の袋詰めでした。当時はシュリンクマシーンという自動で袋詰めする機械がまだなかったので、1冊1冊手作業でビニール袋に詰めてテープでとめてたのです。
大変な作業でしたが、作業しながら書店員さん達の話を聞けるのは楽しかった。
どの書店員さん達も、皆さん本に対する愛情が深くて、出版社の新入社員なんかじゃ全然敵わないほど知識量も凄かった。こんな自分で大丈夫なんだろうかと焦りまくったことも含めて、いい勉強をさせてもらったなと感謝してます。
研修は2週間ほどでしかなかったのですが、その他一通り教わったあと、送別会まで開いてもらい、その後も時々本を買うついでに顔出しに行くといつも良くしてもらってました。
「いつかヒット作を作ってね。」と応援してもらってたけど、皆さんがその店舗にいて、お会いできる間には実現できなかったのが残念だったなあ。
最初に仕事で関わった書店員さん達との思い出が良いものになったからか、その後今に至るまで、色々な書店員さん達とお話しさせてもらうことが多いです。以前はツイッターで募集して書店員さん達との飲み会をやったりもしてました。
社内にいるだけじゃ分からないこともあるし、視野が段々狭くなっていることに気づかされたりもするし、何より最も読者に近い方達なのでどんな意見も貴重で勉強になる。
書店員の皆さんに、僕は仕事の多くを教わってきた気がします。
というわけで、新入社員の皆さん。
もし仕事で辛くなることがあったら、会社の外にも相談できる人はいっぱいいますから。色々な人の助けを借りていいんだよということを覚えておいてください。
これからの幸運を祈ってます。
ではでは。
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