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一風変わった奥の院歩き:中の橋

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かつてトロッコ鉄道があった跡

  No65、市川團十郎墓碑そばの橋の下は、
  かつてトンネルだったそうで、
  トロッコ鉄道が通っていたとのこと。

  コウヤマキ製の枕木が、
  まだかろうじて残っている。

  トンネルや暗渠には、
  コウモリが住んでいるのだが、

  フランスではバットグアノという、
  フンの堆積物から良質の肥料が採れるので、
  重宝されているけれど、
  日本では国費が出ず自費で研究するしかないので、
  調査が進んでいない。

  コウモリの個体数の割に、
  高野山のグアノは異様に少ないそうだ。

  何かが分解してんじゃねぇかって、
  予想はされてるけど証拠が見つかってない。

芭蕉の句碑から分かる事

  No74、芭蕉句碑の所で先生立ち止まる。
    父母の しきりにこいし 雉の声

  「今はキジ奥の院に住んでいないんですよ」
  「というよりキジって開けた湿地に住むんですよ」

  つまり芭蕉の時代高野山の風景は、
  杉も松もまだそれほど伸びていなかったし、
  今と全く違ったものだったと察せられる。

  後世の人間はつい、
  昔から変わらない風景のように思いがちだが。

たくましさの極み

  さて古いお墓にも生き物がいるという話。
  こびりついている汚れのような白い物。
  これが実は地衣類です。

  石を溶かしてミネラル吸うんだってよ。

  溶けた後の凸凹にコケが生えて、
  光合成してくれて出来た糖分を、
  共生菌が利用する。

  ミクロの世界で儚いように思えるけどね。
  奴らはつまり滅びないんだよ。

さてわりかし切ない話をするよ

  ヒノキの若芽が食われてます。
  クリンソウは残ってるかと思いきや、
  ちょっとずつ無くなってきました。
  トリカブトは伸びまくりな一方で、
  スズタケは壊滅的。

  ふもとの紀伊清水ではヘラ竿が名産品で、
  スズタケは良い材料なのに、
  もう取れない。

  一体誰の仕業でしょうか、
  という質問には、
  シカと答えるしかないんですよ。

  シカ、可愛いですよね。
  見つけたら写真、撮っちゃいますよね。
  人間が野犬とオオカミ滅ぼしちゃった結果、
  今はシカの食害が問題になって、

  害獣として殺さなきゃいけないんですよ。
  誰かやってくれない?(先生悲しげ)

  実は生物種としては弱々しくて、
  くくりワナにかかってぶら下がったら、
  およそ2時間で死ぬんですよ。

  脚を動かしていないと、
  血の巡りが悪くなって苦しんで。
  そりゃあ暴れますよ死に物狂いですからね。
  お腹に赤ちゃんがいて、
  解体中も動いてたりするんですよ。

  もちろんジビエ業者と提携して、
  せめて肉くらいは利用していますけどね。
  害獣駆除として廃棄するよりはマシでしょうよ。


高野山の旅まとめ

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