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2023年上半期の短歌

⭐︎S・O・S ・音楽・視界・追え・紫煙・おまえの・せいで・おかしくなった・ 吊るされた男を下ろし縄の跡なでてカードの意味を変えたい この場所をこわがるきみは砂浜に打ち上げられた鯨の来世 耳を澄ませ目に焼き付けろ今そしていつか会えなくなる日のために 愛情は気化するという言い伝え信じすぎたし焦っていたよ 押入れで持て余してる感情は蒸発するか沸騰するか そもそもさ気体になった愛情に価値がないとは限らなくない? さわれなくなった日からが本番だ吐いたら吸えばまた吐ける愛

    • バンド短歌連作「全ての花は咲いてから散る」

      永遠の夏を皆で作ったね誰もが歌って笑っていたね 落ちていく花弁を見てて 綺麗事無視してここを選んだのなら 縛られた体に花よ降り注げ色とりどりの肌になるまで 変わってく世界を進むついでにさ綺麗な花束あんたにあげる 疲れたら眠れや眠れ 希望とは言えぬ朝にも音楽は鳴る 十年間漕いでようやく辿り着く舞台の上で球体揺れる あの頃の僕たちはまだ 僕たちはまた これからの僕たちだって 覚えてて古い映画の言い伝え 鐘が鳴ったら事件が起こる 悲しみも愛も隣で見てきたし逆の世界で

      • 短歌(藤子A展によせて)

        ドーンって音が耳から脳髄のスキマに入り そのまま溶けた 暗闇で光る仕様のおもちゃだけ集めたみたいな街、六本木 セールスに引っかかりたい破滅すらわたし一人じゃうまく出来ない 平成の苛めっ子らを縛り上げ魔太郎の前に差し出すもよし 水中花 憎しみと恋に包まれて咲いてるものがいちばんきれい 終電をうっかり逃してしまったら忍法ムササビ使って帰る 大丈夫、ちゃんと帰れる空に浮く石とバッタリ出逢わなければ A先生 、今度は魔の巣で集合ねココロのス

        • 怪物の話(短歌編)

          始まりは絵画の街で 再会はホテルと墓場だらけの街で 不可思議だ、君が鏡に映ってる この世の全ては大嘘なのか 悪いのはお金を受け取る君であり渡した誰かに罪はないのだ 悦びを配る代わりに喜びを剥ぎ取る彼も確かに大人 百人の未来を潰せる怪物がどうして私とここにいるのか 君が街を出て行くまでにはきっと死ぬ金魚を掬い夏を始める

        2023年上半期の短歌

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