「高速」

 今月14日(2021年5月)、首都高6号線(向島線)の上り、ちょうど両国あたりから浜町へと隅田川を渡るカーブで乗用車が川に転落する事故がありました。両国ジャンクションと呼ばれる地点で、7号線(小松川線)と合流するために、2車線が1車線に絞られて隅田川を渡る右カーブです。

 事故原因はまだ発表されていませんが、スピードの出し過ぎで右カーブを曲がり切れず左壁に衝突、反動で右に向かって弾かれて、右壁を乗り越えて川に転落した模様です。運転していた20代の男性は死亡しました。

 さて、その「首都高」は、正式名称「首都高速道路」ですが、機能区分としては「自動車専用道路」であり、東名高速や名神高速のような時速100キロ(80-120キロ区間もある)で走れる高規格道ではなく、制限速度は50-60キロです。湾岸線のように新しくてまっすぐで幅が広い区間では80キロ制限もありますが、それは例外です。

 50-60キロ制限とは、つまり、下道(一般道)と変わらないわけです。

 それなのに、なぜ、「高速」道なのか。


 鉄道マニアならピンと来るでしょう。

 「高速」とは、スピードのことではないのです。

 では何か。


  乱暴に言えば、「信号」や「交差点」がないことなんです。


 鉄道の場合、「高速鉄道」とは「地下鉄」のことを指しました。戦前にさかのぼる話です。

 往時、郊外電車はありましたが、それは文字通り、新宿や渋谷、池袋のターミナル(終着駅)止まり。それより山手線の内側は、市電・都電と呼ばれる路面電車-わたしが子供の頃、松山の路面電車の伊予鉄を「チンチン電車」と呼んでいました。いわゆる「坊ちゃん電車」です-が引き受けていました。

 しかし、路面電車はモータリゼーション(これ、もう死語だなあ)の進展により、どんどん運行速度が遅くなっていきます。

 で、それを解消するために考えられたのが「地下鉄」でした。路面電車は専用軌道とはいえ、自動車道と道路を共有しているため信号も交差点もあります。しかし、地下に収めれば、ホントの専用軌道、渋滞知らずで「早く」走ることができます。だから「高速鉄道」と言ったんです。 

 おそらく首都高も、この「高速鉄道」の考えに準じて名付けられたに違いない。←裏とってない。本日も酔っ払いの思い付き。

 

 ところで、いわゆる「中央道」は、東名や名神などと同じ「高速自動車国道」という名の高規格幹線道路です。ユーミンが「♪中央フリ~ウェ~」と歌って府中の競馬場やサントリーのビール工場が有名になりましたが、フリーウェイとはアメリカでは「無料」の「高速道路」のことです。ここではアメリカの「高速」については述べませんが、わが中央道は有料です。フリーウェーじゃありません。

 いいじゃん。こまかいこと言うなよ。流行歌の歌詞なんだから。

 その通り。

 あした(5月22日)は、※トタで仕事が休みになったので、「浪漫特急」上げます。←絶対だよ、たぶん。翻訳のはずなのに、フィクションてんこ盛りです。いいじゃん。こまかいこと言わないでね。お楽しみに。

 追記

 昨晩は酔っぱらっていて書き忘れていたことを追記します。

 ビール工場といえば、キリンの工場がある首都高1号線(横羽線)の生麦辺りはけっこうなS字カーブとなっています。このS字を舞台に、どでかいアメ車2台で煽り運転(妨害運転)をして、復讐の標的のパトカーを高架下に転落させるというのが、矢作俊彦の『マイクハマーへ伝言』でした。もう43年も前の作品になるのか。




※トタ=おそらく「途端に」の略で、新聞界の業界用語としては、打ち合わせにはなかったが、その後発生した事件なりなんなりで、急なことだが紙面に入れる記事のこと。まあ「予定外」ぐらいの意味かな。コレ、「日本語の破壊についての簡潔な報告」の見出し語に立ててもよかったなあ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?