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ケア、大丈夫だったかな~福祉、支援職の人々が集い話した記録(2)~

今回も対人支援職の方々に集まり頂き、密度の濃い対話会ができましたが、ハプニングも多い会となりました。(それでnoteタイトルが「大丈夫だったかな」となっています。ちなみに対話会のテーマは「支援していて楽しかったこと、やりがいを感じた瞬間」でした)

楽しそう!!

前回の対話会について知りたい方は以下記事をお読みください。

ケア、はじめました~福祉、支援職の人々が集い話した記録~|helpwell [公式]|note

また、ケアと対話会の説明、主旨について知りたい方は以下記事へ。

ケア、はじめます~居心地よく自分に還れる対話会を~|helpwell [公式]|note

(1)ハプニングとは何だったのか

季節の変わり目。私もそうですが、色々な方々の心身に負担がかかり、しかも忙しくなります。急用で参加できなかった人、移動中で聞き専だった方(zoomのチャットで参加してくれて、終盤、声を出してくれました)、体調不良で自身の健康と相談の上、参加頂いた方等様々でした。

また、これは季節の変わり目を理由にできませんが、ファシリテーターである私自身も、いつも以上に緊張した会となりました。

ファシリテーターはただ上手い感じに司会をするのではなく、参加された方々の発言に共感しながら、本音の感想を述べたり、話が広がるような新たな問いを投げたりする必要があると感じていました。

それは深海を潜りながら、同じく潜っている方々と手を取り合い、光の方へ泳いでいくような、手探りの難しい作業であると思います。

誰かの発言に対して、私の中ですぐに返答が浮かばなかった場合、敢えて沈黙してから、一つ一つ言葉を紡ぎ答えた場面もありました。参加された方々の発言や問いのレベルが高いからこそ、手探りのやりがいを感じられたのだと思います。

(2)どのような話をしたのか

①やりがいを感じた瞬間

冒頭にも書いた「支援していて楽しかった時、やりがいを感じた瞬間」という問いに対して「目の前のクライアントさんが変化した時」という答えが参加された方々共通のものとしてありました。

具体的には、就労支援の職場で、クライアントさんに好きな事や進みたい方向性が見つかった時や、些細なきっかけで笑顔になった時、キャリア支援において本音の言葉や取り繕わない態度を引き出せた時といった例がありました。

クライアントさんの外面に表れる変化の背景には、必ず内面の変化が伴っているはずで、両面に対する忍耐強いアプローチと観察力、それらを支える態度が、支援側には求められるはずです。

対話会に参加された方々は、どのような態度を大切にしていたのでしょうか。

②支援する上での態度

「支援」という言葉を本記事でも多用していますが、「そもそも支援したいとは思っていない」という発言がありました。ただクライアントさんと共にいる時間を大切にし、楽しみ、本音を語ってくれたら感謝する。それは「支援」よりも「並走」に近いのかもしれません。

また、「目の前の人の人生がよりよくなる事にやりがいを感じる」という発言もあり、そこには「物事をよりよくしたいという態度が人生の中で定着した」という背景があるとのことでした。

「並走」も「よりよくしたい」も素晴らしい態度であり、仕事だけでなく人生全般に活きそうですが、では何故そのような態度に至れたのか、更に対話が深堀りされていきました。

③生きる上での思想~正義感と使命感、押し付けと引き出し~

「自分は正義感が強すぎてしんどい時がある」

これは、深堀りする中で出た発言です。
以前は、正義感の向かう先が「政治」だったのが、生き方テラコヤ(helpwellの前身であるオンラインスクール)や様々な活動を通じて、抱く正義感の中身が変化したそうです。

今では、正義感が、就労移行支援等の支援職に携わる動機にマッチし、居場所作りや対話を通して、困っている人が自らの望む方向に生きられて、社会にも繋がっていって欲しいという意味合いになったそうです。

以上の話を受けて、対話の場に共感の渦が起きました。正義感を使命感と置き換えられた方もいて、自身が思春期の頃から頭ごなしの否定や強制・押し付けが伴う教育が嫌で、そういったものを乗り越えることに使命感があったと。

しかしキャリア支援の仕事をしながら試行錯誤する中で、「自分も他者に『こうなってほしい』を知らず知らずの内に押し付けているのではないか」と感じるようになったとのこと。

最終的に「目の前の人の人生の選択権は、その人自身にある」ということを常に心に置き、自他の境界を分けられるようになったとのことでした。

強制や押し付けといったものが、まだ色々な場所に残る社会で、それらに嫌気が差して反抗心を持っても、社会構造や自分自身の望みをある程度正確に把握していないことで、反抗自体も強制や押し付けを伴ってしまうということが起こり得ます。非常に難しい問題です。

そのような中で、他者も大切にしながら自己も大切にして、その輪を社会に広げて行くための自己表現の場として、支援職を捉えられている方々の素敵なお話を聞くことができました。

(3)今後について

また次回のコミュニティ対話会については報告致します。

本対話会の最後に「今後取り上げて欲しいテーマ」を確認したところ、「支援する上で大変だったこと」「自他境界の見極め方(ここまでは相手に貢献するが、ここからは自分を守るといった線引き)」「支援する上での緊張する気持ちとの向き合い方」といった希望が出ました。

なので次回は上記のテーマの内、どれかか、近い内容のものになるとは思います。お楽しみに!!

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