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『劇場版 春を謳う鯨』 / 柳居 桔平 presents 楢崎拓海

【合わせて読みたい:これは大村鈴香という複雑なひとの心の奥に悠々と横たわる、訪れる者のない美しい湖、の水面を、みんなでひっそりと覗き込む連載小説、『春を謳う鯨』の、特別企画!劇場版の完成披露試写会で公開の特別映像、キャストインタビュー③柳居桔平さん(楢崎拓海役)編です。←長すぎて全部タイトルに入らなかった!! ※わぁい、華やか〜♡なキャスト紹介はこちら、次は崔真央人さん(佐竹役)編です】


(ハンディカム、普段着、古民家カフェで撮影されていて、チャプターでふわっと字幕が入ります→)

婚約者として
役については…ぶっちゃけます、複雑です(笑)。鈴香はあんなだし、楢崎もあんなだし。作品の、日常感がまた妙にリアルで…性的なシーンを演じるのは初めてではないんですが、「ノーマル」か「アブノーマル」かの二択みたいな感じで来てるから、シチュエーションに生活感あるぶん、楢崎のあの感じがね…素の部分というか、自分の恋愛観とぶつかる場面が多すぎて。ふとした瞬間に顔を見せてくる、自分の素の部分、無視するのがしんどかったですね。
そう。そうなんですよ…僕は彼女がもしいたら、浮気なんて絶対にして欲しくない。されちゃったら、どんなに好きでも、別れると思います。僕自身も絶対浮気はしないと思うし、どんなに魅力的でも、浮気したい人の誘いには、乗りません。だから正直なところ、楢崎なんで別れないん?って思いましたし、未だに個人的には、手放しでは共感はできない状態です。無理。突き止めて、はい次、とまではいかなくても、証拠突き出して、別れてスッキリすればいいのに、婚約っておい、って(笑)なんで?って、ここの根本は、やっぱりわかんないし、わかりたくないですね。けどまあ、こういう意固地なとこ、似てるのかもしれないな。

霧が晴れた瞬間
『絶景趣味』以降は面倒な役が回ってくることが多くなって、変態だろうが危険人物だろうが軟弱男だろうが、とにかくどんとこい、って思ってたんですよね。なんですけど、楢崎って、そういう「おかしい」ところがなくて。でも確実に、人として大事なところが壊れてるじゃないですか。見えないところが壊れてて、それをどうやって見せればいいのかなって、悩みましたね。真央人さんにも相談しました。僕、役に入り込んじゃうタイプではあるんですよ、だから、理解したいし、なりきって演じたいって部分が強くて。真央人さんは、「すごくわかりやすい役だと思う。そう思って見てみたら」って、アドバイスをくれました。
僕は脚本が命っていうか、原作がある作品でもあんまり、原作って真面目に読まないことが多いんですね。原作者には「それで演じられんのかよ?」って感じかもしれませんけど、そういう観客だって相当いるわけだから、脚本だけしか知らない状態って結構、大切だと自分では思ってるんです。今回は…なにこの人、って困惑しちゃって(笑)。珍しく、原作を紐解きました。聞いてはいたんですけどかなり違って、知らない場面や、あるはずと思ってて無い場面がたくさんあって、驚きましたね。
読み込んで、男女関係だって思うから釈然としないけど、もしかしたら友情っていう枠で見ると、すごく大事な存在なのかもしれない、と考えてみたり、そうすると今度は、鈴香が女の子だからむしろ上手くいってないことって、たくさんある気もしてみたり…。というのも、特に男女の部分でのすれ違いがもう、半端ないでしょう。ほんとこれなんだろうなこれ、って、頭を抱えて。
で、じーっとみてて…僕ね、あるときふと、相変わらず原作と脚本を前に腕組んでぼーっとしてた時に、大切な何かを思い出したんです。初めは、ん?なんかこれ、そういえば覚えあるなぁ、くらいの感じで、そのあと、はっきりとそれが何かを思い出した。真央人さんが言ってたことがわかったんですよね。『となりのトトロ』で、カンタが自分の傘は忘れたポーズを決めて、つっけんどんに傘をくれるシーンあるじゃないですか。コイツ、あれか!って、ピカーッとしました。霧が晴れましたね。そっか、大人だとこうなっちゃうんだって…(笑)。僕の「ピカーッ」、ぶつけてやるぞって、そこからめっちゃ、役作りが進みました。

役作りのあと
他の登場人物と同じで、楢崎は鈴香と二人だけで関係を深めていくわけなんですが、「ピカーッ」のあとは、もうなんか、逆に、必死すぎる楢崎に自分でハラハラしちゃって(笑)やばいこんなんじゃ嫌われる!でもこれ以上は無理!ごめん!助けて!みたいな気持ち(笑)。さっき言ったみたいに、絶対に相容れない部分がありますけどね。瀧仲監督にも、吹っ切れたねって言ってもらえました。
「ピカーッ」は、小松さんにもあったみたいですよね。小松さんは、映画も主役も初めてって、やっぱり、台本の読み合わせのときはまだ硬かった気がします。彼女は彼女で、自分の中で鈴香に腹落ちしてない部分があったようで、色々、きっと作品について一番、たくさんの人と話し合ってたんじゃないかな。二人ともそんな状態だったんで、お互い、間に合ってよかったというか(笑)本番に入ると僕も小松さんも、あれ、すっと入れるなって、感じてたと思う。
小松さんは…カメラが回ってない時は、結構ぐいぐい引っ張ってくれる感じの、キリッとした人なんですよ。でも我が強いわけじゃなくて、僕には、自分に厳しくて人には優しい、尊敬する姉さんって感じですね。並ぶと身長差も割とあるから、見た感じ妹みたいなんですけど、気持ちのうえでは僕は弟です、たくさん、助けていただきました。
あとは…あ、ちょっとその、もしかしたら役者してて初めてかもしれない状況というか、最初から最後まで出てるのに、エキストラの方々を除くとカメラの前で会うのは小松さんだけっていう状況ですから、回を重ねるとなんだか楢崎的な嫉妬の感情も沸いちゃったり(笑)他の人とどんなだったのかなぁとか、気になっちゃう自分がいて、認めたくないんだけど、…なんだろな、新鮮でした。うん。

エッチが苦手…?
それね…。とある深夜番組で暴露しちゃったことなんですが、僕、エッチが結構、苦手なんですよね(笑)。その、なんて言うんですか、行為自体も得意ではないんですが、なによりエッチな雰囲気が苦手で…これもその番組でさんざん突つかれたんですよ、肌でさえお仕事とワークアウト以外では、目と耳と手しか出てないんです。まじで。帽子マスク長袖長ズボン。夏は生き地獄。プライベートモードのときって外、出ないんです。真央人さんなんか裸族で有名ですけど、真逆の表現あったら、まさにそれですね。家では浴室とクローゼット以外で体幹、露出してる時間ないですもん。お風呂も、ほんとは時代劇みたいに着物着て入りたい(笑)。言うまでもなく私生活ではドSではないですし、一応、特殊な趣味もないです。ただまあ、ドAで…ほら、ぴしーって並べるシーンあるでしょう、あれは、すっっごい、共感。ついでだから告白しちゃうけど、お風呂ね、入る前に、出たあとで使うもの、使う順に全部並べてからじゃないと安心して入れないんですよ。や、まじで。きっちりしないと気が済まないところは、すんなり役に入れたかもしれないんです、けどね…ほんと、ベッドシーンは…(笑)小松さんもすごく、お美しいかたじゃないですか、キャストわかったときは、ラッキー! という気持ちは…やっぱり男ですからね、僕は正直に言っちゃいますけど、ありましたし、いざ撮影ってなればスイッチ入って、演技に集中できるんです。でもそれ以外がもう、気まずくて気まずくて…。カットのたびに、スライダーする勢いでブランケット被ってましたよ、みんなの手前、ぐるぐる巻きになりたい欲求と戦ってカッコつけるでしょう、『テルマエロマエ』みたいって揶揄われた(笑)

え、全然見えません…? そりゃそうですよ、いまはほら、まだ役者モードだからね。

ありがとうございました。


次回、崔真央人さん(佐竹)
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①小松悠莉さん(鈴香)
②西村ちなつさん(ミナガワ)
⑤千住光太郎さん(麗)
⑥伊月陣さん(奏太)&成田穂乃さん(倉沢)
⑦瀧仲安嗣さん(監督)

今日は明日、昨日になります。 パンではなく薔薇をたべます。 血ではなく、蜜をささげます。