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事例でわかる!ハローワールドの就労移行支援~社会不安障害・Fさんの場合~

こんにちは、ハローワールドnote編集部です。

突然ですが、あなたは『就労移行支援』というサービスをご存じですか?
以前の記事でも就労移行支援について紹介しましたので、「知っている」という方も少なくないでしょう。(読んでくださった方、ありがとうございます!)
もしかしたら、就労移行支援事業所に通うことを検討しており、このnoteに辿り着いた方もいらっしゃるかもしれません。

では、就労移行支援のサービスを利用したら、どんな支援をしてもらえるのでしょうか?
これについては、少しイメージが難しいかもしれません。利用者さんの障害の内容や希望職種、得意・苦手な分野などによって、支援内容が一人ひとり変わってくるからです。

そこで今回のnoteでは、「ハローワールドに通えばこんな支援が受けられる」という一例として、とある利用者さん(20代・男性/以下、Fさん)の事例を担当支援員の佐藤さんと一緒に紹介します。
「就労移行支援でスキルが身に付くの?」「就労移行を利用すれば、本当に働けるようになるの?」といった疑問を少しでも解消できればと思います。

正体不明の体調不良…体力づくりが第一の目標

セリフ2

Fさんはとても真面目な性格で、働く事に対する意欲も高い方でした。その真面目さゆえに自分自身にプレッシャーをかけてしまうのか、無意識のうちに緊張状態にありました。

緊張という状態は、私たちが想像しているよりもずっと体力や気力を消耗します。入所時のFさんは慢性的な緊張状態で心身が疲労していたのか、突発的な腹痛や吐き気のため安定して週に5日働くことができない状態でした。しかし、当時はFさん自身も自分が緊張している自覚がなく、ヒアリングを行った段階では私たちにも体調不良の原因はわからない状態でした。

そこで私たちは、Fさんの個別支援計画作成にあたり「安定して通所できる体力づくり」を第一の目標に掲げ、それを基に通所ペースやハローワールドにいる時間の過ごし方などを考えていきました。

セリフ1

実際の事務を想定した訓練で、事業所の頼れる存在に

はじめは、Fさんの体調が芳しくないことを踏まえ「週2回・午後のみ」のペースで通所を行ってもらいました。疲れを見せる日もありましたが、その真面目さとやる気の高さにより、なんとか休むことなく通所ができていました。

一方で、就労スキル習得のための訓練で新たに見つかった課題がありました。それは、「作業時のミスの多さ」です。通所時はWordやExcelの練習としてデータ入力等を行っていたのですが、毎回いくつか小さなミスがありました。そこで、個別支援計画の目標に「仕事の正確性向上」という項目を設定し、データ入力などの作業に「Fさん自身で確認し、ミスがあった場合はその場で修正する」という工程を追加しました。その後地道に「作業⇒確認⇒修正」を繰り返し、Fさんはミスに自分で気付き修正できるようになりました。

Fさんの成長はそれだけにとどまりません。これまでミスを無くすことに注いでいた神経を他のことに使えるようになったためか、Fさんはどんどんと能力を伸ばしていきました。複数のタスクを担当し段取り力を身につけるための「事務補助訓練」でも支援員の期待以上の仕事ぶりを見せ、最終的にはハローワールド社内の実際の事務作業の一部や、他の利用者さんの成果物のチェック役を任されるほどに成長しました。

セリフ4

粘り強い自己理解で「緊張」と向き合う

その頃には、Fさんは安定して週に5日通所できる状態になっていました。そこで、就職への次のステップとして2週間の企業実習に行くことになりました。
Fさんは日頃の訓練で培ったスキルを発揮し、その結果「作業の覚えが早い」「同じ説明をする必要がない」「指示した部分以外でミスを発見し現場の役に立った」など、企業の担当者からも非常に高い評価を得られました。

しかし、その裏でFさんには大きな負担がかかっていました。話を聞くと、常に1時間前には職場の最寄り駅に到着し、腹痛を抑えてから出勤するようにしていたそうです。その時私たちは、Fさんの体調不良が緊張やプレッシャーによるものだということに気が付きました。休まずハローワールドや実習先に行けていたのも、正確で丁寧な仕事ができるのも、常に緊張状態で自分を追い込んでいたからだったのです。このままでは就職ができてもすぐに限界に達してしまうだろうということは、容易に想像できました。

それから、Fさんの「緊張」と向き合う日々が始まりました。支援員と何度も面談を行い、自分がなぜ緊張してしまうのか、緊張してしまった時にはどうすればよいかを考えました。そして実際に緊張が起こった際には考えた対策を実践し、どの対策が効果的か試行錯誤を繰り返しました。

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このような「自己理解」のプロセスを経て、Fさんは自分の緊張しやすい性格と向き合うことができました。「緊張しやすい」という特性自体がなくなったわけではありませんが、緊張した際の自分なりの対処法を身につけることで、これまでのように仕事に支障が出るほどの状態に陥ることはなくなりました。

就職だけでなく定着もしっかりサポート

その後、Fさんは就職面接に合格し、埼玉県の行政機関で事務として働くことになりました。ハローワールドの就労移行支援は卒業という形になりましたが、Fさんの支援はまだ終わっていません。心身の調子を崩すことなく働き続けるためには、Fさん自身が緊張とうまく付き合っていくこと、そして企業側の十分な理解が必要です。これを支援するのが、ハローワールドの別事業である「定着支援事業」です。

セリフ6

Fさんは今、ハローワールドの定着支援事業を利用しながら、先述した行政機関で仕事を続けています。緊張は完全に消えたわけではありませんが、今では出勤前に職場近くのお店で朝食を食べてから出勤できるくらいには落ち着いているそうです。

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以上、緊張からおこる体調不良から脱却し、見事に就職を果たしたFさんの例でした。

Fさんは、ハローワールドでの面談や訓練を通じて、自分では気付くことができなかった特性を理解し対策を打つことができるようになりました。更に希望していた事務職に必要なスキルも磨くことができました。

今回ご紹介したFさんと同じように「緊張で体調を崩してしまう」という方や、精神的な不調により仕事ができず困っている方は、一度就労移行支援を利用することを検討してみてはいかがでしょうか。

ハローワールドは、関東エリアを中心に就労移行支援事業所を運営しています。今回登場した支援員・佐藤さんの在籍する久喜事業所をはじめとして、各事業所にて見学や相談を随時受け付けております。少しでも興味がある方は、是非ホームページをご覧ください。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

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