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事例でわかる!ハローワールドの就労移行~注意欠陥・多動性障害(ADHD)・Tさんの場合~

こんにちは、ハローワールド公式note編集部です。

今回の「事例でわかる!ハローワールドの就労移行支援」では、注意欠陥・多動性障害(ADHD)のとある利用者さん(以下、Tさん)の事例をご紹介します。

相手も自分も傷つける、コミュニケーションの悪循環

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「対人トラブルが原因で前職を退職したこともあり、自分のコミュニケーションの取り方に課題があるんじゃないかと思ったんです」
職員からハローワールドに訪れた理由を尋ねられたTさんは、こちらをあまり見ようとはしないまま、そう答えました。また、PMDD(月経前不快気分障害)も併発しており体調が不安定なため、長く働くためには精神面や体調への配慮が十分にされる障害者雇用が良いのではないか、という事も口にされていました。「コミュニケーションに課題がある」と言いつつも、彼女は自分の考えをうまくまとめて発言されていて、障害に対する理解も十分にされている様子。この調子だと、体調のコントロールさえ上手くできれば、スムーズに就職できるのではないか?私たちはそう考えていました。

彼女の「コミュニケーションの課題」が見えてきたのは、通所を始めて少し経った頃でした。支援員や他の利用者さんとやり取りをしていると、その言葉にトゲを感じることがありました。彼女曰く、「思ったことをそのまま言っているだけ」とのことでしたが、時としてストレートな物言いは相手を傷つけたり、相手に「責められている」というような印象を与えたりすることがあります。
それが原因で、家族とも口論になることが少なからずありました。そのたびに「傷つけることや悪意のある発言をしているわけではないのに、どうして自分が責められなければいけないのか」「どうして、自分の気持ちがわかってもらえないのか」と、Tさん自身も深く傷ついていました。

そんなTさんの様子を見て、彼女の対人コミュニケーション上の課題は、「①自分から相手への言葉の伝え方」「②相手から受け取った言葉の捉え方」の2つであると私たちは考えました。①相手への言葉の伝え方がストレートすぎるため相手を傷つけてしまうだけでなく、②相手からの言葉をマイナスに受け止めてしまい、自分自身も傷つく。そして、目の前にいる話し相手に対し「この人は自分のことを分かってくれない」という思いから、更に相手に対して敵対的な接し方をしてしまう―。そういったコミュニケーションの悪循環に、Tさんはハマってしまっているように感じました。

トレーニングに粘り強く取り組むことで、「心のクセ」が変わる

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このいった「心のクセ」のようなものを和らげるため、ハローワールドでは、心理療法などの考え方をベースにした様々なトレーニングを行っています。その中でも「プラス表現トレーニング」と「認知トレーニング」が、当時のTさんには特に効果的ではないかと私たちは考えました。
「プラス表現トレーニング」とは、先述した課題のうち「①自分から相手への言葉の伝え方」について学ぶことができるものでした。Tさんは、座学を通じて「同じ意図でも言葉の選び方によって相手への伝わり方が変わる」ということを学び、複数回にわたるグループワークを通じて、できるだけ相手を傷つけない伝え方を実践しながら身につけていきました。
「認知トレーニング」は、認知療法をベースにしたトレーニングで、もう一つの「②相手から受け取った言葉の捉え方」について考えるきっかけになるものでした。「同じ物事であっても、捉え方が変わると、その先の感情や行動が変わる」ということを、例を使った解説やグループディスカッション等を通じて学ぶことができました。
こうしたトレーニングを月に3回、半年間かけて取り組んだTさん。最初の頃は、「頭ではわかっていても、うまく実践できない」という状態でしたが、グループワークを繰り返し行ったり、日常的なコミュニケーションの中で支援員からフィードバックを受けたりすることで、少しずつ「伝え方」と「受け取り方」を身につけていくことができました。

「障害があったからこそ、学ぶことができた」

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トレーニングを通じて、Tさんは少しずつ変わっていっている。支援員たちのそんな予感が確信に変わったのは、とある面談でのことでした。面談中、Tさんから「メンタルヘルスに関する資格取得の勉強をしたいので、個別訓練で取り組んでも良いか」という申し出がありました。突然のことに驚きながら理由を尋ねると、「将来、自分と同じように苦しい思いをしている人をサポートする仕事に就くために、メンタルヘルスに関係することを少しでも勉強したいから」という答えが返ってきました。
彼女は、さらにこう続けました。
「トレーニングで自分の考え方やコミュニケーションの取り方を見直したら、家族との喧嘩も無くなった。考え方ひとつで自分の人生が大きく変わるということを学べた今は、病気になって良かったという気持ちさえあります。この経験を、同じように悩んでいる人たちに伝えたいです」
これまで「どうして自分のことを分かってもらえないのか」と嘆いていた人が、他人の痛みを気遣うことができるようになっていたこと。そして、本来彼女にとって困りの種だった「障害」についてさえ、プラスに捉えられるようになったこと。Tさんの精神的な変化や成長が、その言葉にははっきりと表れていました。

明確な目標ができたTさんのその後の努力は、目を見張るものがありました。
「最終的には専門学校に通って精神保健福祉士の資格を取りたい。そのためには就職して、お金を貯めなければならない」という思いのもと就職活動を始め、見事希望していた会社の事務職に就くことができました。
現在は仕事に慣れることで精一杯で資格の勉強はできていないものの、「悩んでいる人の力になりたい」という気持ちは変わらず、同じ障害者雇用で採用された同期の悩み相談を受けるなど、夢に向かって歩み続けているそうです。

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以上、ものの捉え方について学ぶことで、自分の障害さえもプラスに捉え、将来の夢を見つけることができたTさんの例でした。

今回紹介したプラス表現トレーニングは、相手の気持ちを尊重しながら、自分の意思も大切にし、どちらも傷つかないコミュニケーションを目指すためのトレーニングです。Tさんのようにストレートに物を言いすぎてしまう方だけでなく、相手からどう思われるかを気にしすぎて自分の意見を主張できない人にも効果があります。

東京・埼玉エリアで就労移行支援事業所を運営しているハローワールドでは、各校でプラス表現トレーニングを取り扱っています。コミュニケーションに苦手意識があり、働くことに支障をきたしている…という方は、是非プラス表現トレーニングを体験しに是非ハローワールドにお越しください。
無料見学・体験はホームページより随時受け付けております。

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