まだ、泣きたくないのだ

いつでも懸命に生きてきた。

真面目に、時々大きなミスをしながら、そのミスをカバーするように、力を入れるべき瞬間に爆発的な、刹那的な努力をしてきた。

力の抜き方が分からなくて、力を泣くと一気にだめになりそうでこわかった。

だめで、何もしなくて、どうしようもないやつになりそうで。

実家には甘えすぎないように気をつけてきた。

恋人がなかなかできなかったから、本を読んで実戦を繰り返した。


でも、本当にほしかったものは、まだ手に入っていない。

緩まると、力を抜くのちがいが分からない。

だけどいまの自分に必要なのは、緩まるだと思った。



恋人はいま悩んでいる。

彼もまたきっと、どうしたらいいのか、どうしたらいいのか分からなくなったひとりだ。

それに彼はわたしとの今後について悩んでいるのだ。


とんでもない、こんなにいい女なのに。

こんなにユニークで、一緒にいてぐんぐん変化していく、ばしゃばしゃ泳ぐいい女なかなかいないぞ?


だけど、彼の人生だ。

ただわたしは、わたしを選んでくれたら嬉しいなと思う。それだけ。


実はわたしはもうずっと、本当にほしかったものを手にしていたのかもしれない。



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