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あなたの「準拠枠」に気づくことで開かれる可能性

written by コーチング研究所

コーチング研究所が行った、新型コロナウイルス流行前後での上司・部下の関係性の変化に関する調査の中に、部下の「組織へのコミットメント」に関する項目があります。(部下本人回答)

問:あなたの現在の状態に関する以下の項目について、COVID-19流行以前(2020年2~3月頃)と比較してもっともよくあてはまるものを選択してください。※7段階回答

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約半数の部下が自身の組織へのコミットメントは「変わっていない」とし、約2割が「低下した」としている一方で、「増した」という部下が4割以上を占めました。

コロナ禍が組織へのエンゲージメントやコミットメントに及ぼした影響については、様々な議論が展開されています。ポジティブなのか、ネガティブなのか、または特に影響していないのか、まだ統一的な見解に至っていないのが現状だと思われます。

ただ、この状況のなかでも、部下の組織に対するコミットメントを増加させることができる可変要素があるとしたら、それはぜひ考えてみたいポイントではないでしょうか。そうした視点から、今回の調査の記述回答を見ていくと、興味深い声がいくつか聞かれました。

【部下回答】
以前より裁量が増し、仕事・組織への責任感が増した。

【上司回答】
これまでのマネジメントができなくなり、思い切って部下に任せた。
任せたことで、部下の主体性が増した。

コロナ禍で働く環境が変化し、上司が従来のマネジメントを続けることが難しくなった。上司はその状況を受けて、部下に「任せる」という選択をしたことで、部下の裁量が増した。その結果、部下の仕事の中身・範囲が変わり、見えてくるものが変わり、仕事や組織に対する意識に変化が生じた。

こんなプロセスが、冒頭のグラフの後ろに見えてきます。

ここに登場した上司たちには、異なる環境下でも「これまでのマネジメント」を継続するという選択肢があったはずです。しかしそうではなく、環境の変化に応じてマネジメントスタイルを変化させた。

これは、ひとつ大切なことを考えるきっかけを与えてくれるものかもしれません。

「準拠枠」から考える

コロナ禍における生涯学習・変容的学習の可能性について述べているある論文では、「コロナ禍/ニューノーマル」という未知の世界において、私たちのコロナ禍以前のマインドセットは機能しなくなっていることが指摘されています(※1)。

働き方や日常の過ごし方を変えざるを得なくなっただけでなく、その背景にあった考え方、捉え方が問われている、ということなのでしょう。その上で、同論文では「準拠枠」(または意味パースペクティブ)という概念を用いながら、未知の世界を生き、状況を打開するための可能性を議論しています。

「準拠枠」(※2)とは、シンプルに言えば、その人や集団が「どういうフィルターを通して世界を見ているか」ということを意味します。アメリカ心理学会の定義では、「考えや行動、経験を判断するための一連の前提や基準」(執筆者訳)(※3)とされ、この準拠枠によって、コミュニケーションにおけるその人の表現の仕方や、日々の行動、物事の受け取り方などが決まっていきます。先の上司・部下の例では、上司の「これまでのマネジメント」を作ってきた、マネジメントや仕事、部下などに対する前提や見方にあたります。

「準拠枠」は、ポジティブもネガティブもなく、ただその人の世界の見方です。しかしながら、先に触れた心理学会の定義の続きには、こうも書かれています。

続きを読む:https://coach.co.jp/view/20210825.html


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筆者情報: コーチング研究所 
コーチング研究所(CRI)は、組織の「人と人」の関係性に着目したリサーチを実施しています。経営者はじめ組織のリーダーは、目指すべき方向を決め、日々、組織をドライブしています。

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