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おたがいを知る

ハイパフォーマー集団だからこそ、チームになるのが実は難しい経営チーム。
組織の成長・変革を牽引する「経営チーム」のつくりかたのヒントを、エグゼクティブコーチがお伝えします。

チームになることを決め、現状を捉え、縦と横のコミュニケーションのインフラをつくったら、チームの土台づくりのためにもう一つ必要なことがあります。

それが "おたがいを知る" ということです。
なぜ "チームになる" ために、おたがいを知ることが大事なのでしょうか?

簡単に言えば "知ることによってはじめて、そこにいるメンバーが人間に見えてくる" からです、相手を知ると、様々な価値観、歴史、経験を持っている一人の人間に見えるからです。

ややもすると、日々仕事に明け暮れる中で、チームの仲間が、 "ただのパーツ" に見えてしまうことがあります。「彼は◯◯の能力を持っている」「彼女は、◯◯に関してはスペックが高い」など。しかし、人は取り替え可能な部品、パーツではありません。それに、パーツと共創することは難しい。パーツとパーツがぶつかれば、ただおたがいにむかつくだけです。

けれども、幾多のストーリーを持った一人の人間同士であれば、ぶつかっても「誤解を解消しよう」「改めて理解しよう」「もう一度一緒にやり直そう」という気持ちになれます。

私の友人が社長を務める会社があります。友人が社長になる前、この会社には本当にいろいろなことがありました。前社長の不誠実なふるまい。役員の裏切り。抱えてしまった金融機関からの多額の借金......。

前途多難な船出の中で、私の友人は、新たな経営チームのメンバー5人と1日の合宿を行いました。
テーマは、まさに「おたがいを知ること」。

なぜこの会社に入ったのか?
あれだけいろいろなことが起こったのに、なぜまだここにいるのか?
前社長のことをどう思っているのか?
おたがいのことをどう思っているのか?
どんな人生をこれまで過ごしてきたのか?
どんな家族の中で育ったのか?
どんな学生時代だったのか?
今日にいたるまでの社会人人生はどんなものだったのか?

とことん話して、とことん共有する。そうして1日を過ごして、おたがいがまったく新しい顔に見えたそうです。昨日とは、まったく違う "チーム" になっていました。

多くの企業の経営チームの方々と話していて、一番誤解されているのではないかと思うことは、おたがいを知っていると "思い込んでいる" ことです。オールドボーイズクラブは特にそう。知っていると思っています。

「知らないことなどない」と思っていれば、それ以上知ることはできません。そもそも関心が持てません。

隣の役員が、夜寝る前に天井を見上げて、ふと頭によぎることは何なのか?
通勤途中、窓の外を見て思うことは何なのか?
どんな家族に囲まれているのか? 子どものことをどう思っているのか?
なぜこの会社を選んだのか?
今でも仕事で後悔していることは何か?
何を残りの人生で成し遂げたいと思っているのか?

知るためには、何を知らないかを知ることからです。
あなたは、周りの役員の何を知らないでしょう?

〜『未来を共創する経営チームをつくる』第3章より抜粋編集

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