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【恋愛】出会いとは常に日常にある。⑫

報告を済ませ、時間が流れて木曜日。社会の日、待ち合わせ場所に遅れて登場する僕。
少し焦っているような佐藤さん。
待ち合わせ場所に集合する時間が早い、心配性な佐藤さん。時間を守って電車遅延とか出遅れたら仕方がないと思っている僕。
仕事方法も正確も体型も真逆の二人です。

けど、なんだかんだと二人で仕事をやるのが多くなってきた。
役員に頼まれて資料を作ったり、現調に行ったり、今回の社外研修も役員の差し金だ。

佐藤さんに話をしておいて、暇なやつを見つけて行ってきて=僕になるわけだ。僕を暇な人間だと思っている時点で間違えだ。やる事をやって残った時間で趣味を仕事中にしているのだ。

だから僕は暇ではない!
他の奴らが、仕事をコンパクトにしないから仕事中に趣味が出しないんだと思う。

まぁ、僕の話は置いておいて
本題に話を戻しましょう。

待ち合わせ場所に少し遅れてきたぼくに対して佐藤さんは
「遅いです」と言う。

遅いですって言われてもね。
僕は乗りなれない路線の電車に乗って、乗り換えもスムーズに出来なくて、やっとこたどり着いて僕の顔を見て「遅いです」って言われてもね〜
佐藤さんの「遅いです」に対して返した言葉は、「遅れていたので電車の中では走ってました」だった。
気持ちは急いていたって事を表現したかったんですが笑ってくれなかった、悲しい。

とりあえず研修開始時刻まで時間があるからタバコをシバキに行きましょうと伝えドトールへ行く。佐藤さんはまた冷たい黒苦汁だ。(コーヒー)僕は、英国紳士の嗜みアイスロイヤルミルクティーです
タバコに火をつけ煙を飲み込み、ふぅ〜っと吐き出す。もう一度吸い込んで、今度は煙をためてから、ふぅ〜っと吐き出す。アイスロイヤルミルクティーにガムシロップを少し多めに入れて甘めで飲むのが好みだ。
佐藤さんは必ずコーヒーはホットでもアイスでもブラックを飲む。
熱い黒苦汁にしても冷たい黒苦汁にしても
黒苦汁は黒苦汁だ。そんな事を思いながらも時間は進んており、他愛もない会話をしていた。アッチの主任はどうですか?コッチの主任はちょっと難ありとか、とかそんな会話をしていた。不思議と会話をしていると時間の流れは早く、もうそろそろ研修会場へ向かわないと行けない時間帯。最後にタバコを一口吸って煙を吐き出し、灰皿とコップを所定の場所に返して研修会場へ向う。

研修会場についたら会社名と名前を聞かれた、佐藤さんが僕の名前も伝えてくれて同じテーブルだった。研修内容は佐藤さんに聞いてもらおう。それを教えてもらって答えればいいやって思っていたら、起きいて自分で覚えて下さいと言われたのでボイスレコーダーにマイクを繋いで設置。これで気兼ねなく眠くなったらお昼寝に出来る状態を作った。

ボイスレコーダーを見た佐藤さんは、「もし寝てしまったときの為に音声データ後で貰えませんか?」と言ってきた。
「自分で起きて研修は聴かないと駄目ですよ。僕は保険をかけているんですから」と返事をしたら、少しムスっとした顔をしていた。そんな佐藤さんに「冗談ですって、お互いの為の音声データですし
聴いていて良かった場所は聞き直して、今度の主任会議で使えますからね」そう伝えたらムスっとした顔からパっと笑顔に変わる。
なんて分かりやすい人なんだろうか。

10時から17時までの社外研修会って長い。
確実に寝る研修だ。楽しみはお昼ごはんに何を食べるかと、お昼ごはんの後に吸うタバコと研修中の小休止のタバコくらいだな〜って思いながら研修に立ち向かう!!
研修が始まって40分くらいで気づいたんだけど、僕らに余り必要としてない研修じゃないかな?と疑問を感じ、そこから20分話を聞いて、なんか違うぞ??と改めて疑問を感じ、iPhoneを出して役員に
今回の社外研修って、意味あります??
とメッセージを送信。5分後位に役員から返事が返ってきた。社長の知り合いの研修で頭数が揃わなかったから、頼まれたから頼んだって内容。そのメッセージを見せようと佐藤さんの方を向いたら、ノートにガッチリ書き込んでる。
僕は思ったね、佐藤さんは真面目だって
そんな佐藤さんの腕を叩いて、役員から届いたメッセージを見せる。佐藤さんの
え?!ってなった顔が面白かった。頭数を揃えるだけの車外研修=役員から研修って名目でゆっくり休んでって事だったようだ。

関係ない研修と分かれば、僕のパターン。
念の為にボイスレコーダーは動かしたまま、スマホで趣味を調べる。
今度は何を買おうかな?バイクのカスタムどうしようかな?
あっ、そうそう。作り途中のプラモデルの配色をどうするか。
悩む事が沢山あります、あり過ぎてどうしようか悩む始末です。悩みすぎて考えるのが面倒になり、佐藤さんを見たら寝てる。頬づえついて寝てる。
あからさま過ぎる寝方だ!!足で佐藤さんの靴をチョンチョンと突く、ん??って顔をする佐藤さん。
「寝るのは構わないですけど、あからさま過ぎる寝方は辞めて下さい。社長の知り合いの研修なんですから、もしかしたら、寝てたなんて報告が入ったら面倒ですから」

「そんなにガッチリ寝てました?」

「ビチッと寝てましたね」

「役員からのメッセージ見たら、急に気が抜けて、申し訳ないです」

「いっきに気が抜けすぎですよ。もう少ししたら昼ですから、それまでは起きててくださいよ」

「二重螺旋さんは何をやってたんですか?」

「僕は趣味ごとの情報整理ですね」

「通常運行なんですね」

「通常運行ですよ、僕の運行ダイヤが乱れる事はそうそうないですからね」

「気が抜けたら眠くて仕方がないですよ」

「でしょうね、あからさまに寝てますって感じでしたから」

「何か考えましょうか?」

「何を考えるんですか?」

「仕事の仕方とか」

「僕は遠慮しておきます。これ以上効率的に仕事すると仕事が増えて面倒なので」

「私はアレだけある仕事をやって趣味を仕事している、二重螺旋さんが不思議で仕方がないんですよね」

「ある程度の仕事の雛形は作成済みですし、それに手を加えるだけですからね。しかも、僕のクライアントは大きな枠で言うと1つだけですからね」

「あと、二重螺旋さんチームの主任さん達って怖くないですか?」

「海千山千の人達ですからね、仕事よりも荒事が大好きな人種ですし、癖はありますけど、僕もそこの出身ですから何も感じないですけど」

「他の人だとまとめられないですよ?」

「僕がまとめられているんだから、誰でも出来ますよ、主任たちよりクライアントの癖が強すぎるんですよね」

「世界を股にかける企業ですからね」

「世界を股にかけているのを鼻にかけすぎなんですよ、横文字ばかり使って何言ってるか分からないから、日本語で話して下さいっていつも言ってます」

「二重螺旋さん、それビジネス用語ですか、覚えて下さい」

「日本語でも同じ意味の言葉があるんですから、カッコつけて横文字で話しなくてもいいんですよ。いちいち面倒なんですよ」

「なんとなく理解は出来ますね」

「僕のチームは何かあっても各々が片付けてくれるから楽ですけど、他のチームは何か発生すると電話で指示を仰ぎすぎだと思うんですよね」

「二重螺旋さんのチームが別格過ぎるんですよ。何から何まで出来る人材ばかり揃っているじゃないですか?」

「僕のチームはルール御無用の何でもありありですからね」

「そこが他のチームと違い過ぎるんですよ。普通なら仕様があって仕様にそって仕事するのに仕様があって仕様がないみたいな感じじゃないですか?」

「現場によって暗黙特別ルールが存在しますからね、だから仕様があっても仕様がないみたいな状態になるんですよ」

「それを全部理解してるんですか?」

「基本は同じですからね、あとはちょっとずつの違いですし、クライアント本部の役員とも仲良しなので何かあったら、そっちから手を回して問題解決も出来ますからね」

「やっぱり、二重螺旋さんじゃないとチームまとめられないだろうな」

「お??佐藤さん、もうそろそろお昼の時間ですよ。何を食べましょうか?」

「近くにうどん屋がありましたね、そこに行きましょうか?)

「そうですね、うどんにしましょうか」

こんな話をしながら社外研修の午前の部は終わった

つづく