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【恋愛】出会いとは常に日常にある。㉕

「二重螺旋さん、佐藤さんに何をプレゼントしたんですか?」

「扇子」

「なんで、扇子にしたんですか?」

「もら、ぽっちゃり系だし、もうそろそろ夏だしね」

「意外と考えてプレゼントしてるんですね」

「意外とってなんだよ、意外とって」

「そこまで考えないでノリでプレセントしてると思ってました」

「あのな、誰かにプレゼントする時は仕事以上に真剣に考えてプレゼント選んでるよ」
そんな会話を宮本君としていたら佐藤さんがプレゼントした箱をもってやってきた
「二重螺旋さん、開けてもいいですか?」

「プレゼントしたんですから、佐藤さんの物ですよ。好きなタイミングで開けてください」

「今開けます」と言いながら、ラッピングを剥いて箱を開けて中を見る
「おっ!扇子じゃないですか、丁度欲しいと考えていたんです」

「タイミングの良いプレゼントで良かったです」と僕は答える

「宮本君は何を貰ったんですか?」

「まだ、探してないです」

「探さないんですか?」

「今から探してみます」と言って宮本君はデスクの中を探し始めた

「二重螺旋さん、宮本君に何をプレゼントしたんですか?」

「なんで、宮本くんにしろ佐藤さんにしろ、人にプレゼントしたものに興味を持つんですかね?」

「何を選んだか気になるんですよ」

「あっ、発見しましたよ」

「呆気なく見つけられて面白くないな」

「二重螺旋さん、人が困ってたり、探してたりする姿を見るのが好きなんですね」

「人間観察するのが好きなだけですよ」

「んで、宮本君。何を貰ったんですか?」

「佐藤さん、中を確認しますからちょっと待って下さいね」

「二重螺旋さん、何をプレゼントしたんですか?」

「宮本君が中を確認してるんですから、待っていられないんですか?」

「気になってしかたがないんですよ」

「二重螺旋さん!」

「何だよ、宮本君でかい声で」

「モンコレのモンスターボールじゃないですか!」

「うん、そうだよ。ポケモン好きでしょ?」

「直撃世代で絶賛ポケモントレーナーですから」

「二重螺旋さんって意外と考えて人のプレゼント選んでるんですね」

「佐藤さん、先程同じセリフを宮本君にも言われましたよ。そんなに意外ですかね?」

「ほら、ノリとかでプレゼント選んでそうだし」

「佐藤さん、先程同じ台詞を宮本君にも言われましたよ。誰かにプレゼントする時は仕事よりも真剣に考えますから
寧ろ、仕事のほうがノリでしてますから」

「二重螺旋さん、ノリで仕事しないで下さい。普通は逆ですから」

「では、その普通の定義を教えて下さい」

「屁理屈が始まるので、止めておきます。」

「んで、宮本君よ。気に入ってくれたかい?」

「はい、気に入りました」

「なら良かった」

「佐藤さん、佐藤さん」

「なんですか、宮本君?」

「二重螺旋さん、佐藤さんのプレゼントも考えて選んだそうですよ」

「本当ですか?二重螺旋さん」

「考えて選びましたよ、ノリで誰かにプレゼントする事はないですから」

「けど、よく好きな色とかわかりましたね」

「身の回りの持っているものを観察していれば、好きな色な傾向とかはある程度推測できますからね」

「良く観察してますね」

「観察をしていれば、癖とか思考とかある程度推測できますからね」

「そうやって、粗探しをするんですね?」

「人聞きの悪い言い方はなんですか、プレゼント返してください」

「嫌です、気に入りました。この扇子」

「気に入って貰えたなら良かったです。返してください」

「嫌です、返しません」

「なら人聞きの悪い事は言わないでくださいね」

「言い方が悪かったです、ゴメンナサイ」

「ならば、良し!」

「佐藤さん、躾けられてないですか?」

「宮本君、二重螺旋さんがこのパターンに入ったら、私だと勝てないからね」

「何か言いましたか?」

「何も言ってませんよ?」

「佐藤さんと二重螺旋さん、なんか雰囲気よくなりましたね」

「佐藤さんと話し合いで解決したからね」

「そうです、話し合いは重要だから、ね?二重螺旋さん」

「そうですね」

「時より、ギクシャクしますよね」

「宮本君、それはお互いの言い分があるからだよ。ね、佐藤さん?」

「そうですね、言いたいことを言えないときもあるんですよ」
こんな会話をしながら、僕は本当に宮本くんが無自覚で感が鋭いのにイラっときた
時間は進み、副主任育成会を行う日がやってきた
場所は主任会議で使用した会議室だ
宮本君には本社でデスクワークを頼んでおいた、正直に言うと2人の時間を邪魔されたくなかったからだ
メーカーに素材の説明を頼んでいたが、急な仕事が入り前日にキャンセルが入り
僕が素材説明をする羽目になってしまったから、資料をPDFにしてもらいメールで送ってもらった
けどまぁ、僕以上に素材の説明が出来る人材が会社にいるかと言うといないから
仕方なく説明をすることにした
佐藤さんは、アシスタントと言う状態でいてもらうことにした
会議室にパラパラと集まってくる副主任候補達
勿論、貸しのある現場から招集したメンツだ
開始時間になり、何処の現場にいるのかと名前を一人ずつ自己紹介をしてもらい
自己紹介が終わったら、素材説明だ
PCを使い送ってもらったPDF資料をホワイトスクリーンに映し出して素材の説明をしていく
どの素材には、どの薬品に強く、どの素材には、どの薬品に弱いかを説明し
素材と言っても数種類あり、判断にこまった場合の対処法も教えた
そのご質疑応答に入った
一人一人に聞いて、問題点や不安に感じている箇所を
佐藤さんにホワイトボードに書き出してもらった
なんとなく予想はしていたけど、やはり似たような問題ばかりだった
副主任を育てるって言う問題は根が深いようだ
本人が成長を望んでいても、主任が成長を抑え込んでいる状態だと理解できた
人に頼むより、自分で行った方が早いのは理解できる
実際に僕も主任時代はそう思っていたからだ
けど、僕はとある人から教わった
『主任の責務は現場の維持だけではなく後任を育てることが最大の課題だ』
後任=副主任となるわけだ、僕はそれから現場では後任育成をすることにしたのだ
確かに、人材を育てるのには時間と手間がかかる
手本を見せて、一緒に作業を行い、一人で作業を行わせる
手本を見せ、一緒に作業を行い、大丈夫だと判断しても
行った作業が全て成功するわけでもない
その失敗した中でも良かった点は褒めて、悪かった点に関しては詳しく説明をする
悪かった点を次の機会に活かせるかどうかは、本人次第なのだ
それを繰り返し行い、研磨し磨き上げていく
磨き上げたからと言っても、必ずしも光り輝くわけではない
曇っている場所もあれば、光る場所もある
それでも人材は育てなければならない
正直、もどかしく感じてしまう事のほうが多い
さて、話を元に戻そう
副主任候補たちの話を聞くと、技術力が欲しい。と言う結果にたどり着いた
自己紹介と素材説明と質疑応答で、午前中の時間を浪費してしまったので
午後は簡単な技術テストを行うことにした
誰でも出来るが基本が詰まっており、手順や流れをみれば
誰がどのくらいのレベルなのかが理解出来る
技術テストを一通り見て、それから技術を教え込もうと考えた

つづく