見出し画像

【恋愛】出会いとは常に日常にある。⑬

昼休みになり、研修会場から出て近所にあったうどん屋に入り、肉うどんの食券を買い、肉うどんを受け取り席に座り肉うどんを食べながら佐藤さんと会話
「二重螺旋って、入社して何年目ですか?」

「え〜っと、12年目くらいかな?いや、13年かな?」

「私より大先輩じゃないですか!!」

「佐藤さんは入社して何年ですか?」

「4年目ですね」

「思ったよりも短いですね」

「私は二重螺旋さんが10年以上と聞いてビックリしてますよ」

「そうですか??10年選手なんてザラに居ますよ??」

「何で、今まで本社に上がってこなかったんですか?二重螺旋さんの実力なら本社に居ても不思議じゃないのに」

「本社に来いって何回も言われてましたよ、言われる度に断ってましたし、裏から手を回して潰したりしてましたからね」

「何でそんな事をしたんですか?」

「理由は簡単ですよ。現場が好きだし、現場にいれば気軽に趣味ものを買いに行けるし気楽ですし、何よりスーツを着なくていい!これが大きいですね」

「殆ど自分中心の理由なんですね」

「そりゃそうですよ。誰が好き好んでYシャツ着てネクタイ締めてスーツ着て満員電車に揺られて東京のど真ん中まで出勤したいと思いますか?」

「あの、むしろですね。それに憧れている人もいるんですよ?」

僕は箸を握った手をフリフリさせながら
「そんな酔狂な人がいるんですね。僕には信じられないですよ」

「新社会人とかは、そういう姿に憧れるんですよ?」

「僕は憧れもしなかったですね〜。スーツを着ない仕事をするかって考えてましたからね」

「二重螺旋さんって変わってますね」と言い、フフっと笑う

「変わってると言いますが、何処がどう変わっているのか教えて下さいよ」

「そう言ってくる辺りが変わり者なんですよ」

「僕は変わり者よりも傾奇者の方が良いです!」

「二重螺旋さんは、どちらかと言うと傾奇者に近いかもしれないですね」

「粋でいなせな傾奇者ですよ」

「Yシャツネクタイは、いつも派手目ですよね」

「真っ白なYシャツに地味なネクタイをしめているサラリーマンほど胡散臭いものはないと思ってますからね」

「スーツもこだわってますよね」

「スーツは気持ち細めですね、あとサイドベントじゃないとイヤです」

「なんでサイドベントにこだわるんですか?」

「サイドベントが圧倒的に少ないからですし、英国紳士である僕はサイドベントではならないのです」

「あのいつから英国紳士になったんですか?」

「生まれつき英国紳士ですが?何か??」

「いやいやいやいやいや、立派な日本人ですよね?」

「いえいえいえいえいえ、僕は純血の日本人ではないですよ。16/1ですけど英国の血が流れております」

「殆ど日本人じゃないですか」

「いえ、僕は英国紳士なのです。だから飲み物は黒苦汁よりも気品あふれる紅茶を嗜むのです」

「好きな食べ物は」

「チョコレート、特に好きなのはGODIVAです。あと生肉」

「前者は英国紳士っぽいですけど、後者は生肉ってなんですかwww。英国紳士の欠片もない」

「英国紳士が生肉を食べるのは駄目なんですか?駄目なら理由を教えて下さい」

「私の英国紳士のイメージですが、レディーファーストで常に女性に気を配り紳士的な立ち振る舞いってイメージなんですけど」

「あれ、お気づきではないですか??女性がいる時はドアを開けて先に通って貰っていますし、事務所で重い荷物を持っているときは持って持ってあげたりしてますよ。しかも外回りに行った時は必ず事務さんにお土産を買って帰ってきていますよ」

「気が付かなかったな」

「周りに気づかれないようにするのが英国紳士なのです」

「最近はどんなお土産を渡したんですか?」

「パパブブレの飴ですかね」

「何ですか?パパブブレって」

「海外の飴のブランドです」

「高そうですね?」

「さぁ?金額はいつも気にしないので」

「二重螺旋さんっぽい。それでなんでサイドベンドにこだわりを置くんですか?」

「センターベンドは馬に乗る際にジャケットが邪魔にならない名残りなんです。
サイドベントは腰に剣を携えた時邪魔にならない名残なのです。僕は英国紳士である前に英国騎士なのでサイドベントにこだわりを置くのです」

「あの切れ込みにも意味があったんですね」

「全てのものに意味はないのですよ」

「二重螺旋さんは筆記具にもこだわりありますよね」

「字は下手ですが、基本的にはボールペンですが大事な折衝ごとの際には、それなりの筆記具をしようしていますよ」

「何種類かカッコいいペン持ってましたよね?」

「ウォータマンとパーカーですね」

「けど、字は下手ですよね」とフフっと笑う

「字は読めればいいのです。そろそろ食べ終わらないと、タバコを吸いに行けなくなりますよ」

「粋でいなせな英国紳士って変ですよ」

「粋でいなせで傾いている英国紳士がいても楽しいじゃないですか」

佐藤さんは、僕を見てまたフフっと笑った。

「さて、食事も終わりましたしタバコを吸いにいきますか?」

「タバコを吸う場所なんてありましたか??」

「研修会場の1階に喫煙ブースを発見していますから、そこでタバコを吸いましょう」

「そうしますかね」

食器を席に残し店舗を出て喫煙ブースへ向かい、タバコを吸って休憩時間ギリギリに研修室へ戻った

つづく