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【恋愛】出会いとは常に日常にある。㉑

抱かれても構わないですよ?と言った佐藤さんの言葉は
僕の調子を凄く乱してくれていた
メリーゴーラウンドのようにグルグルと僕の頭の中で回転する
僕の心境を語るのはここまでにしよう

主任会議で佐藤さんと役員が悪巧みをしていた
僕のチーム変更の話だ
チーム変更は、引き継ぎなどに問題も発生せず
思ったよりもスムーズにチームの変更が完了した
チームが変更したことにより僕にサブが1名ついた
僕よりも若いのに、してもシッカリとしている人物だ
彼の名前は宮本君としておこう
宮本君は、僕が予算管理表を作成しておいてと適当に指示をだしておくと
僕の想像を超えた予算管理表を作成してくれたりして
とても有能だった。事務方は有能だけど
実務面になると今一歩と感じたれたが、分からない事があると
理解出来るまで質問攻めにしてきて少し困る部下だったが
自分の可能性を広げようと努力をしていると感じられた
僕なんて、今まで人生の中で一番努力をしたのが、小学校2年生で覚える九九だった
九九を必死に覚え、小学校3年になり割り算だ出始めた時には、計算機があるからいいや。と
算数を放棄したくらいだ
だいぶ、話がそれてしまった
佐藤さんの発言が僕の調子を狂わせてくれているのだ。
役員直轄の仕事が入ると「佐藤さんが悪い」と言い
新しいチーム内で問題が発生すると「佐藤さんが悪い」と言い
何かに付けて「佐藤さんが悪い」と言っていた
佐藤さんから話しかけられても、凄いそっけない態度をとっていた事も覚えている
役員直轄の仕事を佐藤さんとしていて、どうしてもイライラが収まらず
僕は佐藤さんが仕事の話をしているのに、席を立ちスーツのジャケットを羽織り
無言で喫煙所に向かいタバコを吸いに行った
僕の頭の中で「二重螺旋さんなら抱かれても構わないですよ」がグルグルと回っている
僕の中では結論が出ていた
佐藤さんが好きだと「抱かれても構わない」と言われた瞬間から
僕の調子を狂わせてくれているんだから、結論は佐藤さんが好きなんだ
男性が男性を好きになるって言うのは、凄いハードルが高い
LGBTQなんて言葉がニュースで流れたりするが実際には誰に言えないで悩んでいる人が多いと思う
僕は数人と母親にはカミングアウトをしていたが、仕事場ではカミングアウトをしていなかった
理由はカミングアウトをすると仕事に支障が出る可能性が大きかったからだ
さて、話をもとに戻します
喫煙所でボケーっとしながらタバコを吸っていたら
佐藤さんが喫煙所を覗き込むように入ってきた
「二重螺旋さん、話を無視して席を立つって大人としてどうなんですか?」と怒り気味だった

「話の途中でしたね、なんか聞いているのが面倒になりまして」

「面倒ってなんですか!」

「あぁ、すみません。僕自身のことでいっぱいいっぱいで、急に話を聞きたくなくなりました」

「え?何かプライベートで問題でもありましたか?」

「問題っちゃ、問題ですね」

「最近、なんか余所余所しく感じてました。あと何かに付けて私が悪いと言っていますよね?」

「何かに付けて、佐藤さんが悪いと言っていますよ。大々的に」

「宮本君が、2人に何かあったんですか?とか事務さんからも、どうしたの?って聞かれているんですが」

「あぁ、そうですか。それは佐藤さんが悪いからですよ」

「私は二重螺旋さんに何もしていませんよ!」

「それも佐藤さんが悪いんです」

「何かに付けて、私が悪いんですね?」

「何かに付けて、佐藤さんが悪いから僕が苦しいんです」

「私が悪い事をしましたか?」

「厳密に伝えると悪いことではないですけどね」

「じゃぁ、なんで私が悪くなるんですか?」

「僕が苦しくなるからです」

「新しいチームと役員直轄だからですか?」

「それは違います。佐藤さんが悪い。と言うのはもう止めますね。僕の中の問題になるので」

「私が切っ掛けで何かあったんですね?」

「もし、あったとしてもお互いの事にならないのでやめましょう」

「もしって言っている時点で何かあったんですね」

「もう一度言いますよ。お互いのためにならないですからやめましょう」

「いや、同じチームで役員直轄で動いているんですから問題解決しましょう」

「しつこいですね。お互いのためにならないとさっきから言っていますよね?理解してください」

「ここまで話をしたんですから、言ってください。言ってもらわないと私が気持ち悪いです」

「別に佐藤さんが、気持ちが悪くても僕は構いませんから」

「二重螺旋さん、ハッキリと言ってください」

「しつこいですね。お互いのためにならないと言っていますよね?」

「言ってもらわないと、お互いのためになるかならないかわかりませんよね!」

「少し時間を下さい。タバコを2本吸う時間を下さい。それまでに言う覚悟をしますから、あと約束をしてください。
僕が話をしたことで態度を変えるとか話し方を変えるとかはしないでください」

「わかりました。そこまで重要なことなんですね。私に切っ掛けがあるのなら約束は守ります」

僕はタバコに火を付けて可能な限りゆっくりと吸った
1本目が吸い終わる。2本目に火を付ける
佐藤さんもつられるようにタバコに火を付けて吸っている
2本目のタバコを吸い終えて、吸い殻を灰皿に滑り込ませる
「佐藤さん、約束は必ず守って下さいね」

「わかりました。約束は必ず守ります」

「僕は回りくどい言い方は好まないので、ストレートでぶち込みますから受け止めて下さいね」

「わかりました、受け止めます」

「僕、二重螺旋は、佐藤さんのことが好きです」

「ん?え?、どういう意味で?」

「男性が男性として好きなんです。僕はバイセクシャルなんです」

「え?ん?二重螺旋さんが私のことが男性として好きってことなんですね」

「そう伝えました」

「なんだ、良かった。嫌われていてチーム解消とか伝えてくるのかと思っていました」

「僕は伝えたいことを伝えましたから、約束は守ってくださいね」

「約束は守りますが、私はどうすればいいですか?」

「僕のことを、どう思っていますか?」

「いつもの二重螺旋さん」

「そういうじゃなくて、好きか嫌いかです」

「勿論、男性として好きですよ」

「それは人としてですか?同じチームで仕事をするからですか?」

「仕事とか関係なく男性として私も二重螺旋さんが好きですよ」

「ん?佐藤さんも僕のことを男性として好きなんですね?」

「はい、そう伝えましたよ」

「ん?相思相愛ですか?」

「そうですね。そうなりますね」

「え?ちょっと待ってください。僕の中で処理が追いつきません」

「自分で告白をしておいて、処理が追いつかないって可愛いですね」

「あの、あのですね。こうもスムーズに行くとは思っていなかったので」

「私はてっきり気づいているものとばかり思っていましいたけど」

「僕が気づいていたら、こんなにも苦しまなかったですけど」

「さて、問題は解決しましたし仕事に戻りましょうかね」

「スイッチの切替が早すぎますね。余韻を感じさせてくれないんですね」

「どっかの誰かさんが、素っ気ない態度をとって人の話を聞かないから少し仕事に遅れがでてますからね」

「わかりましたよ、仕事したくないですけど仕事しますよ」

「さぁ〜遅れを取り戻しましょうかね」
僕の中でグルグルと回って苦しめていた問題は意外にもスムーズに解決を迎えた

つづく