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【恋愛】出会いとは常に日常にある㉘

副主任育成の翌日
僕は少し早く家を出て会社に向かった
理由は1つだけ、役員に口頭で説明をするよりも育成会に
出席した人の名前を在籍年数と仕事の認識と
レベル及び問題・課題を記載した報告書を作ろうと思ったからだ
僕の中では、ありのままを報告書にしたいと思っていたが
ストレート過ぎる報告書をもどうしたものかと考えていた
そんな事を考えながら電車に揺られて会社最寄り駅に到着する
電車から降りる流れに身を任せて、僕も下車をする
僕は歩きながら、ふと思った
風景が黒い。
オフィス外でスーツを来ている人が何人も歩いている姿を見て
風景が黒いと思った
この風景の一部にも僕はなっていると思ってしまった
とある立ち食いそば屋の社長は、カラフルな人の流れに店を
構えても売上が伸びない
黒い流れが多い所に店を構えると売上が伸びると言っていた
僕もその黒い流れの一部に成ってしまっていることに違和感を感じながら
いつものように、コンビニでペットボトルの紅茶を買って喫煙所へ向かう
喫煙所に到着したら、ポケットからタバコを出して煙を
飲み込んでフーっと吐き出す
ありのままの報告書を作成したい欲求にかられまくっていた
タイトルは『副主任育成会報告書』にして内容はデカ文字で
レベルが低すぎてお話になりません。報告したくもないです!!って
書きたいって欲求にかられていた
そんな欲求にかられながらも、ど〜すっぺかな??
上手いこと書かないかんし、どないしょって考えていたら
いつもは始業5分前に会社にくる部長がタバコを吸いに来た
正直、嫌いだけど一応上司だから「おはようございます」と挨拶したら
返事が「あぁ」だけ、返事が「あぁ」って会社員としてどうなの?と
問いただす前に成人した人生の先輩としてどうしたものかと思うのである
そんな部長が「ちょうどいいや、二重螺旋。朝の会議に出てくれね?」と
言い出した
朝の会議って何よ?と思っていたら、事故調査報告会議って
説明がありました。本当に迷惑な部長です、ありがとうございます。
「副主任育成会報告書を作成するためにサービス早出したので
申し訳ないですが事故調査会議は出席できません」と伝えたら
早出したなら、出勤チェックして会議に参加しろと
業務命令をされてしまった。僕は、金銭に無頓着である
少しでも稼ぎたいから早く出勤したい。とか
少しでも稼ぎたいから残業をしたい。とか全く関係ない
僕は僕の仕事をこなして、問題なく1日が過ぎればいいのである

強引な会議へ出席となってしまった
本当に迷惑な部長である
僕の大切にしている朝のノンビリタイムを邪魔をされ、挙句の果てに
朝イチから会議に参加なんぞ、嬉しくもない
どうせ、事故調査会議の内容が分からなくて答えきれないから
人身御供がほしかったんだろう

美味しく吸っていたタバコが途端に不味くなり
タバコを灰皿に放り込んで「先に上に上がっています」と部長に伝えて
エレベーターに乗り込み、本社に入る
自分のデスクへ向かい、ビジネスバックをデスクの足元に投げ込む
パソコンを立ち上げて、短い時間でも報告書のひな型を
作成しようとしていたら後ろから声をかけられた。振り向くと役員だった
「おはようさんです」と挨拶をする

「おはよう、今日はいつもより早い出勤だな。昨日はどうだった?」

「口頭で説明するのも如何なものかと思うので報告書を作成して渡します。
それと、急に部長に事故調査会議に出席しろ。と指示をされたんですけど」

「きっと事故報告書を見てないから答えられないだろうな」

「はぁ、そんな事だと思いましたよ」

「二重螺旋、お前は平気なのか?」

「僕は、少し前に監査室に話を通して全部署の事故の報告書を送ってもらえるようにしてあります」

「なんで全部署なんだ?」

「仕事は違いますけど、人為的なミスなのか、そうじゃないのかを知りたいのと何かしらのヒントがあると思ったからです」

「何かしらのヒントってなんだ?」

「人為的ミスならマニュアルの見直しが必要とか、何かがなければ事故は発生しませんからね」

「この前の主任会議で言ってたヤツか?」

「そうですね、最近他部署でも事故がちょいちょい発生しているみたいですし、見直しの時期なのかもしれませんね」

「そうだな。いつまでも昔のままじゃ駄目だわな」

「僕は事故調査会議に出たくないんですけど、そのつもりで早出した訳じゃないですし」

「なんで、早く出勤したんだ?」

「副主任育成会報告書を作成する為ですよ。一度やったからには報告書が必要ですし、次回の日程とか役員からのアドバイスも欲しいと思っていたんですよ。そしたら部長が会議に出ろですよ。僕の予定が崩れまくりです」

「ん〜。まぁ一度だけ事故調査会議出席してみな、何事も経験になるから」

「そもそも、あの会議って部長以上だけの出席ですよね?僕が出席したら変じゃないですか?」

「俺も、出席するから会議が始まる前に根回ししておくよ」

「役員に、そこまで言われたら断れないじゃないですか」

「お前、部長には断ったのか?」

「勿論、即お断りしましたよ」と笑って答える

「お前、図太いな」と笑われてしまった

会議に出席する準備をしながら、報告書をひな形を作成していたら
佐藤さんが出勤してきた
「佐藤さん、おはようさんです。昨日はお疲れさまでした」

「昨日は、何の役にもたてずに申し訳なかったです」

「そうですか?僕はじゅうぶんでしたけど?」

「それなら、良かったです。報告書はどうしますか?」

「役員に作成して渡しますって話をしておきましたよ」

「すみません、何から何まで。それはそうと何の準備しているんですか?」

「朝イチから会議です」

「うちの部署で会議なんてありましたっけ?」

「事故調査会議です、巻き込まれ会議です」

「それは、お疲れさまです」

「本当ですよ。部長に急に会議に出ろって振られましたからね」

「それは・・・・お疲れさまです」

「同じ台詞の繰り返し」

「他に声のかけようがないですもん」

「今日、一緒に昼飯食べませんか?コンビニで昼飯を買ってきて休憩スペースで話をしながら食べましょう」

「二重螺旋さん、すみません。お昼は役員と一緒に外出です」

「そうなんですね、それなら仕方がないですね。ではまた今度って事で」

「そうですね」

こんな会話をしていると出席したくもない会議の時間の15分前になっていた
ノートを筆記具を持ち、会議室に入る
まぁ、そうそうたるメンツが揃っていましたよ
執行役員から役員に各部署の部長に、監査室室長
まだ席についていないのは、残念ながら僕の部署の部長だけだった
うん、残念な部長だと再認識をした瞬間であった
部長が席についたのは開始5分前だった
監査室室長が、会議の挨拶をする
簡単に言うと事故が多いから気をつけろよなって事だ
各部署で発生した事故を報告して、現状と改善案を報告する
するとそれについて指摘が入り、改善案を直して提出しますと答える流れだ

僕は真面目な顔でボケーっとしていたら
うちの部署に順番が回ってきた、部長が報告するんだと思っていたら
本当にボケーっとしていた
部長からの言葉は「今回の報告は二重螺旋から報告させます」と言う発言

つづく