【恋愛】出会いとは常に日常にある。⑲
タバコを吸い終え、会議室に向かい
僕は簡単な議事録を作成することにした
勿論、帰ってもらっても構わない佐藤さんに見張られている
どうも、見張られていると仕事がやりづらい
僕はポケットから私用のスマホを出して
音楽アプリで音楽を流した、音楽をながしたら佐藤さんが反応をした
「二重螺旋さん、この曲はなんですか?」
「アニメのオープニング曲です」
「アニメ見るんですね。意外です」
「アニメ好きですからね、その中でも耳障りの好きな曲だけ入れていますよ。まぁその他にも曲は入っていますけど」
「他の曲ってどんな曲ですか?」
「洋楽・ロック・ジャズ・オーケストラとかですね」
「何か、まとまりがないですね」
「僕の耳障りの良い曲を選んで入れているので、人からすればまとまっていないと思うでしょうね」
「二重螺旋さんって、掴まりやすい部分と掴ませられない部分がハッキリと別れているように感じます」
「そうですかね?僕は僕であって、人とは違いますし流行りものは嫌いです」
「そうなんですね、少し不思議な部分があるなぁ〜と前々から思っていたんですよ」
「基本的には、自分から自分のことは話さないようにしていますから」
「そうなんですね」
「そうですよ、佐藤さん気をつけてください。特に僕と会話をしている時は」
「何でですか?」
「誕生日7月18日で血液型A型、小学校低学年で引っ越しをして就職と同時に上京」
「何で誕生日と血液型それに小学校低学年で引っ越しをした事をを知っているんですか?」
「僕の誕生日と血液型を知っていますか?」
「わかりません」
「そういう事です。僕は日常会話の中にサラッと相手に情報を言わせる。という会話をしています
誕生日も血液型も、佐藤さん自身が日常会話の中で、僕に伝えてきたんですよ」
「ちょっと、怖くなってきましたよ」
「気をつけて下さいね、僕はこの会話でクライアントの誕生日や好きなスポーツ及びチームくらいは把握しています」
「じゃぁ、二重螺旋さんのチーム全員の誕生日も把握しているんですか?」
「勿論ですよ、誕生日にはメール送りますから」
「少しじゃなくて、だいぶ怖くなってきました」
「そうですか?人間は否定されても馬鹿にされて怒ったりしますが、興味をもっていると思い込む生き物です。
それを逆に使えば、関心を持ってくれていると思って相手から勝手に近寄ってきますから仕事が楽になります」
「こわっ」
「怖くはないですよ、悪用してないんですからねw」
こんな会話をしながらキーボードを叩いて議事録を作成していく
佐藤さんは暇だったのかモニターを覗きこんできた
「あの、二重螺旋さん」
「今度はなんですか?話しかけられてばかりいて仕事が先に進まないのですが」
「この議事録のフォーマットは?」
「暇な時間に作成しておきました」
「このフォーマットの出来が良いので、このフォーマットを正式な書式にするように役員に伝えておきます」
「伝えなくていいです、議事録まで作れと言われたら仕事が増えて、仕事中に趣味をする時間が減ります」
「私が議事録を作成するので大丈夫ですよ」
「そうやって、自分から仕事を増やす必要はないですよ。適当なチームのサブに擦り付ければいいじゃないですか」
「それだと、出来上がりにムラが発生しますよ」
「構わないですよ、サブに議事録を作成させるってのも必要だと思いますよ」
「そうですかね?」
「僕が言えた義理じゃないですが、文章能力が低い人もいると思いますから順番にして作成させましようよ」
「そうですね、本社サーバーにフォルダを作成して保管しておきましょう」
「もう、フォルダは作成してフォーマットも入れてありますよ」
「仕事早いですね」
「暇な時間があっただけです」
「議事録の進みはどうですか?終わりそうですか?」
「誰かが話しかけなければ、もう10分くらいで終わりますけど?」
「わかりました、静かに見張ってます」
「見張らなくていいから、帰ってください」
「議事録が完成するまで見張ります」
「帰ればいいのに、僕は仕事をしている姿を人に見られているのが嫌いなんです」
「わかりました、そっぽ向いてます」
「そうしてください」
それから15分後くらいに議事録が完成した
「佐藤さん、議事録完成しましたよ」
佐藤さんはそっぽを向いたまま振り向かない
あら?どうしたんだろうと思って近づいて見てみたら
佐藤さんは、そっぽを向いたまま椅子に座って寝ていた
疲れているんだから、早く帰ればいいのにと思った
「佐藤さん、佐藤さん。起きてください、議事録終わりましたよ」
「ん?あっ寝てた?」
「気持ちよさそうに寝てましたよ。だから帰ればよかったのに」
「二重螺旋さんは無茶をしそうなので」
「僕は無茶をするほど仕事をする人間ではないですよ。それよりも照明を消して帰りましょう」
「そうですね、議事録はどうしたんですか?」
「役員と各チームのマネジャーとサブと一応部長にも送っておきました。あと指示書のフォーマットも」
「二重螺旋さんって、一応部長にって、部長が嫌いなんですか?」
「嫌いではないですけど、信用はしていません」
「そうなんですね」
「部長は自分の仕事を人に押し付けて作らせて、確認してダメ出しして
あたかも自分が作成しましたって顔で提出して、上層部からダメ出しされると文句言いにくるのが嫌なんです」
「それ、ありますね・・・・」
「佐藤さんが一番の被害者じゃないですか」
「席が隣ですからね・・・・・」
「ご愁傷様です」
「部長の文句は止めて帰りましょう!」
「そうですね、帰りましょう。帰り道にあるコンビニでタバコ吸っていきましょうかね」
「本当にタバコ好きですね」
「嫌いではないですが、好んでいる訳でもないんですよ。スイッチの入れ替えとして使っていると思ってください」
「覚えておきます」
「覚えていても何の役にもなりませんから覚えないで下さい」
「二重螺旋さんが自分の事を話したので覚えておきます」
「身支度は終わっていますか?照明落としますよ」
「大丈夫です。照明落としてください」
「先に会議室の入り口に立ってて貰っていいですか?」
「わかりましたけど、そうすると暗くて歩けないんじゃ?」
「あぁ、気にしないでください。配置は覚えていますから」
この会議室は何故か入り口に照明スイッチが配置されておらず
会議室の入り口の対角線上に配置さてれいる
「気をつけて下さいね、窓からの光も少ないですから」
「現場の深夜だともっと暗い中を歩いているので夜目はききますから」
「わかりました、入り口で待ってます」
僕は照明を落として、会議室が真っ暗になった
真っ暗になった会議室で靴を脱いだ
靴を履いていると足音が聞こえてしまう、ゆっくりと壁をつたい遠回りをして入り口へと近づく
佐藤さんが「二重螺旋さん?あれ?二重螺旋さん」と呼びながら会議室へ踏み込んだときに後ろから
「お待たせしました」と言った瞬間に佐藤さんが「うぅわぁぁ〜」と声を上げた
その声と動きでゲラゲラと笑う僕
また少し怒っているように見える佐藤さん
「いつから後ろにいたんですか?」
「1分くらい前ですかね?」
「気づきませんでしたよ」
「それはそうでしょうね、気配をさとられないようにしていましたから」
「今日は悪戯が過ぎますよ」と少し怒った声で言う
「すみません、黒苦汁をご馳走しますから機嫌を直してください」
「本当に止めてくださいね」
「佐藤さんに悪戯をするのはちょっとの間はやりませんよ」
「ちょっとの間ってどのくらいですか?」
「さぁ?ちょっとのちょっとって、どのくらいですか?5分?1週間ですか?人によって違うので内緒です」
「またお得意の屁理屈」
こんな会話をして会議室を出て、駅まで歩いて向かった
つづく