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【恋愛】出会いとは常に日常にある。⑳

駅までの道のりにコンビニがある
そこで、佐藤さんを驚かせて、怒らせてしまった
お詫びとして黒苦汁を購入して佐藤さんへ渡す
勿論、英国紳士の僕はロイヤルミルクティーだ
お互いにタバコに火を付けて煙を飲み込む
フーっと煙を吐き出し、ボケーっと空を見上げていたら
佐藤さんが話しかけてきた
「最近、他のチームのサブと食事してますよね?」

「あ〜、名前が出てこない」

「小池さんと佐野さんですよ」

「そう、それそれ」

「それそれって、名前覚えましょうよ」

「その時は覚えているんですけど、その時が過ぎると忘れてしまうんですよね」

「二重螺旋さんって、名前覚えないですよね」

「覚えないんではなくて、覚えられないんですよ」

「二重螺旋さん、小池さんと佐野さんならドッチがいいですか?」

「フットワークを見ると佐野さんで、現場に置くなら小池さんですかね」

「そうじゃないです。女性としてです」

「女性として見ていなかったので、急にドッチと聞かれても困りますね」

「話しやすいのは佐野さんですね、理解をしようと努力をしているのが小池さん。ん?どっちがどっちだ?」

「髪の毛がロングなのが小池さん、髪の毛がショートなのが佐野さん」

「あぁ、そうですね。さっき伝えたので間違いないです」

「んで、ドッチが好みですか?」

「だから、女性として見ていないですからね。やたらと食事に誘われ食事ついでに仕事での問題や質問をされて
食事をしているだけなんで、僕としたら食事中まで仕事の話は嫌いなんですけど、あの2名は質問が多すぎます」

「たぶんですけど、2人とも二重螺旋さんに気があるんですよ」

「僕には全くないですけどね。食事中まで仕事の話をさせられてうんざりですよ」

「仕事にかこつけて二重螺旋さんと話をしたいんですよ」

「もしそれが本当なら、僕にとってはいい迷惑ですね。佐藤さんにお聞きしますが佐野さんと小池さんの
どちらが好みなんですか?」

「私は、二重螺旋さんですね」

「は?佐野さんと小池さんの二択で、何で僕が混ざってくるんです?」

「冗談ですから」

「では僕も言いますけど。小池さんと佐野さんと佐藤さんを選ぶなら佐藤さんですよ」

「は?選択肢が3つにふえてるじゃないですか」

「増やしたのは、佐藤さんです」

「まぁ、二重螺旋さんなら抱かれても構わないですけどねw」

「僕も佐藤さんなら抱かれても構わないですよ?ホテル探しておきましょうか?」

「話が飛躍しすぎですって」
僕は佐藤さんは僕がバイセクシャルであるのを確認するために振った会話なのか
本当に僕に好意を寄せてくれているのか、わからなかった。
「さて、佐藤さん。タバコも吸いましたし駅へ向かって家へ帰りますか」

「そうですね、帰りましょうかね」

「主任時代から思っているんですが、歩くにしては少し駅まで遠いですよね」

「遠いですよね、体力削られますよね」

「はい、削られますね。あぁ、そうだ。聞きたいことがあったんだ」

「聞きたいことですか?仕事ですかね?」

「仕事になると思うんですけど、連絡会のときに役員と悪巧みしてましたよね?」

「鋭いですね、二重螺旋さんを現在進行系で問題が多いチームのリーダーにしたらどうですか?と提案してました」

「何をふざけた提案をしているんですか?僕の仕事中の趣味時間がなくなるじゃないですか!」

「いや、あのですね。仕事中に趣味はしないですから」

「僕は仕事中でも趣味をしたいんです。じゃないと仕事が進まないんです」

「趣味で仕事が進むって、どんな理屈ですか?」

「趣味で頭をフル回転させて、仕事で脳を休ませる!」

「逆ですからw」

「結果は出してますから」

「それが不思議なんですよねw」

「チームが変更になったら、仕事が増えるの本当に嫌なんですけど
仕事が増えるのが本当に嫌なんですけど、仕事が増えるのが!本当に!嫌なんですけど!!」

「3回も同じことを言わなくても」

「とっても大事なことなので、2回じゃなくて3回言いました」

「ちゃんと理由があるんですよ、私がしている仕事と二重螺旋さんがやっている仕事で話が進まない時がありますよね?」

「まぁまぁありますね」

「チームリーダーを変更すれば、仕事が近くなるので一緒に行動したり仕事がしやすくなると思ってたんですよ。
だから役員に提案をしたんですよ」

「それで役員はなんて返事しました?」

「あっ、それイイね!でした」

「あのクソ役員、本当にろくなこと言わねぇな」

「二重螺旋さん、言葉が乱れてますよw」

「地がでましたね、すみませんw」

「役員との会話で、問題が多いチームを私と二重螺旋さんで対応して、その他に役員直轄の業務をしてもらいたいそうです」

「ほら、ほら、ほら、あぁ〜僕が行ってきた社員ニート生活が・・・・・」

「社員ニートって、結果出してるからニートじゃないですよ」

「あれは出来レースなんですよ。クライアントの年間通しての予算をしっているからクライアントと口裏合わせて
いついつ何々をしようって決めているんです、それを現場に割り振って売上を作ってるんですよ」

「だから、余裕があったんですね」

「当たり前じゃないですか、出来レースがあるからのんびりと社員ニート出来てたのに」

「あのですね。伝えておきますけど、二重螺旋さんだけですからね専属の事務員さんがついているのは」

「しょうがないですよね、僕のチームは事故も起こさなければ問題も発生しない、それに売上が一番良いですから
他のチームと一緒にされては困りますよ。そもそも事務員さんがいないと請求金額が違うから処理しきれませんよ
他のチームの売上半年分を1ヶ月で稼ぐんですから、当然ですよ」

「それを言ったら元も子もないですよ?」

「僕はチームが変わっても問題ないですが、僕の後釜はどうするんですか?」

「鈴木さんにしようかと思っています」

「鈴木は駄目ですよ、小さい問題を大きくしちゃって、どうしましょうと相談されて何故か僕が謝罪に行って話をつけて帰ってきたら
そんなに大きい話じゃないですよね?とか言い出すアホですよ。鈴木に任せるなら、山本さんが良いですね。元々は僕と同じチームで
リーダーを張ってた経験もありますし、クライアントにも明るいですから」

「それも含めて役員に改めて相談をしてみます」

「そうしてください。僕の社員ニート生活は終わりを迎えましたから」
こんなやり取りをしていると、長い道のりも短く感じられた
お互いの家は逆方向、僕が先に電車に乗り込み佐藤さんが見送ってくれた
僕は電車の中で、佐藤さんは何を思って「抱かれてもいい」と言い出したのか
気になってしかたがなかった
僕の胸の鼓動は早くなっていた

つづく