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【恋愛】出会いとは常に日常にある。㉓

佐藤さんが復帰して数ヶ月が過ぎて新しいプロジェクトが動き出した
そのプロジェクトが外国人実習生育成だ
外国人実習生育成のプロジェクトリーダーに選ばれたのが
佐藤さんだった、僕は実習生実技育成リーダーに選ばれた
佐藤さんも僕も肩書だけみたいな部分はあったが
毎週、外国人実習生を受け入れた現場に出向き
確認をして外国人実習生の育成状態の報告をする事となった
勿論、外国人実習生を受け入れるにあたり、実務面の理解しやすく画像つきマニュアルと
実務面の動きをする理解しやすいように動画マニュアルを僕が全て作成をした
マニュアルを作成し、外国人実習生を受け入れている団体へマニュアルを送り
彼らの母国語に翻訳をしてもらい外国人実習生に渡し実務がスムーズに運ぶようにと願った
内容が全く同じ日本語のマニュアルを受け入れた現場主任へ渡し、出来る限りの負担を減らそうと努力をした
毎週、佐藤さんと現場に出向き外国人実習生のヒアリングをして
実務面の作業の確認を行い、経営上層部へ報告をしていた
外国人実習生は、即戦力にはならないものの、それなりの戦力にはなっていた
現場主任からもヒアリングをして問題点や課題点などを聞き
実務面のマニュアルを追加して欲しい等の要望を聞き入れ、紙面でのマニュアル
動画でのマニュアルも追加作成をするなどしていた
勿論、このプロジェクトの他に佐藤さんと管理運営をしているチームの問題点は山積みの状態なのにも
関わらずまたもや新しいプロジェクトが始まってしまった
副主任育成プロジェクトだ
外国人実習生のマニュアルを上層部が見て、外国人実習生のマニュアルが作れて
実技指導が人材がいると判断されてしまったため
またもや、佐藤さんと僕と宮本君の3人でプロジェクトを推し進める結果となってしまった
役員からはチームの問題にに通しがついて、外国人実習生も落ち着いてきたら
早々に副主任育成に取り掛かってくれと指示が出た
僕はその話を聞いて「どうするべきか?」と悩み
ジャケットを羽織り、タバコをポケットに押し込んで喫煙所に向かいタバコを吸っていた
この時の状態は、右を向いても左を向いても上を向いてもしたを向いても
何処も手詰まりに近い状態だった
仕事で身動きが出来なくなってしまっていた
アレコレと悩んでいたら、喫煙所にため息を吐きながら佐藤さんがやってきた
佐藤さんは僕に気づいて一言「どうしますかね?」
僕も考えていたが答えを出せない状態でいた
「佐藤さん、今回ばっかりは身動きできませんよ。チームの問題・外国人実習生・副主任育成がほぼ同時進行ですよ」

「そうなんですよね。私もいろいろと考えたんですが答えが出せなくて困っています。どれか1つだけでも減ればなんとかなりそうですけど」

「その1つがデカくて重すぎなんですよ」

「そうなんですよね。少なくともチームの問題は投げやりに出来ないですし」

「佐藤さん、本当に身動きひとつ取れないですよ。何処かを取れば何処かが崩れます」

「そうなんですよね。いつくすれてもおかしくない状態ですからね」

「ん〜、例えですよ、例えばなんですけど、外国人実習生のマニュアルは一通り出来上がっていますよね」

「二重螺旋さんが作成してくれたマニュアルがありますね、それで?」

「困ったことや問題点を現場責任者にヒアリングをしてもらい、メールで送信してもらえば少しは時間が削減できますよね」

「そうですね、けどそれだと不信感に繋がらないですかね?」

「毎週、佐藤さんとヒヤリングしに行っても最近はあまり困った事がないと返事を現場主任から貰ってますから
その報告をメールにして、毎週現場に出向くのを一旦止めて、チームの問題解決を先に片付けて、現場に出向いてヒアリングすれば
1周間は時間を稼ぐことが可能です」

「1周間は大きいですね」

「そこで提案なんですが、本当に申し訳ないのですがその業務を佐藤さんと宮本君で行ってもらえませんか?」

「その間、二重螺旋さんは何をするんですか?」

「副主任育成するための人材選びと、マニュアル作成とメーカーと話をして講師をしてもらえないか調整します」

「副主任育成の人材選びの方法はどうするんです?」

「各チームマネジャーに候補を3名上げてもらいます、あとは人事部と話をして履歴書を見て判断します。
現状何かをやれる可能性としたら、このくらいしか思い浮かばないです」

「ん〜、ダメ元でやってみましょうか」

「正直、何処かでつまずくと思うので、つまづいたら再度作戦会議って事でどうですかね?」

「ん〜、そうですね、現状動ける状態を作るのにはそうするしかないですよね」

「ねぇ、佐藤さん」

「なんですか?」

「少なからず、良い案が浮かんだと思うのでチューしてください」

「駄目です。成功したらのご褒美です」

「意外とケチですね」

「飴と鞭ですよ」

「僕は飴だけでいいんですけど」

「成功したらのご褒美です!」

「わかりましたよ、ケチっ」

「僕は甘やかさないですよ」

「んじゃ、少しだけ本気出しますよ。本当に少しだけ」

「珍しく、二重螺旋さんがやる気をだしましたね」

「あま〜い飴がまっていますからね」

「そこが目的なんですね」

「当たり前じゃないですか、目的がなければ楽しくないですからね」と伝え喫煙所を2人で出る
デスクに戻り、宮本君も交えて今度のことを話をしようとしたら
空気がまったく読めない、読もうともしない部長が面倒仕事を佐藤さんに振ってきた
ちょっと待て、その振ろうとしている仕事は、そもそも部長の仕事だろうと思ったので
僕はこっそりと役員と執行役員にメールを送り小会議室で待ち合わせをした

「すみません、執行役員並び役員、お呼びだてしてしまい申し訳ございません。現在佐藤・二重のチームで
管理運営しているチームの問題・外国人実習生プロジェクト・副主任育成プロジェクトが3つ同時進行している状態です
その状態の最中、本来ならば部長が行わないと行けない仕事が佐藤さんに振られています。この状態を打破すべくには
部長には部長の仕事を自分で行って頂かない限り。最悪クライアントの信用信頼の失墜・外国人実習生の失敗及び
副主任育成も行えなくなるので、部長には自分の仕事は他の人に頼らずに部長ご自身で仕事をするように注意をして頂けないでしょうか?
もしくは、佐藤・二重チームのサブをあと3名。いや、1名で構わないので増やしてください。ご検討をお願いします」と執行役員と役員に伝えた
僕の中の算段では、人員を増やすことはしないだろうから、部長が執行役員に呼ばれて
自分の仕事は人に振らずに自分で処理をしろと業務命令が下ると踏んでいた
僕の目論見は、見事に的を撃ち抜いた。
打ち抜きすぎて、役員+常務+執行役員からの業務命令となった
まぁ、役員も常務も執行役員も、部長の仕事に対する姿勢に疑問を持ちながらも決定打にかけており
注意出来ない状態だったのだろう
これで、余計な仕事がはいってくる事はなくなった
部長は3人から呼び出され注意をされたから、佐藤さんに振っていた仕事を全て回収をしたようだ
その後部長は、佐藤さんに振っていた仕事だから理解もしておらず、苦労をしているようだったが
自分の首を自分で締めたんだから、放っておいた
役員は、佐藤さんには聞かないようにと釘を刺してくれていたようだ
佐藤さんは、振られた仕事が全て部長の手元に戻っていくのを不思議そうにみていた

つづく