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【恋愛】出会いとは常に日常にある。⑱

連絡会が終われば会議は終了する
僕のチームは僕が伝えたいことを伝えて
伝えたことに対して、勝手な解釈をする連中ばかりだから
伝えることに疲れてしまう
とりあえず、勝手な解釈をしないで困ったら連絡してと伝え
連絡会は終了にした
各チームの連絡会も終了し始めているようで
チラホラと帰っていく姿が見えた
主任全員が帰ったら、役員が反省会をしようと言い出した
正直、反省会なんて面倒だ。僕には反省する覚えはない
長テーブルを適当に並べて反省会が始まった
議題は今回の主任会議に対してだった
役員は、今回の主任会議は面白かったと言ってくれた
同然だろう、何せ僕が適当に考えた内容なのだから
役員は今後行う主任会議の議題などは一人1つは出すようにと言っていた
他のチームはマネージャーの下にサブが2〜3名いる
僕のチームはマネージャーは僕だけでサブはいない
圧倒的に議題をひねり出すのに不利である
さて、今後の議題をどうしたもんか?と考えていたら
役員が「二重螺旋君は考えなくていい。各チームが出した議題に対してまとめて
レジュメと資料を作成してくれれば構わないから」
うん、アレだ。アレ。今回の会議で役員は僕に今後の会議内容を決めさせようと考えたようだ
一番のハズレくじを引いてしまった
暇な時間があったから、適当に作った会議内容が裏目に出てしまった
けどまぁ、裏を返せば僕が好き勝手に会議を決められるってことだから
好きにさせてもらおう
反省会も短い時間で終わり、各マネージャーは会議室の片付けもせずに帰っていく
まぁ、そういうヤツらは僕は当てにしない
困って泣きついても、突き放すだけだ
会議で使ったPC・プロジェークター・スクリーンを片付け
マイクとスピーカーをしまう
配置を変えてしまった長テーブルを元の位置へ戻す
ふと窓を見たら、外は薄暗くなってきていた
さて、後は箒でゴミを集めて捨てるだけだと思っていたら
佐藤さんが箒がけをしてくれていた
居るなら居ると声かけてくれればいいのにと思いながらも
「佐藤さん、残ってくれたんですね」

「はい、二重螺旋さんがブツブツ言いながら片付けをしているので話しかけづらくて」
と箒を動かしながら返事をしてくれた

「あぁ〜、次回会議のネタを考えていました」

「二重螺旋さんがネタを考える必要は無いじゃないですか、役員もおっしゃってましたし」

「どうせ、忙しいから任せるよって返事がくるのを想定しています」

「否定的な考えですね」と言いながらも箒は動いてゴミを集めてくれている

「否定的にもなりますよ、僕が司会進行をして今までとは違う視線で会議を観察していましたが
誰も協力的ではないと感じました」

「そうですか?」

「なんとなくですけどね、中には寝ているサブもいましたし」

「ん〜、緊張感を持ってもらいたいですね」

「次回から寝ていたらバンバン指摘していきますよ」

「嫌がらせじゃないですか」と笑う

「僕が作った会議では寝かさないですよ」と笑って応える

「二重螺旋さん、掃除が終わったらどうするんですか?」

「掃除が終わったら、ゴミはゴミ箱へ」

「そういう意味ではないですよ」

「え?なんですか?」

「掃除が終わったら直ぐに帰るんですか?」

「いや、今回の会議議事録的なものを簡単に作成しようと考えていますが」

「それが終わるまで、付き合いますよ」

「待ってなくていいですよ、いつもより早く帰れるんですから、帰ったらどうです?」

「二重螺旋さんの事だから、議事録を簡単に作成している間に何かを思いついて仕事を始めそうなので見張りです」

「僕はそこまで真面目ではないですよ」

「連絡会のときに役員と話をしていたんですが」

「あぁ、なんか悪巧みしてるなって思ってましたよ」

「役員から、二重螺旋は何かに気づいたり思いついたりするとある程度の形になるまで
仕事を止めないからな。あんなヤツだけど始業1時間前に会社に来てアレコレして、僕は何もしていませんって顔してるから
気をつけろよって注意されましたから」

「あの役員め、余計なことを言いやがって」

「二重螺旋さんって真面目なんですね」

「お昼ご飯を買いに行くときも伝えましたよね、不真面目な真面目だと」

「いやいや、真面目じゃなければタバコを吸っているときに話しかけられて
何か困ったことや、問題ごとがあったら気軽に電話しておいで。なんて言わないですって」

「溺れるときは藁をも掴むですよ。一人でも話しかけられる相手がいれば答えはふえますからね。僕がバイトではいって
半年後くらいに、主任になれって言われて、僕は凄く困ったんですよ。指示の出し方
クライアントとの折衝。聞く相手が誰もいなくて辛かったんですよね。それが嫌で苦しかったんですよ
だから、今回みたいに知らない人が話をして視野が広がって仲良くなって電話番号交換して
アレってどうするんだっけ?とかなっていけば面白いじゃないですか」

「苦労したんですね」

「苦労しましたよ〜。だって何も分からないまま頭張っていたんですからね」

「酷いですね」

「昔よりは酷くは無いですよ、今は多少なりと教えてくれる人がいますからね
さて僕は簡単な議事録を作成しますよ」

「じゃ、私は見張りです」

「帰れば?」

「見張ります」

「こんなに早く帰れるの滅多にないんですから帰って下さいよ、僕には構わずに」

「見張ります」

「わかりました。好きなだけ見張ればいいじゃないですかっと、その前にタバコ吸いに行きません?」

「その話には乗ります」

会議場の入っている近くのコンビニで僕はミルクティーを佐藤さんは黒苦汁を買っていた
灰皿の周りには、僕と佐藤さんしかいなかった
佐藤さんはタバコを吸いながら黒苦汁を口に含んでのんでいた
僕はその横顔をボーっと眺めていた
急に佐藤さんが「私の第一印象ってどうでしたか?」と聞いてきた
ボーっとしていたのに急に第一印象はどうでしたか?と聞かれてねぇ
「僕が佐藤さんを認識したのはだいぶ前の主任会議でしたよ。まだ僕が主任をしていましたかたね。
丁寧な話し方をする人だな〜。たぶん、どっかの現場から無理くり本社に連れてこかれた人なんだろうな
かわいそうに、長生きしろよ。って思いました」

「たぶん、初めて主任会議で司会進行した時だな。僕は二重螺旋さんの事はしっかりと覚えていますよ」

「覚えていても損なので、忘れてください」

「いや、忘れられないです。目標になったんですから」

「目標設定を距離で例えると5キロくらい間違えていますよ、それ」

「私のかなで、衝撃だったんです」

「あっていましたっけ?それとも僕が忘れているだけ?」

「数年前に社内技術大会がありましたよね」

「あぁ、そういえばありましたね。賞金でゲーム買ったヤツですね」

「あの順位は、未だに私は二重螺旋さんが1位だとおもっているんです」

「僕は順位より賞金でしたから順位はどうでもいいですね、欲しいゲームが買えましたし」

「私が見た中で流れるように作業を行いながらも、話をして笑いもとっていたから
この人を敵にまわしたらいけない。私もこういう人になろうと思ったんですよ」

「そうなんですね、蓋を開けたらコンナンですみません」と笑いながら伝えた

佐藤さんは「今回の会議でも他のマネージャーに対しての言葉や主任さん達への話し方を見ていて
やっぱり凄いなって思いましたよ」

「褒めてもなにもでない。出るのは愚痴だけですよ」

「本当にインパクトがあったんですよ」

「そうなんですね」

「そうなんですよ、本社に上がってきたときに私はあのひとだっ!って思いましたよ」

「そうなんですね。僕は本社へ狩り出された哀れな人だって思っていました」

「お互いに全く逆の発想だったんですね」

「そうみたいですね。さてとタバコも数本吸いましたし残りを片付けますかね〜。帰っていいですよ」

「だから、帰りません。見張りますから」

「佐藤さん、意外と強情ですね」

つづく