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【恋愛】出会いとは常に日常にある。⑭

休憩時間ギリギリに研修室に戻ったはずなのに
まだ、チラホラと空席が見えた
外部研修=行きたくもない研修なんだろう
実際に、佐藤さんと僕は行かなくても良い
研修に参加をしているのだから、席に座り
佐藤さんを横目で観たら欠伸をしていた
肉うどんを食べてお腹がいっぱいで眠くなっているんだろう
僕も眠くなってきている
つまらない研修へ参加をし食事をすれば誰でも眠くなる
また佐藤さんが欠伸をしている
「佐藤さん、眠いんですか?」

「お腹の感じが良くて眠れそうですね」

「僕も同じなんですよね、いい感じに眠気がきてます」

「午後の部になった途端に寝てしまいそうだよ」

「良いアイデア浮かびました、どちらかが寝てしまったら足を突いて起こしましょう」

「良いアイデアですね、そしますかね」

「ボイスレコーダーを起動させておけば後からでも聞き直しが可能ですからそうしましょう」

こんな会話をしていたら午後の部が始まった
午後の部が始まってから戻ってくる猛者も数名いた
多分、食事をして研修のことを話してのんびりしていたのだろう
午前の部は照明がついている状態で話を聞いていたが
午後の部は照明を少し暗くしてプロジェクターから映し出される
画像や動画を見る感じだった

照明が薄暗くなりスクリーンに映し出される
現在の日本の物価指数、過去から比べると随分と値上がりしているものが多い
僕は物価の値上がりに関心をしてノートにメモをしていた
メモを残し横をみたら、佐藤さん寝てる
手で太腿をツンツンと突く
「ん?寝てた??」と小声で言う
僕は物価の値上がりに関心をして、物価の値上がりの理由まで
聞いたところまで覚えていた

太腿をツンツンとされ起きる
「落ちてましたね」

「完璧に落ちてたよ」と言ったあとにフフッと笑う

研修室の何処かから、いくつもの寝息が聞こえてくる
食事して部屋を暗くされたら眠ってしまうよ
なぜ、話を逆にしなかったのかと疑問に思った

佐藤さんに起こし起こされを繰り返しながら
やっと15分の休憩時間になった
「佐藤さん、睡魔がヤバかったですね」

「あの部屋の暗さにちょうど良い室温だからねちゃうよね」

「佐藤さん、僕はトイレに行ってからタバコを吸いに行きますけどどうします?」

「私もトイレとタバコですね」

「じゃぁ一緒に行きますか」

「行きます、行きますとも」

喫煙所に行きタバコに火をつけて煙を飲み込んでフーっと吐く
佐藤さんかボソッと「眠い」と言葉がこぼれる
そりゃ眠いだろう
毎日のように終電2歩手前まで残業をしているのだから
僕も「眠い」と言う言葉に頷いた
15分の休憩でお互い2本のタバコを吸い
研修室へ戻る

休憩後はプロジェクターは片付けられおり
残りの時間は部屋は暗くならないような雰囲気が出ていた
講師が現れ、アレコレと話をしていたが
僕と佐藤さんは睡魔に襲われ、ほとんどの話は耳から入り
コップに注ぐ水のように流れ出て行っていた

そんな無意味な社外研修が終わり
ボイスレコダーのスイッチを切り、マイクをまとめ
筆記具とノートをバッグに片付け
僕と佐藤さんは研修室から出た

「二重螺旋さん、寄り道しませんか?」

「タバコ吸いたいんですか?」

「それもありますけど、眠くて仕方がないのでコーヒーを飲みたい」

「よくもまぁ、黒苦汁ばかりのみますね」

「その言い方なんとかならないんですか?」

「なりませんね」

「黒苦汁って言われると体に悪いものを飲んでいる気がしてきますよ」

「僕が勝手に言っているんですから気にしなければいいのに」

「すり込みで自販機でコーヒーを買うときも思い出してしまうんですよ」

「それは良い兆候ですね」と僕は言いながら笑った

いつも通りに駅前にあるドトールへ入り

佐藤さんはコーヒーを、僕はロイヤルミルクティー

飲み物を受け取り、喫煙室へ向かい

椅子に座り、タバコに火を付けて大きく吸い込んでフーっと煙を吐き出す

佐藤さんは黒苦汁を一口飲んでからタバコに火を付けた

「あのですね。相談があるんですけど」

「なんとなく面倒くさそうなので、聞く前にお断りします」

「それだと会話にならないでしょ」

「なんですか?どうせ面倒な仕事ですよね?」

「面倒ではないと思いますけど」

「一応、聞きますよ」

「今度の主任会議で司会進行をしませんか?」

「ほら、面倒な仕事じゃないですか」

「二重螺旋さんって、話し方が上手だからどうかな?って思いまして」

「嫌ですね、僕はスーツを着て事務仕事をしているのも嫌で仕方がないのに、なんで人前でマイクを持って話をしないといけないんですか?」

「だから、先程伝えたじゃないですか、話し方が上手だと」

「それがなんで主任会議の司会進行につながるんですか?」

「話の仕方が上手だから」

「絶対に嫌です、お断ります」

「そう言うと思って、役員には許可を貰っています」

「出来レースじゃないですか。決まっているのに相談って形にするのは卑怯です」

「この前のお返しです」

「この前??この前って何かありましたか?」

「役員から頼まれたシステム導入です」

「あぁ、アレですか。アレで何かありましたっけ?」

「ニヤニヤしていたじゃないですか」

「それを根に持っていたんですね」

「仕返しの機会を伺ってました」

「嫌な人ですね、僕はそういうのは嫌いです」

「嫌いも何も、確定事項ですからね。よろしくお願いしますよ」

「確定しているなら、司会進行しますけど僕のやり方でやらせてもらいますよ」

「そこは役員と相談してくださいね?」

「相談なんてしませんよ。許可を取ったのは佐藤さんなんですから」

「なんか、しっぺ返しがきた感じがします」

「覚悟はしておいてくださいね。少なくとも笑いに走りますから」

「二重螺旋さん。あのですね、主任会議は本社と現場を繋げる大切な時間なんですよ?」

「それがどうしました?僕は笑いが1つもない主任会議って面白くないと思っていたので考え次第では面白い仕事ですね」

「ん〜、何か大きな間違いをしてしまった気がします」

「まっ、怒られるような事はしないとは思いますが、あとで注意はされるかもしれないですね」

「もう、頭の中ではどうやろうか考えていますね?」

「まずはマネージャーになって、現場の方々に挨拶をしていないので自己紹介はしないといけないな。と思ってはいますよ」

「あの、聞いていいですか?二重螺旋さんを知らない主任さんっているんですかね?」

「顔は知っているでしょうでど、名前までは知らない人は多いと思いますよ。僕がまとめているチームの他にも3つのチームがあるんですから」

「そうですよね、そうなると自己紹介は必要になりますね」

「レジュメと主任会議の資料作成は僕がしたので頭の中に入っていますからご安心を」

「なんとなく心配ですけど、司会進行をお願いしますね」

「わかりましたよ、司会進行しますよ。僕のやり方でね」

「あぁ、心配になってきた」

そして、主任会議の日当日を迎えることになる

つづく