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【恋愛】出会いとは常に日常にある。⑮

主任会議の当日、僕はいつもより早くに家を出た
理由は、僕が主任だった頃受任会議場へ到着すると
主任会議開始時刻ギリギリまであたふたと準備をしていて
その光景を見ていて、なんで早くにきて準備をしておかないのだろうか?と
疑問に思っていたからだ
主任会議場は本社にはなく、会社が借りているビルの一室にある
それなりに警備は厳重で会議室に入るのに暗証番号を入力をしなければならない
事前に、事務さんから暗証番号を教えてもらっていたので
暗証番号を入力して、会議室に入る
会議室に入った瞬間に、こもった空気を感じた
まぁ、1ヶ月に1回使うか使わないかの会議室だから
空気がこもるのも当然だ
ドアをあけたままにして荷物を長テーブルに投げ置いて
照明をつけて窓を開けて空気の入れ替えをする
それから、ネットに繋がっているPCを立ち上げ
コピー機の電源を入れる
コピー機の電源を入れるときに空調のスイッチをみつけたので
冷房を軽くまわしておいた

そうこうしていると、PCが完全に立ち上がっていたから
USBを刺して、主任会議のレジュメと資料をプリントアウトをする
プリントアウトを待っている時間が勿体ないから
自分なりに会議場の形を作ってみることにした
これも、僕が主任時代のときから、変な長テーブルの配置にしているんだろうと
疑問に思っていたから、僕が思いつくまま会議場を作る

会議場の設営が終わったら、今度は説明に使うPCの準備をする
モニターを運び、PC本体を運び、キーボード・マウスも運ぶ
それを全て繋いで、立ち上げる
プロジェクター用のホワイトスクリーンを準備して
PCとプロジェクターを接続して、動作確認をする
ホワイトスクリーンに映し出させる画像のピント調整を行っていたら
役員がコンビニのビニール袋をぶら下げて入ってきた
「おはよう、二重螺旋。もう準備万端だな〜」と声をかけてきた

「役員、おはようさんです。僕が勝手に会議場を作ってしまいましたけど構わなかったですかね?」と聞いたら

「時には変化が必要だから、前から会議場の配置は気になっていたから構わない」と返事をもらった

とりあえず、会議場は出来た
次の準備はレジュメと資料を各席に配布することだ
コピー機から吐き出されたレジュメと資料を持ち配布しに行こうとしたら
役員からまた声をかけかれた
「もう、そこまで準備しているの?」
その言葉に振り返り役員を見たら、アンパンを食べていた
「そこまで準備出来てるの?じゃないです。準備をしておかないとあたふたと会議が始まって
資料が手元にない。とかプリントアウト中だから少し待ってねってのが馬鹿らしいのですよ」

「そうだね、俺があえていわなかった事を進んでやってくれるヤツが現れたから嬉しいよ」

「あ、そうだ。役員、今日の司会進行は僕だって話ですけどいいんですか?」

「構わないよ、司会進行頼むよ」

「そうですか。構わないなら僕なりの司会進行にしますから」

「オフィシャルの場だから、あまり悪ふざけはするなよって伝えておくぞ」

「少しは悪ふざけをさせてもらいますから」

「わかったよ、少しだけだぞ」

「少しにしておきますよ、僕なりの少しに」

こんなやり取りをしてから、各席にレジュメと資料を配布していく
配布をしている最中に、佐藤さんが会議室へ入ってきた
佐藤さんが会議室に入ってくると同時に
「会議場が出来上がってる」と言った

「佐藤さん、おはようさんです」

「おはようございます、コレって二重螺旋さんが全て準備したんですか?」

「そうですけど、なにか問題でも?」

「いや、問題はないですけど大変じゃなかったですか?」

「別に大変って程の仕事量じゃないですからね」

「え??いつもは数名でやっていますよ」

「手際が悪いんですよ、僕は事前に暗証番号を教わって入室して準備しただけです。
そもそも、管理する側の人間がココの暗証番号を知らないで、入れなくて暗証番号を知っている人間が来るまで会議室前で待ちぼうけして
準備に時間がかかっているって僕が主任時代のときには気づいていましたよ。僕がそんな非効率な準備をするとおもいますか?」

「私が到着する頃には役員が来ているので、役員と会話をしてから準備をしていたんですよ」

「そうなんですね、役員なら奥でアンパンを貪り食べていますよ」

「そうですか、わかりました。あと残っている準備はありますか?」

「マイクとスピーカーが所在不明なので、それを準備してもらえると助かります」

「了解です」

僕は各席にレジュメと資料が終わり
んーっと言いながら背伸びをしていたら、佐藤さんからお呼びがかかった
「二重螺旋さん、ココにマイクとスピーカーのセットがありますから、覚えておいてください」

「わかりました。それで準備はどうするんです?」

「スピーカーの電源をコンセントに差し込ん・・・・痛い!!」

「あっ、すいません。手に持っていたコンセントをなんとなく佐藤さんに刺したくなりました」

「普通に痛いですから、止めてくださいよ」

「すみません、出来心です」

「コンセントに差し込んだらですね、スピーカーの音量を上げるんです」と言ったと同時にハウリングが起きる

ゲラゲラと笑う僕、ビックリしている佐藤さん

「うわっ!急にハウリング起こした!」

「でしょうね、僕がマイクの電源入れて隠し持ちながら説明を受けてましたから」と笑いながら伝える

「なんですか、さっきから人にコンセント刺したり、ビックリさせて楽しいですか!!」

「すみません、どうしてもビックリする顔が見たくてやりました」

「二重螺旋さん、そういうところは直してください」

「何でですか?僕は楽しくて仕方がないですよ」

「二重螺旋さんは楽しくても、私は楽しくないですからね!」

「わかりましたよ。次からは何か仕掛けがあるよ。と伝えますね」

「そういう問題でもないんです!」

「わかりました、今度からは悪戯しないですから機嫌を直してください」

「本当ですね?」

「本当です、佐藤さん以外の人に悪戯をしますから」

「そういう問題でもないんだけどな」と呆れた顔をしていた

会議を行う準備を全て終えて、役員のところへ戻ったら
「二人して、何か言い合いしてたな」と役員

「僕が佐藤さんに悪戯をしたら、佐藤さんがご立腹になりまして」

「二重螺旋さんがコンセントで刺してきたり、わざとハウリング起こしたりするんですよ。少しは怒りますよ」

「あのな〜、佐藤くん。二重螺旋の悪戯は今始まったことじゃないから。諦めて」

「そうですよね、役員」

「お前は黙っとれw」

「そんなに悪戯するんですか?」

「おお、悪戯するよ。俺のデスクに電話が置いてあるだろ?」

「役員専用の電話ありますね」

「その電話の受話器にチョコが置いてあったんだよ。そのチョコを持ち上げたら受話器まで着いてきたことがあったぞ」

「え?役員も悪戯されたんですか?」

「何回もされてるよ、その都度、注意してるけど治らないから諦めたよ」

「佐藤さん、ご理解いただけましたか?僕の悪戯は役員のお墨付きなんですよ」

「アホwお墨なんてつけてないわ!」

「僕は今の説明で、お墨付きを貰ったとおもいましたよ」

「二重螺旋さん、悪戯をやっていい人と駄目な人くらいは、わかりましょうよ?」

「やったら駄目な人にやるから悪戯は面白いんですよ?そこが醍醐味なのに」

「佐藤くん、最初に伝えただろコイツは普通と違うぞって」

「そういえば、おっやしゃっていましたよね」

「こういうマネージャーが、俺が欲しかったんだよ。何を思いつくのか何を起こすのか
危なかっしいけど、今までいない人材だったからね」

「役員、いなさすぎる人材ですよ?」

「だから、近くに置いておきたいのさ。真面目な誰かと何を起こすか分からない人材を近くに置いておきたいんだよ」

「それが、私と二重螺旋さんですか?」

「そうだね。」

「私は何か大変な物を背負わされた気持ちになりましたよ」

「まぁ、そんなに落ち込まないでくださいって、僕と組んでれば何かしら良いことありますから」

「ってことで、佐藤くん改めて頼むよw」そういわれた佐藤さんに久々に訝しげな目でみられた

つづく