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チェルシー×シェフィールドユナイテッド プレミアリーグ 第23節 2021.2.8

こんにちは! へーこです。
今回はチェルシーとシェフィールドの一戦について戦術分析レビューを書いていきます。前節スパーズに辛勝し、2連勝を飾って勢いに乗るチェルシー。対するは最下位ながらシティー相手に好ゲームを演じるなど決して侮ることのできないシェフィールド。

それでは、試合を振り返っていきましょう。

スタメン

チェルシーは前節同様に343のシステムを採用。GKにメンディー。3バックはリュディガー、クリステンセン、アスピリクエタ。中盤は右からジェームズ、ジョルジーニョ、コバチッチ、チルウェル。3トップにヴェルナー、ジルー、マウントを起用しました。前5枚の人選は試合ごとに変わる中、後ろの5人はほとんど変わらずトゥヘルの信頼がわかる。少し気になるのはエイブラハムの出場機会が減ってきている気がすること、直前にプリシッチがメンバー外になったことだ。

対するシェフィールドは532のシステムを採用。GKにラムズデール。5バックは右からボーグル、バシャム、イーガン、ブライアン、ロウ。中盤3枚はランズトラム、ノーウッド、フレックをフラットに並べる。そして、2トップにはマクバーニーとバークを起用した。

チェルシーの保持時① 基本形

チェルシーは343の形のまま高い位置を取る。

後ろの3バック+2CHでビルドアップ隊を形成。コバチッチ、ジョルジーニョはディフェンスラインに降りたりして、パス回しに濃淡をつける。そして、リュディガーよりもアスピリクエタの方が高い位置を取ることが多い。

攻撃陣は3トップ+WBで5レーンを使いライン間or裏抜けの駆け引きをする。

ここまでは前節までの戦い方と同様。

チェルシー保持時② シェフィールドの守備

この試合、シェフィールドが徹底してきたことはライン間でボールを受けさせないということ。

ライン間でボールを受けさせないには

ライン間へのパスをシャットアウトする。
or
ライン間に入ってきたボールをすぐに奪い返せるようにする。

この2つが肝要。

今回シェフィールドがやってきたのはその両方である。

上図に各選手の役割をまとめた。シェフィールドは532のシステムで中盤の3枚はフラットに並ぶが、左右で少し役割が違う

まず、2CFのバーク、マクバーニーでクリステンセン、リュディガーを抑える。このとき、奪いにいくというよりも縦パスのコースを切りながら寄せていきサイドにボールを逃がさせようというのが狙い。マクバーニーはコバチッチの方をハッキリと切りながらリュディガーに寄せることが多かった。

そして、3CHの役割について。基本的にボールサイドに寄せていくと言うコンセプトなのだが、右左のフレック、ランズトラムで少し役割が違う。

アスピリクエタがボールを持ったときにはフレックがハーフレーンへのパスコース(主にマウント)を切りながら寄せていく。そして、残った2人がスライドしてチェルシーの2CHを抑える。

反対にリュディガーがボールを持ったときについて。このときリュディガーに寄せるというタスクはCFの一角、マクバーニーが担っている。そしてアスピリクエタ保持時同様にチェルシーの2CHを逆サイドのCHがスライドして抑える。このため、右のCHランズトラム少し余れるようになる。

最後にディフェンスラインについて。基本的にはマンツーマンで対応。さらに前述したように、シェフィールドの狙いはライン間のシャットアウト。このため、ハイラインand縦パスへはかなり激しく食いつくという守備。特に縦パスへの厳しさは徹底されており、ファウル数がリーグ1位というのも納得である。

こうすることでとにかく、ライン間へのボールをシャットアウトしてきたシェフィールド。試合を通じてチェルシーはかなりこの守備に手を焼いた。

チェルシー保持時③ シェフィールドが左右のCHで役割を変えた理由

前述した通り、シェフィールドは左右のCHで役割が違った。その理由についての考察をしていく。

シェフィールドの狙いは

ヴェルナー対策

シェフィールドはハイラインを敷いている。このため危険なのは裏に抜ける速さを持った選手。ヴェルナーについているRCBバシャムが対応に余裕を持てるようにしたいと言う狙い。

ボールを奪うポイントにする。

リュディガーの利き足の関係上、チェルシーの左サイドからのビルドアップが滞ると言うのは今までも発生してた問題。ランズトラムが余ることによって右サイドでの数的優位が作れる。そのためここをボール奪取ポイントにする。

この辺りが考えられる。

19:25〜
リュディガーの縦パスを受けたジルーからボールを奪ったシーン

シェフィールド保持時

この試合、ほとんどチェルシーがボールを握る展開だったが少しだけシェフィールドがボールを持つ展開もあったので書いておく。

シェフィールドはボールを持つと532の形でビルドアップをする。しかし、基本的に低い位置から丁寧に前進をすると言うことはせずに空中戦で強さを発揮することのできる2CFのバーク、マクバーニーにロングボールを当ててそのセカンドボールを拾おうという意図が見えた。

ちなみにバークを左のCFで起用したのは機動力に優れる彼が、アスピリクエタが高い位置に進出した際にその裏を突こうという狙いもあったのではないか。

対するチェルシーは3トップで3バックを羽目にいくシンプルな形。中盤はコバチッチ、ジョルジーニョがスライドして3CHを抑えるというやり方をとった。

スパーズとシェフィールドの守備の違い

この試合、チェルシー勝ち切ることができたが、シェフィールドの守備にかなり手を焼いた。2得点目のPKゲットもラッキーな部分もあった。

そこで、なぜここまで苦戦を強いられたのかについて今までの3試合と比べながら考察をして行く。

トゥヘル就任後3試合でチェルシーの強力な武器になっていたのが、ライン間でボールを受けたマウントが前を向いてチャンスメイクをするパターンだ。そして、前述した通りシェフィールドのこの試合での狙いは、とにかくライン間へのパスを封鎖しボールを外周りにさせるということ。そして、この狙いは前節のトッテナムのモウリーニョも持っていたものだと思う。

では、なぜシェフィールドの守備の方が機能していたのか…。

スパーズとシェフィールドの守備の違いは最前線の選手の振る舞いだと考えられる。

スパーズでは、最前線の2人、ヴィニシウスとソンの2人は抑えるべき選手は決まっていたが、抑えるべきコースは明確化されていなかった

ヴィニシウス→?
ソン→?

一方でシェフィールドでは、抑えるべき選手と抑えるべきコースが明確化されていたように感じられた。

マクバーニー→コバチッチ
バーク→ジョルジーニョ
フレック→右のハーフレーン
ランズトラム→左のハーフレーン

最前線の選手に抑えるべき選手と抑えるべきコースが明確化されていたかどうか。このことがチェルシーを最深部に侵入させる如何の2つのチームを分けていた。

多分、モウリーニョの考えでは中盤をマンツーマンでマークさせた分、前線の選手にディティールの部分を要求しなかったのではないか。 

とにかく、シェフィールドは人に対して出て行くにせよ、それぞれで封鎖するべきコースがあったのでそれを使ったゾーンのニュアンスを含む守備ができていた。

特にこの試合、チェルシーの強みの部分であるアスピリクエタが高い位置へ進出するビルドアップは発動回数が制限された。フレックがただ寄せるではなく、ハーフレーンの封鎖を意識していたため高い位置へ入られても決定的なパスを許さなかったのである。

そして、これによってWBも強気でぶつかりに行くことができていた。

まとめ

・チェルシーは343の形で高い位置。

・シェフィールドは532の形で守備。

・シェフィールドはブロックを組むわけではなくある程度引き込んだ位置からプレスをかける。

・チェルシーが苦しんだ理由
→前節のトッテナムと違い、シェフィールドの前線の選手は抑える選手、抑えるコースが明確化されていた。

とにかく運も味方にしつつ勝ち切ることができたのは何よりの朗報。ただ、シェフィールドのような守備をしてくる相手をどう機能的に崩せるのかは今後に残る課題の一つ。シェフィールドはなんで最下位にいるのかがわかんない。普通にいいチームだ。この前もシティー相手に好ゲームを演じてたし。ボールを持つチームに外回りのビルドアップをさせるのがうますぎる。

シェフィールドの守備の硬さ、チェルシーのビルドアップ、面白いゲームだった。

ここまで読んでくださってありがとうございました。🙏

試合結果

プレミアリーグ 第23節 2021.2.8

チェルシー×シェフィールドユナイテッド

スコア 2-1
得点者 マウント、ジョルジーニョ、OG

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