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#21時の140字(20211115-1121)

ここでは毎日21時にツイッターとインスタグラムで公開している140字小説を、一週間分まとめて紹介しています。


20211115

雨は憂鬱だ。放課後になっても学校の外へ出たくないと思うほどには。予想通り、下駄箱を抜けた先で立ち塞がる二つの人影。桜と百合。それぞれの名前を表す柄があしらわれた傘を差しながら、同じ顔を俺に向ける。「どっち」という二重音声で相合い傘の選択を迫られた俺は、無言で折り畳み傘を掲げた。

森原ヘキイ:『雨』『桜』『百合』で小説を書きましょう。頑張ってくださいね!
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/326880


20211116

「ほら、夕日まで俺を嗤ってる……」体育館裏に呼び出しての古典的な告白は、どうやら玉砕したらしい。あさっての方向に逃避している幼馴染みを現実に引き戻すため、つい墓場まで持って行くつもりだった想いを吐き出してしまった。「なら、私が付き合ってあげる」全く、どいつもこいつも見る目がない。

森原ヘキイさんは「夕日」「嗤う」「現実」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


20211117

「怪我したらどうするの」開けた扉から降ってくる黒板消しを受け止めれば、教壇の下に隠れていた生徒が這い出てきた。「これで最後だから」と、ご機嫌な様子。今日の卒業式を心待ちにしていたのは自分だけではないらしい。明日からは生徒ではなく恋人になる相手に向けて、私は笑いながら肩をすくめた。

森原ヘキイさんは「教壇」「心待ちにする」「怪我」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


20211118

遊園地のマスコットたちを遠巻きにしたまま動かない私の代わりに、強い春風に押されたエナメルバッグが飛んで行った。零れた中身を慌てて拾う自分が惨めで恥ずかしい。歪んだ視界の中、大事に持ってきていたバッジが差し出される。顔を上げた先で、大好きなマスコットの、バッジと同じ笑顔に出会えた。

森原ヘキイ:『春風』『エナメルバック』『遊園地』で小説を書きましょう。頑張ってくださいね!
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/326880


20211119

「吸血鬼はいるんだぞ」そう言って今日もトマトジュースを飲み続ける同級生は、多感な中学二年生。ほかのクラスメイトは皆、何かを察しているので、その言葉の真意について問い質したりはしない。けれど、僕だけは彼の言葉を信じている。尖った八重歯を舌でなぞってから、喉が渇いた、と小さく呟いた。

森原ヘキイさんは「赤色」「自己顕示欲」「中毒」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


20211120

魚は泣くのかな。水の中だと泣いても僕にはわかんないや。水槽に映った自分の顔に重なって泳ぐ魚を見ながら、そんな風に弟が唸る。まるで置いていかれでもしたかのような寂し気な様子がもどかしかったので、つい「水槽の水をちょっと舐めてみて。しょっぱくなかったら平気だよ」とけしかけてしまった。

森原ヘキイさんは「もどかしい」「疎外感」「涙」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


20211121

突然、赤い糸が見えるようになった。自分の小指から伸びたそれは、青く晴れた空を目指して垂直に伸びている。終わりが見えなくても、糸の先に誰かがいることははっきりとわかった。「ああ、ごめん。遅かったね。また来世で」笑顔とともに零れた言葉は、果たして空の上の運命の人に届いただろうか。

森原ヘキイさんは「赤い糸」「零れる」「晴れた空」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


今週から本格的に長編の執筆に着手し始めたので、パッションを割り振るタイプの私は必然的に140字小説に対するモチベが下がってしまい、そのせいで完成度的にはいまひとつだったかなと反省してるんですが、それでも「よかった!」と言っていただけたので本当に励みになりました!ありがとうございます!

最初は不安だった「1日1作140字小説」も、気が付けば三週間続いています。数少ない自分の経験則的に、何かを始めて成果が出始めるようになるまでは最低でも60日はかかると思っていますので、少なくともあと40日は毎日頑張って続けます!そのころには習慣化してハミガキ並みに当たり前に140字小説が書けるようになっていますように!!!!

そしてそして!お友達の露葉さんも一緒に140字小説を始めてくださいましたー!めちゃくちゃ励みになるし、めちゃくちゃ勉強になって本当にありがたいです!皆さんもぜひぜひ!始めたら教えてください、飛んでいきます!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 この記事があなたの何かのきっかけになれば本当にうれしいです。 ツイッターやブログにもいますので、そちらでもお会いできますように。