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#21時の140字(20211108-1114)

ここでは毎日21時にツイッターとインスタグラムで公開している140字小説を、一週間分まとめて紹介しています。


20211108

例え我が子が夜空に向かって鋏をかざしている姿を見ても、父親の俺だけは狼狽えない。「何してるんだ?」「おひめさまをたすけるの」見上げた先には、燦然と輝くアンドロメダ。哀れな王女を縛る鎖を断ち切るために鋏を振るうペルセウスを誇らしく思いながら「きっともう大丈夫」と、小さな頭を撫でた。

森原ヘキイさんは「夜」「浮かぶ」「鋏」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


20211109

「私もせめてあれくらいジャンプできたらな」部活が休みの日に訪れた水族館でも彼女のバレー馬鹿は健在だ。イルカショーを眺めながら、厚底ブーツの踵を鳴らしている。「私はあんたがリベロだから安心してアタッカーやってるんだけど」と言えば、ハリセンボンのように膨らんでいた頬が一瞬で萎んだ。

森原ヘキイ:『ブーツ』『バレー』『水族館』で小説を書きましょう。頑張ってくださいね!
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/326880


20211110

ずっと暑い夏の日。真っ白な砂浜を歩いていると、現地の子ども達に呼び止められた。「これ何?」と、拾った漂流物を手渡してくる。「懐かしいな、こけしだ。日本の人形」「ニホン?」不思議そうに首を傾げる彼らに、教科書通りの説明をする。「この異常気象で、ずっと昔に海に沈んだ東の国のことで――」

森原ヘキイへの3つのお題。 【夏/海の向こう/はんなり】
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/182443


20211111

座席に座って本を読む横顔を、私は今日も同じ車両で盗み見る。クラスメイトなのに、いつも話しかける勇気がない。最寄り駅に着くと、彼は俯く私の横を通って電車を降りた。何気なく座席を見れば、夕日に照らされた文庫本。閉まったドア越しに目が合った彼の口が、あしたわたして、と笑いの形に動いた。

森原ヘキイさんは「橙色」「電車」「文庫本」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


20211112

南の島から届いた貝殻を耳に当てれば、聞こえてくるのは波の音。同じ南の島行きのパスポートを眺めながら、何度目かのため息をつく。ふと、着信音が鳴り響いた。貝殻の代わりに受話器を耳に当てれば、聞こえてくるのは男性の嗚咽。「もう!わかったから泣かないで、パパ!夏休みにはそっちに行くわ!」

森原ヘキイさんは「嗚咽」「貝殻」「パスポート」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


20211113

「塩かける人?」「かけない奴は今すぐ出てけ」ノートを取りに来ただけの男が、なぜか俺の部屋に居座ってスイカまで食べている。麦茶のグラスは既に大量の汗をかいていた。まだいるもん、と真夏のベランダへ飛び出すふざけた背中を睨みながら赤い果実に歯を立てる。塩のかけすぎか、ひどく甘く感じた。

森原ヘキイさんは『麦茶ノート塩瓶の3つのお題で作文を書いてみてください
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/148000


20211114

アリス、アリス。それは青いエプロンドレスの金髪美少女の名前であって、ブレザーの黒髪女子高生ではないはずだ。人違いをしているとは夢にも思わないまま、帽子屋のお茶会は続く。本物のアリスを探し出すまで、この悪夢は終わらない。紅茶を飲み干して立ち上がったら、さあ、追いかけっこの始まりだ。

森原ヘキイさんは「紅茶」「悪夢」「黒髪」を使ってなにかお話を作ってください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/264399


個人的には10日のコレを最後まで読んでからまた最初に戻っていただくと新しい発見をしてもらえるかなと思ってちょっと気に入ってたりします。


最近はサボりがちでストックがそろそろ底を尽きそうなので、また気合い入れ直して頑張ります!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 この記事があなたの何かのきっかけになれば本当にうれしいです。 ツイッターやブログにもいますので、そちらでもお会いできますように。