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ベーシックインカムは失敗した(「2121 ~100年後の未来~」 第4話)
100年前…
2020年前後。世界中で貧富の差が拡大しつつあった時代。「ベーシックインカム」という考え方が広がっていました。
ベーシックインカムというのは、「最低限の収入を保障するため、国が一定の金額を国民全員に配る」というやり方です。
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実際に世界中のいろいろな国で実験も行われました。数百人とか数千人という単位で、国民にお金を配って試してみたのです。
けれども、結局うまくはいきませんでした。
当初の目論見では、「最低限の生活費だけ渡しておけば、人々は足りない分を働いて稼ぐだろう」「余った資金で有意義なコトを始めるはず」と見られていました。
ところが、働かない人は何をやっても働かないのです。
確かに、元々失業していた人にお金を渡すと、失業率は改善しました。ただし、わずか3%程度に過ぎませんでした。100人の働く気のない失業者がいたら、97人は働かないままなのです。
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元々働いていた人たちに最低限の生活費を渡すと、今度は貯金してしまうんです。人々は有意義に使うコトができませんでした。
もちろん、わずかながら「もらったお金を元手に会社をおこす」とか「ゆとりのできた時間で勉強して新しい資格を取る」とか「芸術家として創作に使う」といった人たちも現われました。
けれども、そんな人たちは全体からすると微々たる数に過ぎません。
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多くの人たちはギャンブルに使ってお金を増やそうとする(結果的に失う場合がほとんど)か、目の前の快楽に使うか、貯蓄に回してしまいました。特に貯蓄の割合は高く、7割近くに達します。
「これだったら、お金を配らずに税金を減らす方がマシよね」というコトになってしまったのです。
そこでベーシックインカムはやめにして、現物支給が始まりました。希望者全員に食料を配布するのです。さらに、住む所がない人に住居の提供も始まりました。
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今度はうまくいきました。相変わらず働かない人は何をしても働きませんでしたが、配布する食料を生産するのにも労働者が必要です。そこから新たな雇用が生まれました。
日本中の空き家を国が買い上げて、住む所がない人が住めるようにしました。おかげで一都市集中型のスタイルが崩れて、田舎の人口も増えていきます。
このシステムが発展していき、今や政府の発行したカード1枚持っているだけで、日本中のいたる所で「無料で食事ができるようになった」のです。
noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。