子供たちはグレムリン
子供ってのはかわいいものですよ。ギズモみたいに。
けど、ちゃ~んとルールを守らないと、凶暴なグレムリンへと変貌してしまうのです。
この頃、青年は児童館にボランティアとしてよく遊びに行っていました。児童館では、小学生を中心に小さな子供たちが走り回って遊んでいます。最初はかわいいものだったんですね~
青年の所属するボランティア団体は、しばらく活動する内に職員さんの信用を得るようになっていきます。鍵を渡されて、休みの日も児童館で活動できるようになりました。
そこで、2週間に1度程度、職員さん抜きで子供たちの遊び相手をするようになります。
ところが、これが結構大変なんですよ。なにしろ、わずか数人のボランティアで十数人(時には20人以上)の子供たちを相手にするわけですから。さらに、中には危険な遊びをする子も出てきます。
たとえば、床の上に分厚いクッション性のマットを敷いて、ロッカー(高さ1メートルくらい)の上によじ登り、クッション目がけて本気でジャンプするんです。それも空中で1回転したり、背面ジャンプで!
見事クッションの上に着地できればいいんですけど、わずかでもズレれば、固い床の上にダ~イビング!大ケガすること間違いなし!
1人がやり始めると、みんなマネして後に続きます。ロッカーの前に列を成し、次から次へとマット目がけて危険な技を繰り出していくのでした。
「さすがに、これは危ないな…」と思って、やめさせようとするのですが、子供はなかなか言うコトを聞いてくれません。
チャラララ~ン♪チャラララ~ン♪
そんな時、頭の中で映画「グレムリン」のテーマソングが鳴り始めます。
子供っていっても、いろいろいるんですよ。
ストライプ(グレムリンの中でも特に凶暴なヤツ)みたいなのもいます。みんなに均等にお菓子を配ってるのに、1人だけガジガジいっぱい食べちゃう子とか。
そもそも、お菓子を配り始めたのがよくなかったとも言えます。1度エサを与えてしまうと、グレムリンどもは味をしめてしまうのですから。
「あそこの児童館に遊びに行ったら、無料(ただ)でお菓子くれるらしいぞ!」って噂になって、「もっとくれ!もっとくれ!」ってウジャウジャやって来るようになるんです。近隣の子供たちを呼び寄せて!まるでドラクエのマドハンド状態!
男の子たちは仲間を呼んだ。新しい男の子たちの集団が現れた。
子供たちは、お菓子を欲しがっている。
勇者は、お菓子をばらまいた。
子供たちは、お菓子に群がっている。
…みたいな感じですよ。
チャラララ~ン♪チャラララ~ン♪
再び頭の中でグレムリンのテーマが流れ始めます。
「ここも1つの魔界だな…」と、青年は思いました。
でも、ああいうとこから、優秀な人材が輩出されるとも言えるのです。たとえば、卓球とか。
児童館には卓球台が置いてあって、子供たちは毎日毎日何時間でも暇さえあれば卓球やってるんです。サルみたいに!
すると、どうなるかっていうと…
必然的に上手くなるんですよ!それも、尋常じゃないレベルで!最初ヘタクソだった子が、2~3ヶ月後にはムチャクチャに上達してるんです。目にも止まらぬ速さで球を打ち返してラリーの応酬やってるんです!もはや、フツーの大人じゃ到底勝てません!
もしかしたら、あの児童館から卓球の日本代表選手が生まれてるかもしれませんね~
noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。