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【小説】光の方へ【Peace】

「・・・客さん・・・お客さん!」

どこからか声が聞こえる。いや、俺に話しかけているのか。

「お客さん、”終点”です。」

察した。やっちまったと。

また、やっちまったと。

俺は、はぁ~いとダルそうに言った。

昔はこんな事なかったのに、最近じゃこれが”当たり前”になっている。

はぁ~・・・困った。どうすっかな・・・。

まあ、こうなってしまったのも、俺が悪いんだ・・・。


この日は無性に”お酒”が飲みたくなってね。

思い切って、都内に行ったんだった。

俺は都内から離れた場所に住んでいる。

電車だと、30分もあれば都内に着く。

だが、やっちまった。


いつもは地元だったり、仲間と飲んだりしていたが、

最近じゃ、もうそんなのない。

だから、ある意味”1人”ってわけよ。

つまり、好きなとこで自由に飲んだりできる。

あの時がなつかしい・・・。

寂しいと感じる事もあるが、

意外と”1人”でお酒を飲むのも楽しかったりする。

”誰か”に気を遣う必要もない、自分のペースで飲んだり、

違うとこ行きたくなったらいける。帰る事も出来る。

そんな”自由”もあって、楽しい面もあるんだ。


それで今日は思い切り飲もうと思ったんだった。

"色々あってね"・・・飲みたくて仕方なかった。

都内で飲むのはこれが初めてではない。

今までも何回かあった。だから知っている店もある。

今日は知ってる店全部回ろう。そう決めた。

地元にない店もあるから、こういう時行かないとな。


1軒目、2軒目、3軒目・・・と気付いたら5軒目になってた。

お酒がうまい。料理がうまい。楽しくて仕方がない。

だけど、やっぱ”何か”足りないな。

楽しいけど、”何か”足りないな。

そう思いながら、俺はこの瞬間を楽しんでいた。


5軒目に行った時には、千鳥足の手前くらいまでになっていた。

視界もちょっと、暗かったかもしれない。

んで、時計をふと見たら、”終電”の15分前で慌てた。

ヤバイ、と思って急いで駅に行ったのは覚えている。

ああ・・・そこからあまり思い出せない。


そんな事を思い出しながら、歩いて外に出た。

さむい、というか”ここはどこだ?”

ちなみに、似たような”出来事”は何回かある。

だが、今日はなんだか景色が違う。


俺は思った、”夢なら覚めてほしい”と。

ここはどこなんだ?

なぜ、こうなったんだ?


多分、どこかで間違えたのだろう。

その結果、こんな状況になった。

なら、俺が悪いな。

飲み過ぎて、わけ分からなくなってたんだな。


それに、今日は”1人”だったな。

今までは”誰か”と飲んでいて、何かあったら助けてくれてたっけ・・・。

はぁ・・・そう思うと、俺もしっかりしないとなって思う。

こんな状況も、何かの間違えだったらいいのにな。


確かに”1人”で飲むのも楽しい面もある。

だが、反対に嫌な面もあるんだな。

こういう時、手を貸してくれる人もいない。

一緒に酒を飲んで、楽しく話す相手もいない。

何か物足りないのは、こういう事だったんだな。


だが、こうなってしまったのも、俺が悪い。

いや、世間が悪い。でもそのせいにしたくない・・・。

なんでこうなったかも分からん。

俺は暗闇で一人、そんな事を考えていた。


考えても仕方ないっか。

・・・さてと、ここは”終点”、何もなさそうだな。

人もいないし、どこだか分からない。

店も全部閉まっているのか、”光”がない。


にしても、暗すぎる。不気味だぜ全く・・・。おまけに寒い。

まあ、ここではこれが普通なのかもな。

仕方ねぇ・・・ここで”夜明け”を"待つ"か、街中まで"歩く"か。

どちらにしても、”光”が来る事は間違いないな。

”酒飲み過ぎた”のは俺が悪いし、”受け入れる”しかねぇか。

ちょっと休憩してから動き出そう。何かあんだろう。


それで、俺は暗闇の中にある小さな”光”を見つけた。

自動販売機だ。

そこで”あったかい物”を買った。

ツイてるね~・・・。

そう思いながら飲み干した。

そして、俺は動き出した。





編集後記

読んでくれてありがとうございます(__)
小説というか、こういうのは初めて書いたと思います。

思いついた事を書いただけですが、楽しんで頂けたでしょうか。もし読んでくれた人がいたら、嬉しく思います。

ありがとうございます。

Peace(ピース)


#ほろ酔い文学

2021/11/20 Peace
※このnoteの記事は、全て"Peace"が作成したものです。
記事の構成・意見や考え等も"Peace"の一存です。
※無断転載・悪用禁止

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