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果たせなかった約束

西陵学園 3年 生徒会長の柏田優一
俺は 体格が良く ボクシング部だから
歯向かう奴が居なかった
唯一 苦手なのは 生徒会副会長の
吉澤優里と ボクシング部の部長 井上泰生

3年になり、生徒会長に立候補したら
普段から バカばかりやって人気が有った為
ずば抜けた投票率で会長になった が!
何を して良いのやら チンプンカンプン……
生徒会の殆どを副会長が テキパキと進めた

ボクシング部じゃ 2年生を相手に 嫌と
言う程 スパーリングをする
多分 嫌われてるだろう  
だがな、部長は甘すぎるんだよ!
階級は違うが 皆に もっと上手く
強くなって欲しかった ボクシングとは
殴り合いだと 今一度 身体で 覚え
悔しいと思うなら 強く なって欲しかった!

部長とは 2年の時  先輩から 次の
部長選考で 階級は違うが 本気で
スパーリングをやった ライト級の部長に対して
俺はクラスが上のウェルター級
勝てる自信があったが
足さばきが上手い! 当たれば 1発で倒せるのに
当たらない コイツ こんなに上手かったのか?
ダウンは取れず ポイントで負けた

それ以来 奴には 逆らわないが
下級生には甘い! 
だから俺なりに 嫌な役でも シゴいた
大切な 後輩達だから
今年も、新入部員が入部する季節
楽しみで仕方がない!

ただ…………ボクシングばかりでは
副会長に怒られる マジかよ この俺が
女子に 謝るなんて  部員には見せられねえ
情けない姿を  
最初は 怖がって 何も言わなかった吉澤
慣れたら、まぁ怖い 
柏田さんと呼ばれていたのが
いつの間にか下の名前で 優一!!!
と呼ばれ 毎回 怒られる

こちとら部活もあるし 生徒会との両立は
正直 キツイ!  だから、吉澤に 
会長 変わらねえか?と言ったら
まぁーた怒られた! 皆が選んだのは
柏田優一でしょ  何バカな事言ってるのよ
選ばれたからには、しっかり生徒会長を
やって頂戴! 貴方の責任なのよ
部活も大変でしょう 解るけどさ
私が やれる事は 頑張るから と

さて 待に待った新入部員
今年は11人か 
楽しみだね〜! 活気あるボクシング部
皆をシゴいて 強くしてやる
もうワクワクが止まらないぜ

ん 何だ此奴 名指しで自分から
スパーリングを申し出て来たぞ
初めてだな! きっとジムにでも通って
相当な腕に自信が有るのだろう
そんな奴を 倒すのも楽しみなんだ
どれ程 練習して来たのか 見てやるよ

アカン 上手い! いや、上手すぎるぞ
なんや この1年生は 楽しすぎるじゃねーの
待ってたよ!部長以来だ こんなに俺が
勝て無いのは  楽しいね〜コレこそ
ボクシングだろ 毎日スパーリングしてやる
勝ち負けじゃ無く 俺をもっと高みへと
此奴が居ると 強くなれるぜ!

生意気な1年坊主とも打ち解け
毎日が楽し過ぎる が!
生徒会室へ入ると 優里に怒られてばかり
あれ?そう言えば 何時からだろう
副会長の吉澤を 下の名前で呼ぶ様になったの
ボクシング一筋 恋愛なんて した事も
考えた事も無かった
いつの間にか 副会長の吉澤優里が
俺の中で 存在が 大きくなって

気が付けば俺も、副会長も
優一と優里  優つながり
優一と毎回呼ばれていたのが
優ちゃんに変わって 部活の帰りは
一緒の時間も増え 部員達とも一緒に
優里とファミレスや ファストフードに
行く様になり

部員達の前で 優里に生徒会の事で怒られては
皆が笑う 恥ずかしいやら 面白いやら
優里の お陰で 下級生からも 意外な一面で
慕われる様になり 優里が余計な事を言うから
スパーリングで何を伝えたかったのか等
顔が真っ赤だっただろう!

皆と別れると優里を送って行く
もう日課になって 
帰り道 優里から 言われた一言
ねぇ優ちゃん ボクシング楽しい?
痛い思いしてまで 殴り合って
私には実感が湧かないの

帰り道の途中 小さな公園 優里に言われた
俺にとってボクシングは健全なスポーツだ
身体を張った 拳での殴り合い
あくまでもスポーツなんだ  ボールや何かを
使う他の競技と変わりなく スポーツなんだ
ただな、殴り合うから こそ解り合える
特別なスポーツなんだよな!

少しだけ 伝わった様だった
納得した表情で  ブランコに座り
ねぇ優ちゃん!あの1年生の子 好きでしょ
いつも話し方や、雰囲気が あの子にだけ
違うって 気付いてた? 
あぁ、奴はすげぇよ 俺より強い
何度スパーリングしても勝てない!
もう出来の良い弟の様な存在さ

優里は笑っていた 
優ちゃん やっぱり あの1年生の子の
話しになると 凄く楽しそう 少しだけ
解るけど 妬けちゃうな ………
ブランコから立ち上がり
優里が正面に来た  眼鏡を外し
背伸びしたと思ったら 初めてのチュウ!

翌日から 生徒会室へ入るの躊躇しちまう
いや、別にチュウと躊躇を掛け合わした訳じゃ
ねぇ! 
マトモに優里の顔 見れるのか俺は
何でアイツからなんだよ! 普通は男子からじゃ
ねぇのかよ  恥ずかしいなぁ〜

意外と優里は いつも通りだった………
あれ?女子とは そんなもん なのか?
ウチの部員達の方が 子供じみてるんだな!
もっと気合い入れて 国体予選に向け
頑張らなきゃな! 
そうだよな 国体を控えてるんだよな
俺は大丈夫かな 優里の事とボクシング
昨年は予選通過して インターハイ2位だったし
部長に負けず 優勝してぇな〜

国体予選に向けて練習もきびしくなり
2年、1年の生意気な奴らを 何とか
予選通過に導きたい
部長と監督だけじゃ足りないから
俺が 自分の技量で 教えれる事は
全て教えてやる! どうせ3年生の俺達は
これが最後の国体 掴むぜ優勝を

部活の帰りは 毎日 皆で集まり
反省会と改善点 雑談で盛り上がる
本当に最高の高校生活だ!
勿論 生徒会副会長の優里も同席だ
ボクシングの有名校だから
優里 意外の生徒会の奴らも一緒だ

解散後は お決まりのコース
優里とは方角が同じだからって理由で
いつも通り 公園を抜けて帰る
あの初チュウから 2週間 何も無い
国体予選前 リングに上がる勢いで
優里に話し掛けた
俺はボクシングばかりだった
あの日 優里からKissされて初めて解った
俺は 優里 お前が好きだ! 
もし俺が予選を通過したら
きちんと俺と付き合って欲しい

優里は恥ずかしそうに 微笑みながら
頷いた 周りには誰も居ない!
思わず優里を抱き締め 今度は俺から……
上手く出来ず歯が当たり 少し焦った
マウスピースが必要だな!そう言うと
優里は爆笑しながら涙で濡れた顔を
隠していた

国体予選  昨年の事を思い出す
リングに上がれば ドキドキとワクワク
緊張と アドレナリン グチャグチャな世界
一回戦 通過 応援に来ている優里の喜ぶ顔
二回戦 三回戦 気が付けば決勝のリング
この一戦は 俺には大切な試合だら!
勝って 優里と 堂々と付き合うんだ

倒す事は出来ず ポイント判定に なった
待つ時間が 果てしなく感じる
選手のポイントが読み上げられて行くが
全然 解らない それ程には緊張していた
レフリーが俺の腕を掴み 挙げた
国体予選通過 今年もインターハイ出場が
決まった瞬間だった

皆の試合後 部室に戻り 通過した連中は
監督と顧問から 激励が
負けた奴には 次の試合に向けての
細かなアドバイスと 戦略を
部室には 喜びと悲しみが入り乱れ
負けた3年生には お疲れ様でしたと
2年生には またシゴいてやるから
来年は勝て  いや、勝てる様に皆で応援するから

部室を後に 疲労した身体で 皆帰宅して行く
俺は優里と一緒に 帰宅した
いつもの公園  優里から試合の感想と
良く頑張ったね優ちゃん! 凄かったよ
と 言われた後 優ちゃん 生徒会長と副会長だけど
私で良かったら お付き合い お願いします と
街灯の下 少し腫れた顔の俺に 優しくKissを
一度離れて また優しいKissをされて
優ちゃん マウスピースは要らないね!と

翌日から 部員の皆にも報告した
歓迎のスパーリングと おめでとう の言葉
やっぱり此奴らは最高だぜ
こんな祝い方ないだろうな
インターハイに向け 練習に励みながら
優里と沢山の約束を交わした

インターハイで もし!優勝したら もしだぞ
進学しても 大学を卒業したら 仕事して
頑張るから 俺と 一緒に暮らさないか
海に行こう! 映画を観に行こう流行りの店にも
なぁ優里 俺で良かったのか?なぁ優里
もし、俺がプロボクサーの道を選んだら?
どんな約束にも頷き プロボクサーの事は
少し悩んだが
優ちゃんが選んだら道なら
私は全力で 付いて行くよ と言ってくれた
幸せ者だな俺は

インターハイ当日 普段より早く家を出て
優里を迎えに行き 校庭からバスで行くから
近道しよう と
優里と 今後の話しを しながら
生徒会や、二人の事 やりたい事や 色々と
そこへ イキナリ サッカーボールが横から
危ねーな! 誰だよ朝から
次の瞬間 小学生が ボールを追いかけて
車道へ …………

周りが騒がしい 優里が俺に何度も話し掛けてる
サイレンのピーポーパーポーが混ざりながら
あれ?俺 どうしたんだっけ 
優里の泣き声がスグ傍で聞こえている
身体が動かない  かろうじて優里の手を
握れた 沢山の涙が落ちてくる …………
そうか 俺 小学生がトラックに 
思わず 瞬足のステップで 走り 突き飛ばし
そうか 俺は

優里の手を握り チカラを振り絞り
あのガキは無事か?
ごめんな  皆に伝えてくれよ
俺の事を考えずに 試合に集中しろと
頑張って 何があっても立て 負けるな と
救急車の中 心電図の音が ピーと鳴った
俺は 10カウト以内に立てなかった
優里の手の温もりと 涙の温かさ
何1つ 守れなかった約束 ………すまない。

                 ボクシング部 第二弾

                 皆様😭こんばんは🌟
               自分で綴りながら涙目に
              切ない約束 青春の1ページ

では良き夜を😌🍀

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