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エッセイ ぜんぶ逆光(もしくは、街のはなし)

 ヒーローが自分の住んでいる街に来るといいと思っていた。
 怪獣でもいい。
 校舎を尻尾でなぐりつけて、一声吠えて、電波塔がゆれる。通学路を自転車でかけながら、私は大声をあげる。

 恋物語なんかもいい。いつもの散歩道で、男女がなにやら囁き合っている。夕日が沈む。遠くで、こっそり、邪魔をしないように眺める。

 翻訳ものが好きだったせいで、物語が起こるのはいつも外国だった。たまに日本のものを読んだとしても大抵東京、よくて大阪、京都あたり。自分の住んでいる田舎町にはやってきてくれそうになかった。きっとこれからもないだろう。

 自分の住んでいる街の物語を書いてみたいとずっと思っていた。残念ながら、これから有名になって、「ここの土地のお話を書いてくださいよう……」と頼まれることなんて、ありそうにない。夢のまた夢だ。

 だから、今、書いてしまおうと思う。

 住んでいる場所はちょっと都合が悪いので、私が一番知っている『都会』と言える場所、名古屋にした。

 なにしろ自分が勝手にやっているnoteだ。手間もかけ放題。

 サムネに、現地の写真を使うことにした。住んでいるわけではないので、これがものすごく大変だった。結局、写真を撮りに行けた時間のほとんどは早朝か夜だった。残念ながら、被写体は全部逆光になってしまっている。

 それでも、小さいころからの夢だ。叶えられるなんてそうない。若干見苦しいが、使ってしまおうと思う。なんだったら、次また街の話を書く時に上手に撮ったらいい。

 というわけで
 来月、平日は名古屋を舞台にした連作ショートショートを書く予定です。
 今まで書いてきた連作は、それぞれにテーマがありまして、去年のハロウィンにやったパンプキングは「家族のはなし」、クリスマスの泣き虫ジンジャーマンは「勇気のはなし」。そして今回のテーマは「街のはなし」。写真をとりにいくのが大変すぎて、じつはサムネイルのデザインも、完成プロットもできておりません。見切り発車ですが、楽しんでいただけたら幸いです。

 Hello world! 名古屋の街を駆け巡るSFコメディ「スーパーバグメーカー」、8月1日から、もしかしたらタイトルすらかわっちゃってるかもしれないけど、始動いたします!

エッセイ No.10


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