米国株市場の4つのポジティブな話題

マネックス証券 ハッチ(岡元兵八郎)

S&P500は6月17日に今年の最安値をつけたわけですが、その後上昇に転じ、先週末までに6.11%上げ、ナスダック100についても7.63%上昇と、このところのマーケットは堅調に推移しています。

まだマーケットについては悲観的な環境ではあるものの、4つほどマーケットにとってポジティブな話題を紹介したいと思います。

まず最初ですが、主要半導体銘柄で構成されているフィラデルフィア半導体指数は、消費者支出の鈍化に対する懸念などの理由により今年に入り年初から7月1日までの間にほぼ4割下落していました。それが先週7月7日に発表された韓国サムスン電子が、事前予想を上回る第2四半期の売上高(暫定値)を発表したことを受けAMD(AMD)やアプライドマテリアル(AMAT)など半導体関連銘柄が大きく反発するといった展開となり、ナスダック上昇のサポート要因となっています。

もちろん、今週は水曜日に6月のCPIも発表されますし、まだまだ予断を許さない状況ではあるのですが、原油価格やコモディティ価格の下げを見ますと、近いうちにインフレもピークをつけるのではないのでは無いかと思いっています。

二つ目のポジティブな話は、米国企業の増配についてです。
S&Pグローバル・ダウ・ジョーンズ・インディシーズによると、2022年のS&P500の配当金は前年比で10%を超えるペースで増配が行われ、今年は配当金で見ると記録的な年になるだろうとのことです。そうするとS&P500は11年連続増配となる見込みです。
10%を超える増配ということであれば、これは米国のインフレを超えるペースでの増配ですから、S&P500に投資をすることはインフレヘッジになると言えるのではないかと思います。

三つ目のポジティブな話です。
企業のインサイダー(社内関係者)の株式の買いが活発になっているというニュースがあります。
今年の5月には1,316の企業のインサイダーによる自社株買いがあり、その額は合計で10億ドル(約 1,360億円)相当となっており、これは2020年3月来の高いレベルとなっています。
事業を行なっている当事者が自分の会社に自信を持っているということは投資家としてもポジティブに捉えて良いのではないかと思います。

そして、四つ目のポジティブな話です。
米国市場では来週から第2四半期の決算発表が本格化します。
来週7月11日の週にはS&P500採用企業のうち18社が、7月18日の週には75社が、そして7月25日には185社が決算発表を行う予定です。

現時点のS&P500の第2四半期の企業業績については、前年比4%の増益予想となっています。今回の決算発表については、ドル高、コモディティ価格の上昇、サプライチェーンの混乱などが利益率を圧縮、また、在庫も増えるなどを受け業績の下方修正が起きており見通しは必ずしも明るくありません。そんな中、このような状況がマーケットにポジティブに動く可能性があるという明るいデータがあり、ご紹介したいと思います。


今回の業績予想については過去4週間で17.7%の下方修正があったのですが、調査会社ビスポークによると、決算発表前の4週間の間にS&P500の業績の下方修正が起きた場合、事前に上方修正が起きた場合より株価は上昇する傾向があるというのです。
2009年からこれまでで過去37回業績の下方修正が起きた場合、S&P500はその後6週間で1.65%(中央値は2.58%)上昇してきました。この間S&P500がプラスになる確率は79%です。
一方、決算発表までに上昇修正が起きた15回においては、その後のリターンは0.33%(中央値は0.88%)の上げとなっており、プラスになる確率は60%となっています。
これは、業績の下方修正があると決算発表に対する投資家の期待感が下がり、実際の決算発表までに株価は下がる傾向にありますが、その間株は悪い決算発表を折り込見に向かうのでしょう。
勿論今回必ずしもそうなるということでは無いものの、非常に興味深いデータでは無いかと思います。

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