米国中間選挙の年の7月にS&P500が上がると、8月9月も上昇する可能性が高くなるというアノマリー

マネックス証券 ハッチ(岡元兵八郎)

先週の前半にはペロシ米下院議長の台湾訪問により、米中間の緊張が高まり、株価を下げる要因になりましたが、株価への影響としては一時的なものとなりました。
金曜日に発表された雇用統計はコンセンサス予想の25万人を大きく上回り52.8万人となりました。労働市場が予想よりしっかりしていたことを受け、積極的な金融引き締めが続くとの見方も高まり米国債10年利回りが上昇しました。これを受け、各種株価指数は寄り付きから安く始まりましたが、引けまでには下げを取り戻し1日を終えました。
最終的に先週のS&P500は0.36%上昇し、3週続伸となりました。6月17日の安値から12.8%上げていることになります。ナスダック100は3週連続で上げ、2.01%上昇、6月16日の安値から見ると18.7%回復しています。

第2四半期の業績発表については、S&P500指数採用銘柄のうち86%の企業が決算発表を終えています。発表前(6月25日現在)の業績予想は前年同期比4.3%の増益予想でしたが、先週末の段階では7.57%の増益へと上方修正されています。
これまでのところ発表済み企業うち69%の企業が事前予想を上回っています。これは過去四期では79%の企業が事前予想を上回っていたことを考えると少しがっかりと言ったところなのですが、今回の決算発表に対する投資家の期待感が余りにも低かったことを考えると決して悪くないと判断できるのではないかと思います。


今後の見通しについては、第3四半期はこれまでの前年同期比で10.3%の増益予想から、5.41%の増益予想へと下方修正が起きました。その後第4四半期についてもこれまでの10.8%が6.7%へと下方修正されています。このような下方修正についても、今回の決算発表後の株価に折り込まれてきていると考えられます。


昨年のマーケットをサポートしていた要因の一つとして、自社株買いがあります。今年に入りS&P500採用企業は年初から5,410億ドルの自社株買いの計画を発表していますが、これは昨年の自社株買いのペースを上回る勢いとなっています。
決算発表の前にはブラックアウト・ピリオドと呼ばれる自社株買いを行うことができない期間がありますが、決算発表後には自社株買いが再開されますので、自社株買いはマーケットの下支えとなってくれることでしょう。

これは今年に入って何度かお見せしている中間選挙の年のS&P500の毎月のパフォーマンスと、その月がプラスになった確率を示すものです。この統計によると、この年のS&P500の8月のリターンは平均で-0.2%、プラスになる確率は65.2%となっています。翌月9月については、平均で1.14%の下げで、プラスになる確率はというと47.8%と50%を下回っています。
これが1930年からこれまでの長い期間のデータなのですが、今年の7月の1ヶ月はS&P500はプラスの月となりました。
実は中間選挙の年の7月にS&P500が上昇すると、その後の2ヶ月のパフォーマンスがこのパターンから変わってくるというデータがあるのです。7月がプラスで終わると、その年の8月がプラスになる確率は77%となり、平均で 1%の上昇(中央値で1.53%の上げ)、9月がプラスになる確率は69%となり、平均では1.28%上昇(中央値で2.46%の上げ)となるのです。

また、中間選挙の年の半年間のS&P500のリターンを見てみますと、6月以降S&P500を半年間保有した場合のリターンは徐々に高まってくるという季節性が見受けられます。

これまでのところの米国株の上げは急ピッチなところもあり、目先の一時的な調整は必要かと思うものの、このようなデータを参考にすると、ここから年末に向けての米国株は上昇を継続すると考えて良いのではないかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?