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アフリカ事件簿 #29 ~向き合えば向き合うほどじぶんの鏡②~

このnoteは、下記のマガジンで不定期連載中です。

これまでアフリカで出会った
奇想天外な出来事たちを紹介してきたが、
最後に

「こんなに『え?』とか『は?』とか思った
 アフリカでの出来事が、
 実はわたしの鏡かも・・・!?」

と思った出来事について紹介したいと思う。

②人生を諦めきって見える人たちと過ごして


アフリカのボツワナという国の
さらにそのまた辺境の村で、
養蜂や野菜・果樹栽培の
研修をしたときのことである。 


ぶっちゃけ・・・
村の人たちが嫌いだった。(爆)

 
わたしの仕事では、
ボツワナと日本の間で
国と国との取り決めとして
「技術協力プロジェクト」としての目的があり、
その一環で、村での研修をやっている。
 
ボランティアではないし、当然予算もある。
限られた予算の中で精一杯 、
村の人にも資する活動をしよう!と色々やってきたつもりだった。


 けれど、村の人は

「これがほしい」
「あれがほしい」
「これも足りない」
「あれも足りない」

ばかりで、
(民族や歴史的な背景もあるので
 一概には言えないのですが)

「なんで自分たちでもっと
 頑張らないんだろう」

「こっちはこんなに頑張ってるのに
 なんで文句しか言われないんだろう」

「わたし、何のためにやってるんだろう」

 と、どこかで思ってしまう自分がいた。 

歪んだ見方をすれば、村の人からしたら
「自立」なんてしない方がいいのだ。
「自立」してしまったら
「解決すべき問題」はなくなって、
「援助」してもらえなくなるから。

ずっと、
「これが足りない」
「あれが足りない」
と言っていられるうちは、
少なくとも自分たちでリスクをとらずに
(とまでは言わずとも労力をかけずに)、
手を差し伸べてもらえる。 

むしろ、わたしたちみたいな
ドナー(※援助供与国。この言い方も嫌いw)
がいるから、いつまでたっても
この村は変わらないんじゃないか。
自ら変わる芽を摘んでしまって
いるんじゃないか。

たぶん、この仕事にかかわる人の
あるあるな葛藤ではないか、と思う。

もれなくわたしも、
そんな風に悶々としながら
村での研修準備を進めてきた。

 
研修準備中のある日のこと。
わたしたちの使っている
プロジェクト用の車両が
水汲みのおつかいに行ってしまって

パソコンの入ったリュック1つとわたし

の状態で村の畑にぽつん、と
佇むことになったことがあった。

どこに行くにも遠いし
動くには暑いし
(※7月は冬だが、日中は暑かった)

何もないし
空は青いし 


あーーー
これは、何もやる気起きないかも。


と思った。
(必殺、手のひら返し。w)


 「なんで頑張らないんだろう」
と思うこと自体が、
全然相手の立場に立てていなかった
ことに気づいた瞬間。

 わたしがこの村で生まれ育ったら
きっと本気で
「これが足りない」
「あれが足りない」
「周りの奴らはずるい」
「もっと支援されるべき」

と、怒り狂っていそうな気がする。

 
その点、ボツワナ人のスタッフは
現地のことが、村のことが、
よくわかっていて

わたしが悩んでいたり怒っていたり泣いていたりすると
「一歩ずつでいい」
「進んでいる」
「焦るな、みほ」
と、よく声をかけてくれていた。

 「国際協力」の正解も「援助」の正解も
長い目で見ても短い目で見てもわからないまま、
「今ここ」を向き合うことしか
わたしにはできそうにない。

「同じ立場に」なんてどうやって?

いつだって
「今の自分の立場」で
最善を尽くしていくしかないし、
むしろ、「今の自分の立場」で
できることがある。


そして・・・
やっぱり、やっぱり、
こうは言いたくないけれど、
日本人ってそれだけで
恵まれている。

どんな環境で
どんな大変な思いをしていても、
ボツワナのあの辺境の村の人たちよりは、
たくさんのチャンスと可能性に
恵まれている、と思ってしまう。

少なくとも今、あなたは
このnoteを読んでくれている。
インターネット環境があって
おそらく屋根もあるだろう、
冷暖房もきっとある、
水道をひねれば水が出るし、
お湯も出ちゃうかもしれない。

あの村の人たちに比べて
「選択」の範囲が広いけれど
その分、選んでも選ばなくても
生きてはゆかれるから
個人のやる気次第な気もするね。
(それはそれで辛いというか、
 残酷な側面もあると思う)


「あの人たち」と同じ立場になんて、
立てないし立たなくていい。けれど
「あの人たち」は自分の鏡で、
そして「今の自分の立場」だからこそ、
できることがある。

そんな風に思った、研修準備中のある1日だった。

(続く)

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