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「やがて死ぬ けしきは見えず 蝉の声」は宇宙の秘密をのぞき見てしまったんです!

やがて死ぬ けしきは見えず 蝉の声

松尾芭蕉の句なのです。「気色」は「道理」なのです。

1 物事のようす。自然界のありさま
「寺の内 (なか) の―は違ったものだと思ったよ」〈藤村・破戒〉
2 何かをしようとする、また、何かが起ころうとする、きざし。けはい。「居座って、帰る―も見えない」
3 表情や態度に現れた心のようす。顔色。「物思う―」「―をうかがう」
4 それとなく示される内意。意向。
「春宮 (とうぐう) よりも御―あるを」〈源・桐壺〉
5 わずかに感じられるようす。ほんの少し。
「―にても漏り聞かせ給ふことあらば」〈源・若菜下〉
6 上位者の受け。おぼえ。
「御―よきぬし侍りけり」〈著聞集・一六〉

気色(けしき)とは? 意味・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書

中国では地中から出てきて飛び立つセミは、生き返り、復活、再生の象徴として、玉などをセミの姿に彫った装飾品が新石器時代から作られてきた。また、西周ごろには、地位の高い者が亡くなった際にこのような「玉蝉」を口に入れて埋葬し、蘇生、復活を願う習慣が生まれた。
日本では、種毎に独特の鳴き声を発し、地上に出ると短期間で死んでいくセミは、古来より感動と無常観を呼び起こさせ「もののあはれ」の代表だった。蝉の終齢幼虫が羽化した際に残す抜け殻を空蝉(うつせみ)と呼んで、現身(うつしみ)と連して考えたものである。珍しくはあるが、阿波の由岐氏などがセミの家紋を用いている。また日本では、蝉の鳴き声は夏を連想させる背景音としてしばしば利用される。
古代ギリシアにおいてはアリストテレスが『動物誌』において、セミを「再生と不死の象徴」として扱っている。

セミ - Wikipedia

やがて死ぬ気色は見えず 蝉の声

生と死のサイクルが道理なのですが、もうすぐ死ぬというのにそんな様子も見せない蝉なのです。蝉は死ぬ時まで生きているのです。

男は誰も 夢の船乗り
少年の日のあこがれ 死ぬ時まで
忘れずに 抱いてるものだよ

ヒデ夕樹 夢の舟乗り 歌詞 - 歌ネット (uta-net.com)

人間は今日にも死ぬかわからないことを忘れているのです。これでは生きているのか死んでいるのかわからないのです。道理から外れたゾンビなのです。

やがて死ぬ 気色は見えず蝉の声

蝉は道理を体得しているから「見え」ず、言葉にはせず鳴くのみなのです。人間は言葉は使えるのに道理のほうが見えないのです。言葉が人間をゾンビにするのです。リベラルも万人をゾンビにするのです。

メメント・モリ(羅: memento mori)は、ラテン語で「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」「人に訪れる死を忘ることなかれ」といった意味の警句。芸術作品のモチーフとして広く使われる。

メメント・モリ - Wikipedia

優れた芸術は人類共通なのです。したがって芸術は道理であり、言葉を使ってゾンビを生物に戻すのです。エロも人類共通なので道理なのです。

大拙はまた、「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」という芭蕉の句をとりあげて、これも宇宙的無意識の直観の産物だという。これについても知的な解釈をするものがいるが、そうした解釈によっては正しく味わうことはできない、芭蕉がこの句に込めたのは、人生の無常だとか道徳的な訓戒とかではなく、宇宙的無意識の直観なのだと大拙は言うわけなのである。

禅と俳句:鈴木大拙「禅と日本文化」 (hix05.com)

宇宙的無意識は道理のことなのです。鈴木大拙は禅問答の達人なので早合点してはいけないのです。必要なのは「知的(賢しら)な解釈」ではなく直観(エロス)的な解釈なのです。

20世紀に入ってジョルジュ・バタイユは、エロティシズムが人間の主観性と、人間性の境界線を解消する機能を持っているが、合理的な世界を解消するのは一時的な現象であると分析した[4]。バタイユはエロティシズムを通して人間を至高の存在ととらえ、有限な個体は自己中心的であるが、我知らず他者との共同へと促されているのを感じると分析した[5]。聖なるものとしての性は畏怖すべきものでもあり魅惑的なものでもある。バタイユによれば、性は反道徳的であるというよりも、生命と種の保存の名において個人的道徳を失効させるものである。エロティシズムは、個体が自己の中に閉じこもることを拒むという点では死と共通するものをもっている。個体の意識や自我はこの閉じこもりを基礎にしているからである。性衝動が繁殖と結びつくと、自己保存の本能という地平を越える。個体はやがて滅びるから繁殖を行うのではなく、生命が更新されるためには個体は滅びなければならないのである。生と死という一見反対のものが一つであり、豊饒をもたらすという芸術を古代人は「死と再生の秘儀」という形で伝承してきた。ギリシア神話でそれはディオニュソスと呼ばれたもので、バッカスの暴力的な秘儀の中に狂信女たちは陶酔を見たのである。

エロティシズム - Wikipedia

ぐりっとやるとキラッ☆となるのが宇宙的あこがれであり、死ぬ時まで忘れずに抱いてるのです。

ある日 恋に落ちたの
あなたを たぶん好きなの
これは大きな事件よ

宇宙の秘密を
のぞき見てしまったんです

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