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原作 君たちはどう生きるか

7月、宮崎駿監督の最新作が公開されたことは記憶に新しい。

『君たちはどう生きるか』

映画は公開当日に観た。その影響から原作となった著書に興味が湧いたのだ。
数年前に漫画化してメディアに取り上げられることが多かった本書だが、私はソフトカバーの小説版を購入。
今回は読んだ内容のひとつの章に焦点を当てて書いたメモ、それをコピペするだけである。
以下

ニュートンの林檎と粉ミルク

恥ずかしながらこの歳になるまで仕事というものをよく理解していなかった。
小さな頃から、特に給食の時間、時たま行われる栄養士さんの短時間の話の後に給食を頂ける時間があった。
「牛乳は牛さんが出してくれる。でもそれを絞ってくれる人、運んでくれる人、売ってくれる人。たくさんの繋がりがあって今みんなに届いているんだよ」
牛乳に限らず、とある野菜週間の際でも流通経路のミニ授業はなされていたろう。
だが、私はその話を耳を通過するだけの自然音のように感じていた。ただ、話を聞いている風に見せかけることは昔から得意であったため真面目に見られていたことは確かだ。
そのような見せかけの技術だけ上達していった私は、だから今の今まで仕事について深く考えてこなかった。
この作業が何になるのだろう、何故こんなことをしているのだろう。でもお金になるからやっておこう。
なんともマヌケで浅はかだ。
しかし、生産関係を知ると薄っぺらな考えも厚みを増す。
どんな作業も誰かに伝わっていくのだ。伝達が途切れるとどこかの誰かが困る。
例えばアラブで採れた石油が海上運搬時に事故で海に流れたらどうだろう。
石油を必要としていた燃料を扱う会社が商品を売れなくてお金が入らなくなる。ガソリンスタンドではガソリンが切れかけで高騰するかもしれない。自動車はガソリンが無いと走れない為、日常生活では勿論だが営業車などは生産活動に支障をきたし、それぞれの会社の売上が滞る。
視点を変えて、海に流れたことで海水は汚染される。汚染された海水を浄化するのに大きな費用や人が必要になる。魚は死に、漁業に影響が及びスーパーでは魚が買えないか高騰するはずだ。
今ざっと考えても波打つようにひとつの事象で影響が伝播する。
だからこそ仕事には責任を持てと散々言われるのだろうと理解してきた。自分の安易なる行動がどこでどう影響を及ぼすのか、自分の知りえないところまで拡大する。それほどまでに社会は広くまるで宇宙のように理解が及ばない。なるべく被害が発生しないよう知識やスキルの会得が必須になるのか。勉強が大事とはそういうことなのか。ようやく知れた気がする。
責任の理由が分かりに分かった。何故賃金が発生するのか。賃金が発生することと責任の発生の繋がり。私はこの歳ながら1歩進めたような気がする。この先、真なる意味で、理解した風でなく、責任を持って働いていけるだろうか。

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