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「共感する女脳、システム化する男脳」

共感することが得意なタイプの脳(EQ>SQ)
システム化(パターンを見つける)が得意なタイプの脳(EQ<SQ)

 後者の極端なケースがアスペルガー症候群、自閉症と呼ばれる状態になるが、それにまつわる実験や検証について書いてある書籍。巻末には参考文献と一緒に、EQ、SQ、AQのテストが付録されており、自分の脳のタイプを調べることができる。

 この記事ではASD(アスペルガーの人)の特徴を引用するが、これは彼らを攻撃する意図ではなく、同じ悩みを持つ人に共有されることを目的としている。



・雑談、会話

他人とは仕事をしているときしか話すことはなく、話をしても仕事に必要なことしか話さない。ほしいものを手に入れるためにものを言う、あるいは事実に基づく情報を伝えるほかはめったに口をきかない。

他愛ないおしゃべりに何の意味があるのか理解できない。特定の問題について正しい答えを得るために(おしゃべりではなく)議論することは嫌がらない(とはいえ、たいていは相手を説得して自分の考え方を認めさせようとするだけなのだが)

p232

このような人びとはまず、どんな問題でも自分で解決しようとする。いつも頭の中は目の前にある物やシステムでいっぱいで、ほかの人が何か知っているかもしれないと考えてみるようなことはない。

p233

・法則を見つけることに夢中になる

関心を持つことといえば、一定普遍の「〜すれば・・・になる」法則を見つけること、その法則を知ることでシステムを把握し、インプットに対してどのようなアウトプットが得られるかを推測できるようになること以外にはない。

p233

・友だちが少ない

数少ない友人も変わったところがあり、そしていつの間にか疎遠になる。友人関係を保つための努力をしないためである。

悲しいことに、アスペルガー症候群の人びとのまわりにいるのは、知り合いか知らない人だけだ。ふつうは私たちが考えるような意味での友達はいない。

ほかの子どもたちの中にとけ込むことができないため、あるいはとけ込むことに興味がない場合がほとんどであるため、からかわれたりいじめられたりすることも多い。

p237

・他人の感情が苦手

誰かの感情についての話題を持ち出しても、彼らはあまり興味を示さないというか「避けようとする」(予測不可能なので)

自閉症の人びとはこのような細部に注意を向け、その情報を正確に再現することができるだけでなく、次に何が起こるかを予測して世界を自分でコントロールできるようにしたいと思っている。予測できない現象やコントロールできないもの(人間など)には不安を覚え、関心を持たない。

p242

・環境

彼らは環境を整えれば能力を発揮するが、環境が合わないと何もできず、まるで「真水に入れられた海水魚」のようだと感じる。抑うつ状態になり治療を受ける人もいる。

アスペルガー症候群の成人のうち非常に多くの人びとが治療を必要とするほどの抑鬱を経験する。自殺を考えたという人もいる。自分は誰ともつながりが持てず、何をやってもだめな人間だと思ってしまうのだ。

p254

・極端になりやすい

政治などの見解でも白か黒かハッキリしており、自分の信念が正しいと固く信じている。

ほとんど必ずといってよいほど、雑談には興味が持てず、どう答えればよいのか、どんな意味があるのかもわからない。まわりの人びとがショックを受けるので、自分の考えを口に出してはいけないと感じている。彼らのものの見方はあまりに独自性が強く、極端で、共感に欠け、人を嫌な気持ちにしかねない。

あるアスペルガー症候群の男性は自分のポリシーを「グリーン・ファシズム」と表現していた。自然破壊を行う者は誰でも射殺すべし、というのだ。

p256

・急な予定を嫌う

アスペルガー症候群の人の多くは人混みを嫌い、突然人が訪ねてくるのも嫌がる。他人は予測できないことをするので神経をかき乱され、苛立ってしまうためだろう。

p256

・結婚について

結婚に至る人もいるが、その結婚生活は、パートナーが聖人並みに忍耐強く、自閉症の人に特有な手順とシステムを厳密に守る生活や風変わりで心が通じず、支配的にふるまうことも多いパートナーに耐えられるのでなければ続かない。異なる文化的背景を持つ相手と結婚する例も見られる。

p259



著者のサイモン・バロン=コーエンと、映画俳優のサシャ・バロン=コーエンは従兄弟らしい。。

内容は素晴らしいのに、タイトルのせいで「話を聞かない男、地図が読めない女」みたいな本の二番煎じのように見えてしまうのが残念。
原題は「The Essential Diffrence」

紹介した本は絶版なのですが、こちらはkindleでも発売されています。

雑談が下手なことを気に病んでいたとき「あなたはこの本を読むといいかも」と教えてくれた人に、本当に感謝したい。

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追記

(2024.04.23)
まだ読めていないのですが、こちらの「テクノ・リバタリアン」に登場する人々は、このASD特性が強い天才の人たち?

彼らが富を得て作ろうとする世界だと、イメージとして「巨大IT企業クラウドの光と影」「すばらしい新世界」みたいな "合理的なディストピア" だと思うのだけど、そのあたりも確認というか気になるのでそのうち読みたい。

同情や共感なんて、すべて非合理ですよね。愛も非合理です。合理性は常に「我/汝」の対立を強調します。頭は個別性や堅苦しい構造の世界で機能しています。計算が成り立つように作られた世界です。

ジョーセフ・キャンベル 対話集

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