『ブラックスワン』『反脆弱性』から続くシリーズ。リスクテイクと、職人にまつわる箇所を重点的にまとめました。
リスクテイク
映画「マトリックス」のような精巧な仮想現実で時間を過ごしたとしても、それらは本当の経験とはいえないという箇所。ジョセフ・キャンベル(「神話の力」「千の顔をもつ英雄」)も、似たようなことを書いているような気がする。
人生が停滞する原因は、リスクを取らず、安全な道を選んでいることが原因ではないのか?
職人と技術
職人というものは、仕事の対価である金銭は二の次で、実存的な理由から手を抜かず、良いものを作ることに誇りを持っている。
評論家のような知識だけの人々と職人の対比を読み進めるうち、橋本治の「セーター騒動顛末記」で語られる「技術」のことを思い出した。
セーターの編み方についての本を出したとき、橋本はファンの一人から「あの本にはどういう意味があるんですか?」という質問を受けたという。しかし、本当に訊くべきは「あの本は僕にとってどういう意味があるんですか?」であって、自分の位置づけと一般的な位置づけを混同してはいけない。
その他
似非データ
図表が多く掲載されている本は、むしろ信用できないことが多いようだ。根拠がないときほど、人は数値やグラフに頼る。
スティーブ・ピンカーによる著書『暴力の人類史』では、近代は人類史のなかでも暴力が減少しており、それは近代的な制度のおかげだという主張がなされているが、それはでたらめだという研究。
マーケティングとしての暗殺
前述の続きから
1982年のアサド・シニアによる虐殺の犠牲者も、報告された数よりも実際は1桁以上少ない。2000人だった犠牲者が「4万人」にまで増えてしまったのは、敵味方どちらも、数が大きいことが利益になったためである。
中世にユーラシアを席巻したモンゴル人も、皆殺しに興味があったわけではない。彼らは敵を服従させるため、相手に恐怖を植え付けていたのである。
グリーン材の誤謬
トレーダーを雇う場合、堅実な実績を残しているのであれば、細かいことが分からないトレーダーを雇うほうが良い。
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