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本(動物、科学)

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記事一覧

『アシモフの雑学コレクション』 星新一(編訳)

特許を取らなかった発明、バルチック艦隊の話など、もっとたくさん紹介したいのですが、長くなりすぎたので削りました。 ユーモラスなものを中心にピックアップしています。 Ⅰ宇宙、気象 いきもの Ⅱ古代の人々 文化、宗教

ランダム/まぐれ/運の世界

運の要素についての書籍3冊。タイトルは「ビジネス書」「自己啓発」の要素が前に出されているが、内容はそこまでではない。 まぐれ(この本は、そこまで運の要素にフォーカスしているわけではなかった) ▶️ 合理的なモデルが普及するとは限らない ▶️ ビュリダンのロバの話。占いなど、ランダムな結果を使って選択肢から選んでしまうという方法 ▶️ 場当たり的に作られた法律 ▶️ 日々の値動きにつけられた解説は、ほとんどこじつけ。 ▶️ 重要なシグナルは変化率の大きさである。2%の

「共感する女脳、システム化する男脳」

共感することが得意なタイプの脳(EQ>SQ) システム化(パターンを見つける)が得意なタイプの脳(EQ<SQ)  後者の極端なケースがアスペルガー症候群、自閉症と呼ばれる状態になるが、それにまつわる実験や検証について書いてある書籍。巻末には参考文献と一緒に、EQ、SQ、AQのテストが付録されており、自分の脳のタイプを調べることができる。  この記事ではASD(アスペルガーの人)の特徴を引用するが、これは彼らを攻撃する意図ではなく、同じ悩みを持つ人に共有されることを目的とし

「いじわるな遺伝子」

幸福・豊かさと幸福度は、比例して増えるわけではない。 刑務所 ・毎日同じメンバーと顔を合わせなくてはならない環境では、自尊心と名声は非常に大切なものになる。刑務所、会社、学校など ・シベリアの強制収容所 公式にはフィクションとされているが、作者(アレクサンドル・ソルジェニーツィン)の個人的経験が元になっている。 こちらの小説では、主人公がひどい環境に身を置きながらも「幸せ」であることに焦点があてられているという(未読なので早速注文した)🐰💬 身体・1981年にI

「動物感覚」 テンプル・グランディン

 著者のテンプル・グランディンは動物学者。牧場や食肉工場の動物に、人道的な扱いをするためのシステムを作ることに力を注いでいる。自身の自閉症の特性が、動物の心を理解するのに役に立っているという(あとがきでは、アスペルガー症候群と注釈されていた) 彼女の書く文章は端的で、翻訳書によくある「ちょっと気の利いた言い回し」のような表現がほとんどなく、事実を淡々と述べるスタイルの文章です。 第2章 動物はこんなふうに世界を知覚する動物は物事をあまり一般化しない 「飼い主の男性」に慣

「身体はトラウマを記録する」 ベッセル・ヴァン・デア・コーク

「トラウマ」に由来する症状と「内面の虚しさ」を区別しているところが、本書の大きな特徴です。 精神科医である著者が30年間で行ってきた研究と多くの実例。全580ページのうち後半(第5部)はすべて治療についての記述になっている。 巻末に収録された索引/原注が分厚い(80ページ) 第1部 トラウマの再発見第3部 子供たちの心解離———知っていながら知らずにいる トラウマの治療において、治療者が患者のトラウマの詳細を知ることは重要ではなく、患者自身が自分の感じているものを感じ、

行動科学と投資

「そのように行動したいと感じることは自然」「事実を認識できない」と実験の例を並べつつ、それが投資の世界ではマイナスの結果につながっていることが説明されています。投資心理を解説した本です。 ダニエル・カーネマンとかを読んだことのある人は、既に知っている内容も多いかも。 各章の終わりに要点がまとめられています。 認知パターン 人間の考え方にはクセがある。例えば 公平な情報を与えられても、現在の選択を「正しい」と信じる気持ちが強くなるだけ。自分が選んだものは、選ばなかった

確信する脳 ロバート・A・バートン (著), 岩坂 彰 (訳)

 「知っている」という状態を私たちは確信しているが、その感覚はどこからやってくるのだろう?という疑問から本書はスタートしている。 たとえば強盗に遭ったとき相手を撃てるかどうか。 著者は懐疑的だけども、この会話の相手は「自分は必ずやる」と確信している。何かを「知っている」「正しい」「本物である」と認識しているときの脳の働きは、どのような仕組みなのか? 第4章 心の状態の分類 ジョン・ナッシュの伝記映画「ビューティフル・マインド」 脳の働きが極端になってしまった状態が精

「愛を科学で測った男」 ― 異端の心理学者ハリー・ハーロウとサル実験の真実

 ハリー・ハーロウは、「子供には愛情が必要」という、今では常識となっている学説を科学的に証明した人物です。それまでの心理学界の人々は、子どもを抱くことに反対していました。 しかし刑務所の受刑者が出産した施設では、管理が行き届いていないにも関わらず赤子の死亡率は低かったのです。受刑者が自分で子供の面倒を見る必要があり、彼女たちはみな「抱きしめたり優しくなだめたり」していました。 このことから、肌のふれあいの有無が赤子の生存率と関係しているのではと研究が進められ、それらが有効で

すばらしい人間部品産業 アンドリュー・キンブレル (著), 福岡 伸一 (翻訳)

「特別な病気にかかったことのある人の血は、より高価な値段で売れる。特異抗体が含まれているから。精子や卵子は、余剰として商品価値を持つ。特定の遺伝子に特許が付与され、全人類に共有されているはずの遺伝子が一企業の所有物となる。動物のからだが、薬品を製造する工場として利用される」(あとがきより)  知らないこと興味深いことばかりで、あまり上手にまとめきれていないのですが、気になった方はぜひ読んでみてください!英語版は1993年に出版されたようです 第1章 血は商品か  アメリ

若返るクラゲ 老いないネズミ 老化する人間(集英社インターナショナル)

今まで読んできた利己的な遺伝子(ドーキンス)とかとは別の視点が加わる感じがして面白かった。かなり内容の濃い本なので、引用がたくさんになった。 第1章 「あなたは車ではない」 生物の自己修復機能や、さまざまな実験結果について 第2章 「肉体の遍歴」  産卵したあとのサケでも、ホルモンを調整してやると突然死はなくなり、タコも内分泌腺を手術することによって寿命がのびる。プログラムされた死について色々紹介されている。   第3章 「拘束衣を着せられたダーウィン」  ダーウ

ドーパミン中毒(新潮新書)

アルコール依存はAAなどのグループに属することで治りやすいという話から、コミュニティと報酬の例がいくつか載ってて面白かった。 クラブ財 >日曜日の礼拝から得る喜びは自分自身の貢献度だけではなく、他の人の貢献度で決まる。どれくらい多くの人が出席するか(中略)熱心に読み、祈るか コミュニティの結束を「クラブ財」として説明してるのが新しかったのと、別の本の↓を思い出した。 服装、言語、特定の行動(日曜日の礼拝、決められたお祈り)は、コストなのでフリーライダーの参入を排除する