氷河に記憶を刻むには
拝啓、現代人の皆様。
残暑お見舞い申し上げます。
いやー相変わらず暑いですよね。
9月に入っても、アイスをむさぼる日々が続いております。
今回は、急遽させていただいた、9月の科学系ポッドキャストの日の補足記事になります。
科学系ポッドキャストの日とは?
「科学系ポッドキャストの日」は、毎月10日に(主に)科学系ポッドキャスターの方々が、月ごとの共通テーマについて、それぞれのポッドキャスト番組の視点で解釈し、配信されるものになっています。
今回(9月)の共通テーマは、ずばり、「環境」。
環境問題から、日々の生活のなかで、感じた変化まで、ざっくばらんに、とのことで、各番組、いろんな切り口から環境についてトークされています。
拝啓、3000年の人類へ、では、「氷河」について、お話しさせていただきました!
氷河をテーマとしたきっかけ
今年の八月、東京は初めて全ての日が真夏日。
ということで、今年は本当に溶けそうな夏を過ごしていましたが、
アイスやソフトクリーム、ドリンク用の氷がすぐに無くなってしまっていたんですね。
今回、科学系ポッドキャストの日をお誘いいただいたのですが、そんなことを思っていたタイミングでしたので、
なんか、氷の話がしたいなぁ、とおもいました。
数年前、氷河を見に行ったこともあったので、環境変化と氷河、を絡めては話してみることにしました。
氷河との出会い
みなさんは氷河について、どんなことをご存知でしょうか?
自分は、3-4年前。ちょうどコロナ禍に入る前に、スイスに旅行に行く機会がありまして、その時、初めて自分の目で氷河を見ることができました。
どんな氷河かと言うと、アレッチ氷河、というヨーロッパでも最大規模の氷河になります。
この氷河の標高は3000m以上。
なんと長さは23キロにも及びまして、周りが4000m級の山々に囲まれています。
とんでもないところにある氷河なんですけど、実は意外と見ることは簡単で、登山鉄道で観にいくことができます。
山の中を貫通するユングフラウ鉄道で、ユングフラウヨッホという頂上の駅から、エレベーターで約3600mの展望台に登ると見ることができます。
初めての氷河は、本当に広大で、まさに巨大な氷の川。
氷河が山々を荒々しく削っていく様子が見られました。
一面、真っ白で、本当に照り返しが眩しくて、当時、日焼けしたことを覚えてます。
氷河の融解が引き起こすモノ
そんな、地球の力強さを感じる、氷河との出会いでしたが、この、アルプスの氷河も徐々に融解が進んでいるようです。
氷河は、降雪が積み重なり、押し固められることで形成されるわけですが、降雪量の増大が氷河を増大させている、と言うよりは、溶け残った雪の量が増えることで大きくなる、とのことですので、
この昨今の環境変化によって、溶け残る量の減少に加え、すでに積み重なっていた氷河すらも溶けてしまっていることで、縮小しているとのことでした。
そして、氷河の融解は、環境にも影響を与えます。
代表的なものだと、洪水や土石流、地滑り。
大災害を引き起こす元となってしまうようです。
現に、ヒマラヤ山脈の氷河が異常なスピードで融解していることで、下流域の農地が水没したり、水源が枯れて干ばつが起きることも予測されているみたいでした。
南極に積み重なる地球の記憶
ここまで、山々を流れる氷河の話をしてきましたが、陸の氷河も忘れてはいけません。
一例をあげると、南極の氷河ですよね。
南極でも、氷河の調査研究が進められているわけですが、特に南極観測隊の氷河研究が有名です。
観測隊の方々が、地面の氷を筒状に下に向かってくり抜いていて、くり抜いた長い氷の円柱から、昔の環境を解明するプロジェクトをされています。
筒状の氷の層を上から下に進んでいくと、連続的に、現在から過去の環境や空気が保存されているので、それらを解析することで、過去に起こった環境変動を復元させようと取り組まれています。
目標としては、なんと、100万年前まで遡って、地球の記憶を探ろうとしているとのことです。
昔の大気や空気の分析方法としては、氷に含まれる水の同位体であったり、含まれている不純物やガス、わずかな火山灰などの粒子から、推定するとのことでした。
分析によって、地球は10万年周期で氷河期と、温暖な気候を繰り返していることが明らかになったようです。
氷河に記憶を刻むには
ここまで、山の氷河の融解の話と、南極のアイスコアの採掘の話をしてきましたが、これらから言えることが何かというと、このままでは、氷河に今の地球の記憶を刻めない、と言うことです。
つまり、現代は、地球温暖化によって氷河が失われつつあるため、今の環境を刻む氷河はないし、過去の記憶が刻まれてきた氷河すら失われつつあると言うことになります。
すなわち、未来人は、氷河から、現代の地球の記憶を得ることができない、と言うことでもあります。
そう考えると、地球環境やばいじゃん、って思いません?
果たして、これから先、地球環境を氷河に記憶を刻むことはできるのでしょうか?
僕個人の見解では、未来では、天然の氷河に刻むことは難しいのではないか、と考えています。
つまり、天然の氷河はなくなり、氷の川が存在した、ということが、ファンタジーの世界になってしまう、ということです。
さらに、海面の上昇がはるかに進み、新海誠作品のように、東京は、海に沈んだ都市を指す名前になる未来が来るかもしれません。
一方、人類は、皆さんのご家庭にもある冷凍庫のように、人工的に氷を作り出す技術を持っています。
これは、何を意味するのでしょうか?
天然氷河の消失と、人工氷河が作り出す未来
天然氷河の消失と、人工的な氷の生成技術は、未来にどのような影響を与えるのでしょうか?
思いついたことが、二つあります。
一つは、人工的な氷を作ることに制限が掛かる未来が来るかもしれない、ということです。
氷を作るにも電力と排熱が必要になるので、氷を作ることに税金がかかったり、個人が氷を作ることを禁止する法律ができるかもしれない、ということです。
もう一つは、天然の氷の代わりに、人工的な氷の蓄積を進めていくことで、地球環境の記憶を人工的に保存するようになるかもしれない、ということです。
加えて、氷に大気や地球環境の記憶が刻めるのであれば、もしかしたら、氷に人類の記憶も刻む技術も発明されるかもしれません。
具体的には、氷が巨大な記憶のストレージになり、文字や音楽、文化といった人類の情報を、従来の紙やハードディスクとしてだけではなく、氷も記憶媒体の一つとして、利用できる未来もあるかもしれない、と言うことです。
例えば、妄想として、氷河の中にガスや火山灰が埋め込めるのであれば、人工的に氷河を作る工程で、同じようにガスや物質を使ったりしながら、異なる氷の層を埋め込むことで、横から見たら金太郎飴のように、当時の人間の表情や、声、音楽を埋め込むことも可能じゃないでしょうか?
そんな遊び心を加えつつ、当時の地球環境と人類の記憶が人工氷河として、大規模に保存されると嬉しいな、なんて思ったりもします。
地球環境と共に、人類文化が氷に保存される日も、そう遠くないのかもしれません。
2023年現在、幸いにも、地球にはまだ氷河が存在します。
西暦3000年の未来を生きる人類に、地球の記憶、そして人類の記憶が残せるよう、少しでも環境に目を向ける必要があるかもしれません。
もしも、この音源が、西暦3000年の氷河の中から「発見」されて、未来人に聴かれているのであれば、僕は人類の成功を祝福したいなと思います。
この音声が、未来で再生されることを祈って。
西暦2023年9月の現代人でした
まとめ
今回は、9月の科学系ポッドキャストの日、共通テーマ「環境」と言うことで、氷河のお話をさせていただきました。
まずは、身近な環境への負荷などを減らせるよう、できることからやってみようかなと思いました。
ぜひ、他の科学系ポッドキャスターさんの、「環境」回をお聞きになっていただき、いろんな視点から、聞いている皆さん自身も「環境」について、考えるきっかけとなると良いなと思っております。
ということで、今回はここまで
現代人の皆さんも、未来人の皆さんも、また次回お会いしましょう!
じゃあね!
ぜひ、番組のフォローもよろしくお願いします!
おまけ:旅行したアレッチ氷河の動画
実際に訪れた際の旅行記になります。
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