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死にたくなる毎日だった1社目の日々 5

(今日は早く帰ろうかな)

定時は17時だが18時前に仕事を切り上げる。

「代理人さん!〜〜〜!」

ヨイショされながら退社して、家に着いたのが19時過ぎ。

「ただいま。」
「おかえり〜」
「パパおかえり!!」

奥さんに似た娘が脚に抱きつく。
撫でながら上着を脱ぎ、靴を脱ぐ為2人に背を向けた。

「ねぇ、この子も大きくなってきたから久しぶりに外食でも行かない?」
「いいね!行こう!」

そう振り返ったところで目が覚める。
夢だったのだ。
自分の現状を再認識させられる。

涙を流しながらアラームが鳴るまで天井を見つめた。




相変わらず理不尽に怒られる日々、ため息をつきながら家を出て仕事をする。それが人生。死ぬまでこれが続くのかな。そう諦めていた。

仕事終わりのある日に机の上の新聞が目に入る。
疲れていたが社労士の文字だけがくっきり認識できた。

(…?なんだそれ)
新聞に目を通すがそんな単語どこにもない。

ネットで検索をすると士業の一つで保険や労務についてのスペシャリストと出てきた。その中で一際惹かれた一言
「パワハラに対しての…」

天命が降りた気がした。

この世のパワハラに苦しむ人を救いたい。

それからの行動力は凄まじいものだった。
社労士の受験資格は短大卒以上。今は高卒のため受けることができない。通信制の学校に通うことを決意し、会社の昼休憩中、仕事の前後や休日、移動時間など隙間時間を見つけ課題に取り組んだ。

モチベーションは毎日は続かないが、嫌な気持ちにさせられるたびに勉強を頑張れた。この地獄から抜け出す。幸せになる。黒い気持ちをエネルギーにとにかくがむしゃらに続けた。

そして、短大を卒業することができた。

正直働きながら学校に通うのは体力的にもそうだが、精神面でもつらいものだった。同い年の子が遊んでいる間も勉強しなければならないのだ。

「係長すみません。お時間いただいてもよろしいでしょうか?」
辞めること目指しているものいつから辞めたかったのか打ち明けた、根本的な原因は打ち明けなかった。正直いえば打ち明けれなかった。怖かったのだ。告げ口をすることで現状が悪くなることが。信用できる人間は1人としていなかったのだ。

係長はいつか自分が辞めるということを感じていたそうだった。

原因もなんとなく察していて、陰で動いていてくれたことを気がつくのは辞める直前になってからだった。

自分にも味方がいた。それに気がつくのは少し遅かったのかもしれない。


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