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【エッセイ】愛のことを

 愛とは元氣づけることだと思います。自他共に対して。
 例えば、恋人が風邪を引いたとします。恋人の風邪は自分の愛で治るわけではなく、やはり風邪薬で治します。ただ、その恋人の看病や身の回りの世話をして元氣づけることはできます。これが愛と呼ばれることではないでしょうか。看病して恋人が元氣になっていく姿を目の当たりにすると自分も嬉しい。

 こんな話もあります。マザー・テレサの「死を待つ人の家」の住人達は人によって異なる宗教を信じていました。その住人が亡くなるとマザー・テレサは、亡くなった人が信じた宗教の弔い方をしました。亡くなる人の希望に合わせて弔い方を変えていました。一人一人が安らかに旅立っていけるように。他人へのこのマザー・テレサの愛は死にゆく人を元氣づける。元氣に死ねる。
 このように私は、愛とは元氣づけることだと思っています。
 その一方で、こんな人もいます。

「運命を引き受け、人を愛しなさい。
それが、自分を大切にすることです。」
(佐々木常夫『働く君に贈る25の言葉』WAVE出版)

 著者は妻に三度の自殺未遂をされ、つらい思いをしました。また、先天的な自閉症で生まれてきた息子に悩みました。この病氣は育て方で治るものではないそうです。それでも、仕事にも家庭にも積極的に向き合ってきました。そんな苦労を乗り越えた人です。
 また、著者の母親には「運命は引き受けよう」と言って微笑む姿がありました。26歳で未亡人になり、4人の息子達を育てるために働きづめに働きました。それでもその母親は愚痴を言うことなく、どんなときでもにこにこ笑っていました。
 著者は母親の生きる姿勢を支えに人生の荒波を乗り越えています。

 自分がつらい思いをしても、人への愛を忘れない。それが人として全うに生きることの務めではないでしょうか。
 体に氣をつけて、ご自愛ください。

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